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神聖祓魔師 二つの世界の二人のエクソシスト  作者: ウィンフリート
平行世界へ
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第55節 カールさんの叶わぬ恋

ド貧民認定は、少年に明るい要素をもたらしました。

 さっきのシャルロッテ様は怖かったな。やっぱり僕があのお気に入りのドレスを着たのがいけなかったのかな・・・でも、あれはアグネスさんに無理やり着てって言われたんだよ・・・あんまりだよ・・・酷いよ。


 クラウディアさんが、振り返って僕の顔をみて、話しかけてきた。

「どうしたの?大丈夫?すごく暗い顔をしているよ」

「ご心配いただきありがとうございます。大丈夫です」僕はやせ我慢でそう言った。

「あ、そう。ならいいのだけどね・・・もしかして恋しちゃった?」

「そ、そんなことないです」女性は苦手だ。訳が分からないところで怒ったりとか、解せないし。


 レクシスさんが、会話を聴きつけて、にやにやしながら会話に割り込んできた。

「叶わぬ恋の話は燃えるよなぁ?・・・悪者君、年上か?アポロニアは聖職者だからなぁ。誘惑すると地獄に堕ちるぞ」どうやら僕の叶わぬ恋の開いてがアポロニアさんと思っているようだ。アポロニアさんが、自分が話題になっていることに気づいて、振り返って言った。

「地獄は少し先にいけば行けますから、今から行きましょうよ。そうしたら、怖いものが何もなくなりますよ」

「え、それって、どういう意味だよ、アポロニア?」アレクシスさんが驚いている。予想のななめ上をいくような回答だからだろう。


「悪者君の悩みは、わたくし聖戦奉仕修道会のアポロニアが、どーんと受け止めますから、一緒にこれから地獄にくだりましょう」それって更に斜め上過ぎませんか。

アポロニアさんは、更に続ける。

「地獄では、死んでしまって、悪霊たちに引きずりこまれると出てこられなくなりますが、生きたまま入ると、自分の意志で出てこられるのですよ」

「えー?アポロニア。それは嫌だな・・・今日はやめておこうよ」クラウディアが乗ってきた。どうしてこういう展開になるのだろう。この人たちは理解できないよ。


この間のド貧民審査で、見事一位に輝いた僕は、なんか、みんなの同情を買いまくり、今日の仕事をもらうことができた。お弁当持ち係りだ。すごくデッカイ荷物を僕は背負っている。明星亭特製お弁当の7人分を3回分、プラスお水だ。

でも、浮遊を使って荷物を浮かしているので、実は楽だ。一応ポーター職として参加しているので、背負っているかのように、紐を肩に結んでいるけど、実際は、浮いているのを引っ張っているだけだ。


浮遊の魔法は、クリスタのパパを助ける時に練習して、かなり自在に使えるようになったんだ。


アポロニアさんが聖霊加護の祈りをかけなおした。ここから迷宮だそうだ。この更に先に地獄とつながっているところがあるとか・・・


この迷宮は、もとはドワーフの王宮の一部だそうだ。ドワーフはこの世界にすでに存在しない。しかし、技術は残っており、地底に置くにはもったいないような立派な空間がずっと広がっている。松明もなにもなくても、うっすら壁が光るので、迷宮を歩くことができる。無論、リヒトを唱えているので明るいが。


 今日は、一番浅い層を巡回し、魔物がでたら討伐する予定だ。ぐるっと迷宮の外側をまわっても半日以上かかる。歩いているうちに見たことがあるようなところに出た。


 この前、死霊使いがでたところだった。少し先にいくと、壁が壊れて、瓦礫だらけになっている。この前はここから入ったのであった。

 

