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神聖祓魔師 二つの世界の二人のエクソシスト  作者: ウィンフリート
平行世界へ
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第54節 食後の会議で

お待たせしましたぁ!


結構かかってしまいました。宜しくお願いします。

食事が終わった後も、宮宰レオポルド様は、話を続けた。


「すまないが、もう少し時間をもらってもよいか?うむ、ありがとう・・・ところでだ。先日、迷宮で見つかった神聖騎士団と思われる具足一式だが、オットーより託された後そのまま教皇庁まで送ったのだ。そして鑑定と裁可を仰いだのだが・・・やはり、ブルーノ神父様の洞察の通りであった」

「おお、それで教皇庁はどのように?」ブルーノ神父が驚いて質問した。

「教皇庁の聖戦担当省に、同じ具足一式が保管されておるらしい。比較したところ、全く同じだったそうだ。したがって、初期に地獄に侵攻した際の騎士達で殉教した者達のものではないかとなった。ワシも知らなかったのだが、当時、7回に分けて送り込まれたらしい。それぞれ装備が異なるとかで、どの派遣隊だか、すぐわかるそうだ。特に第1回は苦戦したらしいからな・・・」

重い沈黙だった。しかしすぐにブルーノ神父が沈黙を破った。


「それで遺品として遺族に渡されるのですが?」ブルーノ神父はそこが気になるようだ。

「それが、どれが誰のだかわからないのと、子孫は全員絶えているそうだ。というより、家族で遠征したものばかりなので・・・追跡できないらしい」


「しかし、殉教者の遺品となれば、聖遺物として欲しがる教会がありそうですが・・・」

「ワシもそう思ったのだが、誰のものかもわからない上に、実際、誰が亡くなったのか、誰が生きながらえたのかも分からないからなぁ。また、ヘルムと胸当てが違う人のものだとか、つまり、具足を拾い集めてゴーレムを作った可能性も当初指摘されていた」

「アポロニアが倒したのは、死霊使いではなかったのですか?」ブルーノ神父は不満そうだ。それはそうだろう。ゴーレムを倒すのと、死霊使いが操るワイトでは格が違うのだ。


「いや、ワイトではないかとも言われている。聖霊加護の祈りによって倒されたからだ。話が複雑で教皇庁も類推の域をでないまま、ああだこうだと皆で申している」

「で、具足一式の行方はいかに?」オットーが尋ねた。

「空飛ぶザクセン人に、ぷぷっ、下げ渡しが決まった。しかし、傭兵団の名前はもう少し考えてほしいよの?なぁ、面白すぎるぞ、オットー?」

「はっ、御意。しかし、彼らの意気込みは見上げたものです。我ら誇り高きザクセン人の良い見本ではないかと存じます・・・」オットーもすこし笑いをこらえて申し上げた。

「そうだな・・・カール達はもともと誰の家臣だったのだ?」

「それが分からないのです。私もレオンもザクセン騎士の末裔ですが、家臣団は総崩れでございます故」レオンもうなずいている。


ふと、また重い沈黙が訪れた。皆、大攻勢から過ごしてきた、辛酸をなめた長い年月を振り返っているようだ。もう大攻勢から172年もたってしまった。未だに、我らの所領は、デーモンの支配下だ。


