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神聖祓魔師 二つの世界の二人のエクソシスト  作者: ウィンフリート
平行世界へ
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第47節 白い朝

すみません。もっと先の話に夢中になって書いていて、次が遅くなりました。

「ミハイル、逃げて。生き延びて!パパ様に伝えて。これ以上ここは無理」

そういったとき、母 上の後ろ側に赤い転移門が現れ、要塞の中に骸骨騎士がなだれ込んできた。一番ショックなこと は、骸骨騎士が着ている鎧やサーコートが神聖騎士団のものだった。母上は僕の後ろに白い転移 門を開いてくれていた。何故か母上はアグネスさんだ。

僕はアグネスさんを連れて行こうと、引っ張るけど、体が半分床に埋まっていてビクともしない

。骸骨騎士が迫ってくる。先頭に立つのは、アーデルハイトだ。

「悪者君、覚悟しなさい。美味しいものを私に渡さないからそうなるのよ。さぁ者ども、悪者君

をやっておしまい」骸骨騎士はいつのまにか、沢山の白い子猫になって襲いかかってきた。

アグネスさんがいつのまにかカウンターにいて、子猫達をモフモフしながらキャーキャー言っている

僕の肩に白猫シャルロッテがのってきて、爪研ぎした。バリバリ、痛い。やめて〜。 そこで目が覚めた。


夢だった。


途中であんまりな筋書に夢だとわかったけど、僕はミハイルって呼ばれていたよね・・・なんでお母さんがアグネスさんなのだろう・・・人に話せない夢だよ。 肩が痛いのは、藁布団から藁が飛び出して肩に刺さっていたからだった。


夢で目が覚めた時は、夢が鮮明で、まるで現実の記憶のようで困る。反芻して、どうしてそうなったのか、考え過ぎてしまうようだ。布団を片付けて、挾間から外を覗くと、一面真っ白だ。


霧が辺りをおしつつみ、視界がなく、幻想的だ。霧の中から、さっき夢でみた、骸骨騎士が現れ

そうで少し怖い。昨日アグネスさんからもらったパンとチーズを持って階下に降りていく。


まだ吊り鉄格子は開いてない。不寝番の兵士さんに挨拶すると、霧が凄いから、気をつけてと言

われた。僕は丁寧にお礼を言って外に出て行った。

砦の周辺は、二つの高い山に挟まれた谷になっている。谷は霧で満たされていた。

昨日のお昼、アグネスさんとお弁当を食べたところに行ってみようと思い立ち、向かうことにし

た。鉱山口の前の橋は霧の海に浮かぶ道のようになっている。


橋の上から下の川を見ても何も見えなかった。鉱山街も霧の中に沈んでいる。砦も見えない。いつのも中心街、といっても一本しかない通りだけだけど・・・が霧でぼやけて見とおすことができない。砦も見えない。幻想的だ。


街道とか、丘陵地がどうなっているか見たくなった。昨日通った建物のドアを開けて、通路を通り、反対側のドアを開けて、中庭のようなところに出た。全て真っ白だ。ドアを開ける音に気付いた兵士さんが城壁の上からこちら側に近づいてきて、僕の方を見ているようだ。


「なんだ、悪者君か。驚かすなよ」

僕は挨拶をして、城壁に上がっていいか確認した。

兵士さんは快諾してくれたが、湿気がすごくて城壁の上も濡れているから滑らないように注意し

てって言われた。濡れている石畳みを歩いて城壁の石の階段を上る。


昨日あれだけ開けていた視界が一面真っ白だ。朝日があたりだした、左の高い山だけが見えてい る。兵士さんが近寄ってきて、さっきよりだいぶ見えるようになったのだぞって言った。 「こういう時は霧魔に注意だ。火を灯してその側にいないと、霧の中から急に現れて首に噛みつ くのだよ・・・」


そう言いながら、自分は火の側にいないじゃないか。子供を脅かそうという魂胆が見え見えだよ。僕が一応怖がって見せると、兵士さんは満足して、注意しろよと言いながら、砦の方へ城壁を歩いていった。左の山に当たる朝日がどんどん力強くなってくるにつれ、霧の海は水位を下げ、丘陵地の見通しがつくようになってきた。


僕は空腹を感じたので、パンをかじり、チーズを食べた。あっという間に無くなったが、空腹は おさまらなかった。僕は皮袋から水を飲み、空腹の足しにした。


霧の海は急速に無くなってきて、朝靄になっている。丘陵地に点在する小さな森が海に浮かぶ島

のように顔を出している。


今日は仕事あるかな?