 「しかし、出ないね・・・少しは弱わっちぃ魔物が先にでてくれれば、体が解れていいんだけど」アレクシスが軽い感じで言う。

 「いや、武人たるもの、いつでも魔王の一人や二人、速攻で倒せるぐらいでないといかんと思おうぞ・・・」カールが格好つけて言ってる。

 「さすが我らのリーダー、言うことがいいね~」アレクシスが持ち上げる。

 「そ、そうかな?」カールが照れている。


 「いくら格好いいこと言っても、所詮エッチだから・・・」アポロニアがボソッとぼろくそなことを呟いた。

 「あ~あ、折角よいしょしているのに・・・」アレクシスが不満げだ。

 カールの頬がぴくぴくしているのが分かる。これ以上の攻撃はNGだ。立ち直れなくなるから。


 「いや、カールさんは格好いいっすよ」

 「うん、そう。俺ら二人はファンです」普段殆ど喋らない二人だけに、真実味がある。


 「そ、そうかな?」カールが立ち直ってきた。

 「そうっすよ」二人がユニゾンで応える。クレメンスとコンラートもカールが落ち込むと面倒くさいのだろう。

 「よ、男前!」アレクシスが調子にのっている。


 アレクシスが目で、女子二人に合図している・・・

 女子二人は、わかったという感じで目配せした。落ち込んでいると戦闘力がすごく下がるのを知っているので、ここからは、ガンバってもらわないとね・・・


 「ほら、変態君も、何かいってよ。なんかアグネス様って。カールの子と言ってなかった?」クラウディアさんが僕に振ってきた。困るよ・・・

 「えっと、アグネスさんが、カールさんのこと誉めてましたよ・・・」

 カールさんの耳がお猿のように動いている。器用な人だ。

 「どんなこと言ってたの?」アポロニアさんが興味深々だ。


 「強くて素敵みたいなことを仰ってました」

 「うんうん、それで?」アポロニアさんが煽ってきた。

 「えっと、今、傭兵団で最高なのが、カールさんのところよねって」

 おや、なんかみんな期待しているよ。落とすの?上げるの?

 「うんうん、そうなんだぁ・・・ほかに何か言ってたぁ?」

 「はい、砦の女子の間では、結婚したい独身男子1位らしいわって」

 「なに~」アレクシスさん、それ聴きづてならない感じがする何?ですよ・・・


 「で、どうなの?悪者君、言っちゃってよ!」

 「いいんですか?言っても?」僕は一応確認をした。

 「オッケーに決まってるじゃん」クラウディアさんが目を輝かせている。


 「でも、カールさんはエッチだから嫌って言ってました」


 あちゃーという声が聴こえたような気がした・・・


あれ?僕やってしまったかな?


カールには敵がいた。しかも沢山だ。それは、アグネス様ファンクラブの面々だった。砦の兵士長を筆頭とし、商人から、鉱夫まで、広範囲に及んでいる。リウドルフィング家の娘で、母はヴィッテルスバッハ家という、血筋。ヴィドゥキント様に通じる血筋は、完全に王女級なのだ。そして、氷魔法の類まれなる使い手。鉱山から溢れたオーガを一撃でバラバラにした魔法は伝説級だ。砦や、城塞都市で、だれもが、彼女の夫となることを夢見ているのだ。


実は、アグネス様の貞操を守る会というのも存在している。先ほどのファンクラブのほぼすべてが参加している、変な奴に渡してなるものかという、持てない男の結束で成り立っている。アグネス様からすれば、実にキモいだろう・・・


この会で、実は変態君が人気だ。年齢的にライバルにはならないし、彼と仲良くなれば、アグネス様のお目に留まるという伝説がまかり通っていた。しかもアグネス様と姉弟のようによく似ている。もう、変態君と養子縁組したいという気持ちの悪い男たちもかなりいる。そんな中で、変態君と中の良い。カールは目の上のたんこぶだ。しかも、アグネス様の周りをちょろちょろとし、まさに絵面汚しだ。実に怖い男の嫉妬だった。


カールはどんよりしていた。しかし、悪魔は待ってくれないのだ。デーモンは、心の隙を狙って仕掛けてくる。カールは、それに気づき、電光石火のごとく、剣を抜いていた。


影を切ったように見えたが、切られたのはデーモンだった。黒い影のような存在だったが、光に吹き飛ばされる闇のようにデーモンの体は、断末魔を上げて、消え去っていった。




いかがでしたでしょうか。この次が長いので、短くなってしまいました。


宜しくお願いします。

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