第63節 スタンピードの後始末
すみません。昨日、お休みしてしまいました。
ここのところ体調がよくないので、ごめんなさい。
中身は比較的グロイです、想像力が豊かな人は飛ばしてくださいね。
次の日も、朝からまた作業だった。とりあえず、ハインリヒの大広間まで確保した坑道を中心に、その周囲の索敵と死体集めだ。もう日にちも経っているので、臭さは凄いことになってきている。もちろん見た目もグロい。
作業する人たちは、みんなげっそりとしている。食欲も湧かないらしく、砦もパンやスープが残るらしいよ。食堂もそうらしい。食欲が減らないのは、アーデルハイトだけだとか言われて、新たな伝説を作ってしまっている。例の桶が傍にあっても平気で食べるとか・・・気を付けないと、僕が噂を流しているように思われたら、やばいよね。ま、僕も残り物で生活しているので、助かる。食欲がないなんて言えない身分だからね。
まぁ、アーデルハイトのような特別な人は除いて、無神経さ砦一番のカールさんでさえ少しつらいようだ。食欲は少し減ったみたいだけど、痩せるまでは減ってないようだ。それよりも仕事中の臭いがつらいようで、鎖帷子のフードの上から、口のあたりに追加で布を巻いている。
今日の班編成は、カールさんと僕とアポロニアさんの三人が、坑道内を、うろうろ歩き回って、僕が歩く死体を浮かす役。カールさんは護衛だ。そして、アポロニアさんは、周囲のメンタルがやばそうな人に回復魔法をかける係り。他の人たちは、兵士さんと死体引っかけ運搬係りで別行動だ。
この引っかけ運搬というやつも、結構心が折れるらしい。引っ張っていくと、途中で必ず坑道のどこかに引っかかる。引っかかった時は、ちゃんと見ないといけない。体の部品の一部が落ちたり、取れてぷかぷか浮いていたりとか・・・また、逆に押していく場合は、必然的に常に見ないといけない・・・どっちもどっちなのかな。歩く死体という暗黒魔術は、敵の士気を砕くのにいいらしいというのは、よく理解できました。嫌だ~。
兵士たちも、子供相手となると、変なスイッチが入るようで、結構気持ち悪いことを喜んで言いたくなるらしい。
大人っていやらしいよね。アレクシスさんが嬉しそうに、攻城戦だと、死んだ敵の首を敵の城のなかに、投石器で投げ入れたりするらしいって言っていた。
知っている人の首が飛んできたら、怖いよね・・・悪魔軍と攻城戦をしたことが殆どないので不明だけど、そういう悪魔的なことをするのは、むしろ人間だそうだ。
悪魔軍は、空を飛んで城の中に入ってしまうし、城壁も簡単に大型の魔物が叩いて壊すし、圧倒的に強い魔物が壊れた城壁から一気になだれ込んでくるとかで、その勢いで人間の殲滅にかかるらしい。だから、生き延びた人が殆どいないので、記録がないそうだ。あと、一番つらいのが、目の前で魔物に食われることらしい。アレクシスさんが、頭から塩をかけてぼりぼりと・・・なんてニコニコしていう。見たこと内のにね・・・
アレクシスさんは、仕事をさぼって、僕の怖がる顔をみながら嬉しそうに話していたけど、クラウディアさんにぺしって叩かれ、耳を引っ張られて連れて行かれたよ・・・
そういった意味でいうならだけど、今回みたいに比較的弱いゴブリンの単独種だけでの攻撃だったから、クリアできたと言えるのかもね。兵士さん達は何も言わないで黙々と仕事しているけど、皆覚悟していて、少しでも命を長らえたことを神様に感謝していたようだ。辛い仕事だけど、生き残るのか、滅びるかだからね。鉱山の内部から攻められて、砦の外からも攻められて、よく持ちこたえたと思う。鉱山側は、小さな傭兵団がほぼ単独で食い止めたんだから、皆すごく感謝しているみたい。
あ、盾の大男二人は、ゴブリンの骨砕きチームに回されたんだ。なんでも燃えつきた骨を只管ハンマーでどんどん叩いていくだけだそうだ。明日も同じだけど、歩く死体の骨砕きらしい。明日は辛いね・・・僕は二人に同情した。
ブルーノ神父様は、歩く死体用の仮設焼き場で既にスタンバイして燃やしつづけているらしい。昨日、炎の出しすぎで、掌が低温やけどになったとかで、今日は、左手で、右手に回復魔法をかけつつ、フォイアー出しまくっているらしい。なんか器用だな・・・
正直、もう浮遊は飽きたよ。昨日の夜だって、眠れなくて第2門の前をうろうろ散歩していたら、ベルタさんに呼ばれて、地下牢から汚物の桶を運びたいけど、もう重くて無理ってことで、浮遊かけたし・・・そのあとも蓋がとれなくて苦労したってベルタさん言ってたな・・・
この件は、絶対秘密よって言われた。そりゃ、アーデルハイトの桶の中身の量がすごいとか、言えないよね。絶対殺されるよ。まぁ、することがないから、食べてばかりだったようだけどね・・・