皮袋の水が無くなったのと、霧で体がベタ付いているので、井戸に行くことにした。この街にみんなで使える井戸はいくつかあるらしいが、僕は一つしか知らない。行ってみると、アーデルハイトが水汲みしていた。

「おはよう」急に声をかけたので、アーデルハイトは驚いて少し水をこぼしたようだ。お陰で怒

られて、水を汲まされることになった。ベタ付くどころか、朝から汗をかくはめになったよ。


でも、ありがとう、助かったわと言った時の顔は可愛かったな。


それから僕は水で体を拭いて、修道院でもらった布を洗った。乾かすところがないので、頭に巻

いておくことにした。自分の部屋がないのは不便だな。


皮袋に水を入れて、思い出した。これはアーデルハイトの皮袋だ。僕の革袋は、アクをワインで 取ってくれると言った彼女に預けたままだったよ。ま、いいか。


アーデルハイトの生活力が羨ましいよ。これから食器洗いって言っていたけど働き者だよなぁ。

あんなに小さいのに、頑張っているよね。あ、僕も同じ年だった。


さて、鉱山口に戻りますかって歩き出したら、アーデルハイトがやってきて、パンをくれた。

「さっきはありがとう。霧のすごい日は、霧の中から霧魔が出てきて殺されるから注意しなさい

よ」だって。彼女も大人に揶揄われたのだろう。僕は火を灯してその側にいれば大丈夫だってと

教えたら、そんなこと仕事していたら無理でしょ?だから怖いのよって怒られた。

僕はパンのお礼を言って、鉱山口に向かって歩き始めた。もう、多くの鉱夫さん達や、傭兵さん 達が歩いている。途中で売店が軽食を出していた。ソーセージを焼く匂いだよ・・・美味しそうだ。そう匂いだけ、匂いだけ。うーん、この匂いでパンを食べてみようかな、なんて、くだらないことを考えていたら、ロタールさんに声をかけられた。

「おい、坊主、元気か?もう飯食ったのかい?食べてないなら奢ってやるぜ」

「仕事あるんですか?」

「はははは、気にするなって、奢りだよ」

僕が喜色満面になったのを見て、ロタールさんが、ソーセージサンドを買ってくれた。

「じゃぁな。また機会があったら頼むから頑張れよ。あと・・・アグネス様に・・・いやなんで もない・・・」 「はい、ありがとうございます。頂きます。アグネスさんに、ちゃんと報告しますね」 ロタールさんは、振り返らず手を振った。なんだかちょっと悪い気がするけど・・・助かった。


やった今日はラッキーだよ。

道端に寄って、ソーセージサンドをがぶって食べようとした時、視線に気付いた。僕より少し年

下の男の子が、僕を見つめている。

なんか切実な目だ。僕はすぐにわかった。この子もお腹空いているって。僕はソーセージサンド

にかぶりつくのをやめて、その子に話しかけた。

「どうしたの?お腹 空いているの?」 その子は、僕の手にあるソーセージサンドを見ている。空腹は辛いよな・・・

僕はちびっ子にソーセージサンドをあげた。ちびっ子は手に取ると一気に食べてしまった。

そのやりとり見ていた売店のおばちゃんが、近寄って声をかけてきた。

「あんた偉いね。その子は父親がいたのだけど、先週、鉱山から帰ってこなかったのよ。時々居 るのよ、あんた。入山したけど帰ってこないっていう人がね」

おばさんは、ちびっ子のことを気にして、急に小さな声で話し出した。

「途中で裂け目に落ちたとかさ、魔物に攫われて食われちまうとかなんだろうけどね。その子 さ、可哀相だけど、誰も助けてあげられないのよ。もう寮も出されちゃったらしいし。誰か面倒 見てくれる人いないかなって、みんな思っているけど、みんなその日1日をなんとか生きている 感じだからね」

