第64節 新しい任務 その2
こんばんは。
どうしても眠くてうたたねしてしまいました。なんとか、今日の分アップします。
宜しくお願いします。
レンジャーさんがやってきたその2
それからも、話題は脱線して、色々な話に変わっていった。
フィリップさんは、情報通だった。レンジャーは、ありとあらゆる情報を集め、そこから行動を決定するので、何でも知ろうとするらしい。レンジャーだからといって、誤解を受けやすいが、自然に関する知識だけではだめだそうだ。
街の噂話から、神学の本とか、下世話な話から高尚な教養も必要らしい。
不思議なのだけど、ベルタさんが、地下牢の鍵を腰につけたまま、城塞都市に出掛けた話も知っていた。どんな情報でも集めておいて損はないと言うのが、フィリップさんのお考えらしい。
そう言えば、世間話をしているようで、あれ、なにかを聞き出そうとしているのかなと、思うこともあった。さっきの魔法云々で火あぶりの可能性もあるとのことで、僕はおじいちゃんの話はしないことにした。
さっきまで、フィリップさんは、単に話好きだと思っていたけど、目的を持ってある事を知ろうとして、話をうまく誘導しているのがわかってきたよ。断片的なのだけど、後で点を線で繋いでいくと、ある絵が見えてくるような感じだ。
もしかしたら、記憶力とか、断片的知識を統合する力とか特殊能力なのかもしれない。あとで、ブルーノ神父様と話したら、チャームとかいう魔法を使った形跡があったらしい。だから、ずっと黙っていたというのもあっただって。
もちろんのことだけど、フィリップさんを敵だとは思っていないのだけど、話したことは全て宮宰様に筒抜けだから、与えていい情報と、漏らさない方がいい情報と、よく選別して話していかないといけないと言っておられた。
特に、アグネス様や、シャルロッテ様に関わることは要注意だそうだ。二人にとって、よくないと思われると、病死したかのように、殺されたりする。まぁ、余程危険な人物でなければ、直ぐに殺されることはないらしいけど、長い目で見て、好ましくない人物は命の危険にさらされるそうです・・・
・・・どうしよう、シャルロッテ様に変態君とか名づけられちゃってるんですけど、僕。好ましくないかな・・・6歳なんだよ・・・
怖いよ。フィリップさんは、アサシンでもあるらしいからね。ああいう人が悪魔に身体を取られたりすると、かなりヤバイと神父様が言っていた。だから細心の注意を払って、観察していたって言ってた。細かい癖とか把握しておくと、先で悪魔にフィリップさんが身体を取られたときに、区別がつけられるって言ってた。
フィリップさんの凄いところは、結界馬車を使わないで、城塞都市から森を歩いて、砦に来たということだ。森の中なら、無敵らしいけど、歩いてというより、走ってきたようなスピードらしい。すでに悪魔並みじゃないの?
ということで、朝方来たとおもったら、フィリップさんは直ぐに帰っていった。僕らは、第2門まで見送りしてから、また会議室に集まって、話している。
オットー様によると、会議中も、さりげなく僕のことを観察していたらしい。見ない振りして見るという技だそうだ。武術で、視線や、筋肉、体のバランスとかを使ったフェイントがあるので、オットー様は気付いたらしい。正面を向いて、正面に座っている人を見ているのだけど、実は視界に入っている別のものを観察していたらしい。それが、僕のことだったようで、オットー様は、少し心配したらしい。
レオン様が、ニヤニヤして何か言いたげだ。
「悪者君、ターゲットになっちまったな。今度フィリップ殿が来た時は、気をつけろよ・・・毒殺かな、それとも後ろからグサっとか、高いところから落ちちゃうとか・・・こんな高さなのに首折れてるよとか・・・」ものすごく嬉しそうなんですけど・・・レオン様は折れそうもない太い首だからいいですよね・・・
なんだか本当に酷いよ。ターゲットって、もう嫌です。
「あははは、宮宰様は、凄く悪者君を気に入っているらしいぞ。何しろ、アグネス様やシャルロッテ様に、凄く似ているからな。俺の子のような気がしてくるとか仰ってたものなぁ。まぁ、シャルロッテ様の身代わりでどこかの暗殺者に替え玉でやられることはあるかもな」オットー様も人が悪いです。
でも、影武者の可能性はあるらしい。あと、宮宰様は、シャルロッテ様と結婚させたら、同じ顔の孫が生まれるのだろうかと、ロッテちゃんがあと3人ぐらい欲しいなとか、真剣に言っていたらしい。うーん。絶対ばれてるよ。この前のベッドの替え玉作戦。
僕が変な顔をしていたら、ブルーノ神父様が、言った。
「いや、案ずるでない。今度の北ルート探索で、同じチームになるから、お主という人物を確認しにきたとフィリップ殿は言っておられたぞ。
悪者君は、心の状態で、凄く波動が乱れるので、それには気付いていたようだな。フィリップ殿が、観察していたのは、そのあたりではないか?そのコントロールは、今後のお主の課題だろう」
「・・・そうなのですか。自分ではわかりませんでした。申し訳ありません」
「いや、謝やまらなくてよい。お主はまだ6歳なのだから、これからの話だ。おぬしほどの大きな波動がうまくコントロールできるなんて、大人だって難しいのだぞ。
心が成長しなければ、それは出来ないことだ。今はむしろ、波動を出せるだけ出し続け、器を大きくすることに専念しなさい」
「はい」
みんな良い人ばかりで、僕は幸せだと思っていると、なんだか泣けてきた。
とりあえず、フィリップさんが今度来たら、探索に出るということと、メンバーは空飛ぶザクセン人と悪者君、つまり僕になった。あとは、その時の状況で、オットー様か、レオン様が一緒に行くということだ。