「あ、それでだ。聖戦担当省から特使が来られる。枢機卿様なので、くれぐれも粗相のないようにな」

「え、この砦にお越しになられるのですか?」ブルーノ神父が驚いている。

「直々に、空飛ぶザクセン人達に、うぷぷ、具足を下げ渡したいらしい。特使は、教皇特使としても任じられている。なんと我らのパパ様が、本当は砦に着たかったらしい」

「げげっ」みんな驚いている。


レオポルト様は、皆の顔を見回してから、話した。

「まだ、私は会っていないのだが、例の地獄から来た少年に会いたいらしい。聖戦担当省の枢機卿様といえば・・・今世紀最強の祓魔師といわれておる」

「あ、ベルンハルト様ですね・・・」ブルーノ神父が驚いている。

「左様。ベルンハルト様は、いたく少年に興味を覚えておられるようで、是非、会いたいそうだ。話は以上だ。いやすまなかった。では今日も一日頑張ってくれ」

「御意」全員がそう答えた。


「あ、すまん、アグネスとロッテ、うおっほん。いやシャルロッテ残ってくれ」

「はい」二人が同時に返事した。全員退出るのを見てから、レオポルトが話始めた。


宮宰様は、威厳もどこかに吹っ飛ばしてしまった。急に顔が溶けたように甘く柔和になっている。

「どうした。もう大丈夫なのか?」二人の顔を見ながら聴いた。

「はい、父上、もう大丈夫かと・・・」

「そうです。姉上の仰るとおり、私は元気になりました」まぁ、最初から元気だけどねとアグネスは思ったが、ここは我慢して秘密を貫き通さねばならない。


「そうか、昨夜見たときと比べると確かに元気なようだな・・・昨日のロッテは儚げで、すごい美少女だったぞ。少しぐらい元気じゃないほうが可愛いじゃないかと思ったぞ。あ、おっほん。もちろん元気なロッテが一番だがな、はっははは・・・」

父上、それ地雷です。アグネスは言いたかったが、仕方ない。ロッテは、ぐぐぐぐぐという感じで堪えている。気づいてしまったのだ。女装した悪者君のほうが、可愛いと父が思っていたことを。


なんだかこれはマズイと気づいた父上は、じゃ、仕事なのでと風のように去っていった。


二人きりで食堂に残されると、シャルロッテが、ぎりぎりと歯噛みをするような感じで何かいった。聞き取れなかったアグネスは、聴こえなくてよかったかもと思っていた。


「じゃ、ロッテ、猫ちゃんに会いにいこう?」

「はい、お姉さま」すこし機嫌が直ったようだ。


二人でいそいそと出かけた。シャルロッテはドレスのままだ。

明星亭について、ドアを開けて、裏口にまわり、納屋にいくと、ちびっ子がいた。


「おはようございます」二人であいさつした。

「おはよう・・・ございま」語尾が聴こえないけど、答えてくれた。喋れるようになったのね?


「あれ、アーデルハイトは?」

ちびっ子は下を指差した。床の扉が開いている。二人で下に降りると、悪者君とアーデルハイトがいた。悪者君の頭の上には、白い母猫が行儀よく座っている。猫シャルロッテは、アーデルハイトの膝の上でゴロゴロいっている。


「おはようございます」二人が唱和したようにぴったりと合わせて答えた。


うふふ、この二人はなんか将来結婚しそうね。アグネスは女の勘でそう思った。


悪者君の頭の上の母猫は、銅像のように動かない・・・


「どうしたの?なんか変よ?」アグネスは思わず尋ねた。

「いや、なんだかロッテママに懐かれたんですよ・・・」

「それ懐かれたと言えるの?」

「わからないです。でも、爪は立てないんですよ」

「ふーん」


 アグネスは、あたりを物色した。子猫欲しいなぁ・・・ね、おかあさん猫さん、どの子か私に飼わせていただけないかしら?母猫にお願いしたら、悪者君の頭から飛びえ降りて、一匹の子猫を咥えて連れてきてくれた。山猫のような模様の猫だった。その子は、アグネスのところで床に落とされると、にゃーと鳴いて、アグネスの足に自分の頬をすりすり摺り寄せてきた。


「ありがとう、大切にするわ」と言って、子猫を抱っこした。この子は男の子かしら?それとも女の子?よく観察すると、シャルロッテの猫よりさらに一回り大きいし、前足も太い。たぶん男の子なんじゃないかな・・・我が家の先祖、ヴィドゥキントにしようかな。それとも髭がすごく長いから、ランゴバルトでもいいかな・・・でも、ランゴバルト族は滅んだからな・・・


 ランゴバルトとは、古いゲルマンの言葉で、長いひげだ。今でも発音はランガーバートだから、あまり変わらないか・・・しかし、部族ってなんなんだろう。そんなに差がないのに、討伐されたりとか・・・我らザクセン族も騎士だけで何千人もフランク族に殺されている歴史があるし・・・