しかし、浮遊は便利だけど、いいように使われて、大変だよ。
もっと別の魔法で、呼ばれたいし、練習したいのに、もう3日間、かけてかけてかけまくりだ。もう、詠唱なしで、見るだけで瞬時に浮遊がかけられるようになったよ。
結局、坑道に残党もいなかった。することが無くなってしまった。任務が終わったことを、カールさんが、オットー様に報告し、オットー様が点検で巡回するのにも同行した。
「アポロニア?悪者君、なにか、こう悪臭を分解するような魔法は知らないか?」
「わたしは、存じておりません。申し訳ありません」アポロニアさんが、申し訳なさそうに目を伏せた。僕も思いつかないので、同じように目を伏せた。
「そうか、そう便利なことばかり望んでも仕方ないよな。ともかく、変な病気とかが流行っても怖いので、消毒したかったのだが・・・」
ふーん、臭いが気になるのではなくて、その原因の病気の素みたいのが嫌だったのか。僕は念のため、例の本をパラパラと捲り、なにかないか探すことにした。
あ、空気浄化なんてあるよ・・・なになに・・・あれ、いくつかあるなぁ・・・えーっと、水に働きかけて、水の気体を空中に増やし、水の力により、空気を洗浄する。水がないと使えない。空気の流れも必要なので、同時もしくは時間差の術が必要となるか・・・
えっと、カビくさい地下迷宮や、毒の霧、腐敗の霧などの対抗呪文として使用できるとある。
まだあるみたいだけど、とりあえず、これ覚えられるかどうかやってみるか・・・
で、結局ダメでした・・・それよりも、説明文の毒の霧とか、腐敗の霧って怖くない?息ができなくて死ぬとか、喉とか肺が焼けて死ぬとか辛いよね。アポロニアさんに、僕の魔法の本、実際には博物誌なんですけど、見せて相談してみた。
「アポロニアさん、毒の霧という呪文しっていますか?」
「知っているわよ、ああ、これに書いてあるんだ。でも、対抗呪文の中で紹介されているだけでしょう?それさ、暗黒魔法だもん。この本には載せられらないよね。
ブルーノ神父様に相談する時は、言い方を気をつけなよ。雷落とされちゃうよ。暗黒魔法大嫌いだから」
「ありがとうございます。気を付けます」
なんか微妙な雰囲気だ。アポロニアさんが、なにか言いたげなので、訊いてみた。
「アポロニアさん、なんか表情が微妙ですけど、なにかあったのですか?」
アポロニアさんは、すこし沈黙し、下を向いて目を伏せてから、決心したように、僕を見て、話し始めた。
「・・・私がね、この対抗魔法を覚えていれば、友達も死ななくて済んだんだ・・・だから、未だに、このライニゲンって覚えられなくて・・・なんとなく使えたんだけどね。水が無いとダメなの。皮袋の水でもなんでもぶちまけて、言えばよかったんだけど。魔法って躊躇しちゃだめなのよ」
これ以上は訊いちゃだめだろう・・・そしてこれ以上言わしてもダメだろう。アポロニアさんは、回復魔法とか、バックアップが専門だから、前衛の人が死んじゃうこととか、すごく責任を感じちゃうんだろうな・・・僕は、そういう経験がないから、よくわからないけど、チームワークという意味では、辛い。僕なら、やってしまったら立ち直れないだろう。
しかし、現実は被害ゼロなんて珍しい。ゴブリンとの戦いだって、実際に死者が出ている。どんな優秀な回復魔法であっても、やはり、致命傷は救えない。生き残る人は、致命傷の躱し方が上手い人だと聴いたことがあるけど、そんなのに上手い下手があるのかなって思うけど・・・
やはり、前衛は、硬くないとね。千年前のローマ軍や、もっと前のギリシア軍が強かったのは、重装歩兵の密集戦法で、さらに長い槍で攻撃するかららしい。
ゲルマン族も同じ戦法なんだって。攻城戦だと、戦法が違うから、死者がでるらしいよ。
僕も色々勉強して、生き残る術を身に着けないとな。自分の名前が分からないまま死にたくないよ・・・とりあえず、止血魔法とか、増血魔法とか覚えたいなぁ・・・
次の攻撃はあるのかなぁ・・・ない筈ないよね。どの魔法覚えようかな・・・
お読みいただきまして、ありがとうございました。
実は、わたくし、ウィンフリートは、今子猫を育てております、1か月なんで、ちっちゃくて、掌にのってしまうぐらい小さくて可愛いんです。シャルロッテも驚くような大食漢の女の子です。
この子猫もまた、遅筆の原因でもあります。名前はフランス語名にしました。なんか、ボルドーのぶどう畑で、木に登って、すりすり、にゃーとか言ってそうな、おしゃれな感じの子猫ちゃんです。
また、宜しくお願いします、