フィリップさんの話し方は、話が前後して、わかりにくかっただろうからと、レオン様が、説明してくれた。一昨日、城塞都市にいったときに、既にこの話がでていて、宮宰様から直接話を受けていたらしい。
まず、目的は、砦の北方を通るルートの確保だそうだ。今は、城塞都市正門を出て、東街道を進み、通称「下の街」アーデルハイトがお母さんと一緒に住んでいた街だけど、そこから塩街道を北上するというルートを取って塩砦つまりザルツブライを通過し、帝国領にはいるルート一つしかない。
城塞都市の北門を出ると、銀山街道という道があり、城塞都市の貴重な収入源である、銀山に繋がっている。この銀山街道の谷の道をどんどん北に進むと、谷が集まるところが、十字路になっており、それを東に曲がると、山越えではあるものの、塩街道に突き当たるのだそうだ。
大攻勢の前までは、結構使われていた道で、当時の領主は、通行税を取っていたらしい。この街道の安全を守るのと、税を取るために、峠に山城が築かれており、現在は廃墟となっている。フィリップさんは、銀山街道から数回この道を通ったことがあるらしいが、山城の中まではチェックできなかったらしい。でも、かなり禍々しいオーラに満ちていたようだから、恐らくアンデッドの巣窟になっているだろうとのこと。ここをアンデッドから解放して、新たに駐在の兵を置き、銀山街道と塩街道のルートを復活するための下調べというのが、今回の探索の目的らしい。他には、ゴブリンの巣の討伐もあるらしい。
なんだか、嫌なフラグばかり立つよね。
そのあと、教皇庁から来られる、枢機卿様にどう対応すればいいのかという話になった。今から心配しても仕方ないので、来てから考えようということになった。それ対策じゃないですよね。
会議は解散となり、僕は午後から鉱山前に様子を見にいった。
途中で第2門から北側の城壁に上ってみたら、カールさん達が、ハンマーで骨を砕いていた。もう作業自体は終わりのようで、端のほうから、土をかぶせだしている。第2門から結構距離はあるけど、あそこに沢山の人が眠っていると思うと、変な感じだ。ふと視線を感じたので、振り返ると、アポロニアさんが城壁の下にいた。
「悪者君、昨日はお疲れ様でした」
「アポロニアさんこそ、大変でしたね」
「あは、私、回復魔法だけだから、楽だったよ」
「上がってこないんですかぁ?」
「じゃ、いくわ・・・」
あれ、あんまり来たくないのかな・・・アポロニアさんは、階段をとんとんとんと上がってきた。
「さっきまで、ここで見ていたのよ。でもね、見てられなくなってきて、下りてたの」
そういうことか・・・僕は何を話していいのか分からなくて、黙ってしまった。
「わかってはいるのよ。歩く死体さん達は、亡くなった場所で、亡くなった時に魂がなくなっているから、単なる抜け殻だってね。でも最後の審判の時に、復活のよりどころとなる体がないというのはどうなんだろう。復活の時は、新しい身体になるらしいから、ま、きっと神様が用意してくださるのだろうけど・・・そうそう、メリメタンゲレって知っている?」
「知っていますよ。マグダラのマリア様にむけて言った言葉です」
「さすが、悪者君ね。あなたって不思議ね。本当に6歳なの?」
「わからないです。記憶が無いんです・・・」
「ごめんね。さっきの続きだけど、下の光景って、見ていると病みそうだわ。死体は、みんなラテン人のようだったでしょう。多分イタリア人だわ。どこから連れてこられたのか、気になっているの。だって、最近亡くなった人達みたいだったから。おかしいよね。服は200年ぐらい前みたいだったけど、死体はフレッシュなんだもん」
困った。これも回答不能だよ・・・話を替えたいな・・・
「そうだ、今度、教皇庁から枢機卿様がくるそうですけど、何かご存知ですか?」
「へー、だれだろう?知っている人だといいな。昔と違って、司教様とか、枢機卿様は、領地を持っていない人が多いから、まだ、帝国領では、領主司教様とかいるけどね。教皇庁に勤めるのって、名誉職みたいなもんだから、原理主義に傾きやすいのよね。お堅い聖職者って感じよ」
「なんか、魔法を使っているというと、火あぶりにされちゃうかもしれないらしいので、怖いです」
「ああ、ブルーノ神父様がいったんでしょう?ものすごいフォイアーになったものね。砦の兵士だけでなく、鉱山街の人からも、我らの炎の魔導師様とか言われているらしいわね。この噂を気にしているんでしょう?」
「そうです。神父様は、魔法使い認定されると、ご自分だけでなく、アポロニアさんや僕まで火あぶりの刑だと心配されてました・・・」
「そうね・・・心配いらないと思うけど。まず、砦の人や鉱山街の人が黙ってないから。みんなの不安を煽って、扇動するのよ。でも、この街の人はそういうことにのせられないから大丈夫よ」
「そうですかぁ・・・わかりました。あ、そうそう、話をかえますけど、止血魔法って、アポロニアさんできますか?」
「もちろんよ、後衛が使えたほうがいいものだからね」
「僕、覚えたいんですけど、教えていただけませんか?」
「いいわよ。ていうか、是非覚えてもらいたいわ。だって一緒に動くこと多くなるものね」
やったぁ。浮遊だけでなく、別のことで貢献したいんだ。
僕の喜ぶ顔を見て、アポロニアさんが言った。
「じゃ、善は急げね。すぐに始めましょう?」
え、急だな・・・でもいいかな・・・
スタスタと歩いていくアポロニアさんを僕は急いで追いかけていった。
いかがでしたか?
明日は止血魔法とか、その他学習会です。
宜しくお願いします。