 シャルロッテは自分の子猫にあったおかげで、すっかり機嫌がよくなっているようだ。いや怒りを忘れているだけかもしれない・・・


 あ、もう仕事にいかないと。ランゴバルトに後でくるからいい子にしてるのよといって、アグネスは仕事に出かけた。

 シャルロッテも今日も見学するとかで、子猫を諦め、一緒に鉱山口まで歩いていった。

「お姉さま、子猫ちゃんの名前どうされるのですか?」

「そうね、ヴィドゥキントかランゴバルトにしようかなって思っているわ」

「ああ、確かにあの子の髭は長いですわね」


 それから入山する人達を捌いた。なんだか、シャルロッテのことを、もしかして悪者君じゃないかと思っている人達がいて、話しかけられてシャルロッテは憮然としていた。


 ある程度入山が済み、手がすいてからシャルロッテが言った。

 「なんだか、このドレス、もう着たくありませんわ。父上もひどいです。私より変態君のほうが可愛いだなんて・・・」

 あれ、悪者君から、変態君に名前が変わっている。

 「確かに、変態君は、お姉さまにソックリで可愛いです」

 「ちょっとロッテ?悪者君でしょ?変態君じゃなくてよ」

 「いいえ、女装が趣味だなんて、しかも、父上を誑し込むなんて・・・変態です。不潔です」

 「ロッテ、あなた、たらしこむなんて言葉使っちゃだめよ」

 「ごめんなさい。でも悔しい。私より男の子の方が可愛いなんて・・・」


 なんだか、思った以上にシャルロッテは傷ついていたようだ。でもなんか可笑しかった。悪者君という呼び名だって酷いけど、変態君ってもっとひどいよね。レオン様が聴いたら大喜びしそう。


 そこに噂の変態君がやってきた。早速、今から彼は変態君だ。うふふ。


 変態君は、空飛ぶザクセン人達と一緒にやってきた。今日は迷宮に潜るそうだ。アグネスに、例の鎧がカール達に下げ渡されることが決まったそうよって伝えられたカールは驚いている。一番喜んだのは、盾職の二人だった。彼らは鎧フェチなのだ。暇さえあれば鎧を磨いている。噂によると、コスプレ用の鎧を自主製作しているらしい。これがローマ軍団のなんとか団とか部屋でやっているらしい。カールの部隊で、一番結婚できないのはこの二人だろう。どこかに鎖帷子マニアな女子がいれば別だろうが、二人もいないだろう・・・アグネスは比較的好意をもって二人を見ているが、恋心までは無理だと思っている。恵まれた体躯の持ち主だから、是非ザクセン族のためにも子孫を残してほしいものだが・・・


 それをいうなら、レオン卿もそうだわ・・・あの人はエールかお肉だものね。恐ろしいぐらい怪力で強いのだけど・・・私が結婚するなら、どんな人がいいのかな・・・アグネスは考えたが、答えは出てこなかった。


 入山記録で、自分の名前が変態君と書かれていることに、悪者君は気づいた。あれ???ている顔だ。

 「あの・・・僕、悪者なんですけど・・・変態じゃありませんけど・・・」

 シャルロッテが邪険に言った。「いいの、どうせ名前がわからないんだから、なんでもいいじゃない」

うは、変態君可哀想・・・でも面白いからいいかな・・・アグネスはそう思うのであった。


 シャルロッテがこそっと呟いた・・・ペアヴェアス(ドイツ語の性的な変質者のこと)・・・と。


 アグネスは、ちょっとそれは言い過ぎだと思ったが、シャルロッテの瞳の異様な輝きを見て黙ってしまった。ロッテ、怖いよ。黒すぎ・・・

いかがでしたか?

ありがとうございました。

ほぼ、4千文字程度でアップするようにしているのですが、難しいですね。

ベルンハルトの名前ができきましたが、二つに分けられた世界ですので、実は同じ人物なんです。

あちらの世界では、十字軍の戦士で、すべてを失い、世捨て人のような下級聖職者でしたが、こちらでは、枢機卿になっています。ご存じのように、枢機卿は教皇の一つ下の位です。でも祓魔師の仕事は同じなんですね。現在の私たちの世界でも、エクソシストで司教様という人もいます。


次の話では、どのプロットを出すのかまだ決めておりません。今夜はこれから読書します。ではでは~

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