そうだよな。僕だってそうだもん。明日のことを思い悩むなって、労苦はその日だけでじゅうぶ

んだって、そんな感じの言葉があったけど、そうだよ。今日だけで精一杯だもん。

僕はその子に、またねと声をかけて、鉱山口に向かった。もうすっかり霧は晴れ、いつもと同じ 朝が始まろうとしていた。気持ちを切り替えて僕は歩いていく。 あれ、足音が後ろから聞こえる。ヒタヒタというかペタペタだ。振り返るとさっきのちびっ子だ 。横を向いて関係ないふりをしているが、付いてきたのはバレバレだよ。裸足なのか・・・

困ったな。懐かれたぞ。危ないからついてきたらダメだよと言っても、目を合わしてくれない。

俯いている。仕方なく鉱山口まで歩いて行くことにした。

橋を渡る時に下を見たらもう霧がなくなっていて、川が見えた。流石にこの橋はちびっ子には怖 いから渡らないだろうな・・・なんて思いながら、そのまま鉱山前広場という、手摺で囲まれた 狭い広場を通り、吊り鉄格子をくぐり、カウンター前に着いた。まだ入山登録をしている人達で ぎゅうぎゅうなので、もう一度鉱山口前広場に戻ると、ちびっ子がいた。


仕方ない。寂しいのだろう。僕は手すりに寄りかかって座っているちびっ子の横に同じように座

った。ジベタリアンだ。何も考えないで、ただボーッと登録を済ませた鉱夫さん達がどんどん山

に入っていくのを見ていた。

そうか、本当ならこの子の父親もこういう日常だったんだな。

でも、ある日突然、神様はちびっ子から全てを取り上げになられてしまった。まぁ僕も同じよう

なものだけど。あっちの城壁都市はよかったよ。孤児院あったし。ドミニク神父様みたいな、い

い人いたものね。ご飯食べられてからね・・・

カウンター前が空いたので、アグネスさんのところに行った。


「あら、遅いのね。おや、お友達できたの?」

「おはようございます。昨日はありがとうございました。この子はさっき知り合ったのですが、

付いてくるので、少し困っています」

アグネスさんは、誰の子かすぐに気付いたようだ。

「あー、しばらくお父さんを待って、橋のたもとで一日中ずっと座っていた子ね。 最近、見ないから、どうしたのかなって思っていたのだけど。そういえば部屋を出されたらし いわね。なんとかこういう子を救う制度を作らないといけないわ。ベルタに相談されたのよ。孤児院みたいな施設に予算が取れませんかってね」

ちびっ子は、物心つく前に母と死に別れ、男手ひとつで育てられていたらしい。

僕はどうだろう。記憶ないけど、もしかして夢で見た、僕のことをミハイルって呼んだ人がお母

さんなのかな?きっとそうなのだろうね。でも顔思い出せなくなっちゃった。すぐにアグネスさんに変わっていたからね。

「そうだ、悪者君、ポーターするなら、もう少し早くこないとダメだよ」

そうか、鉱山に皆が入る前に看板出してないと、ポーターとして雇われる確率が低くなるよね。 「アグネスさんのおっしゃる通りだと思います」

僕は明日こそ早くきますと言って看板を借りて、いつもの場所に座った。

するとちびっ子もやってきて隣に座った。あれ、なんか完全に懐かれているよ。参ったな。


結局、仕事もないまま、お昼になってしまった。アグネスさんは、オットー様達と昼食会議とか

で砦に戻っていった。ごめんねって言っていた。いや、ご飯食べたいけど、流石に毎日だと気が

引けますから。あ、しかも今日は連れもいるよ。どうしよう。

僕は、アーデルハイトからもらったパンを出し、二つに分けてちびっ子と食べた。ちびっ子は、 小さな声でありがとうって言った。

お読みいただきありがとうございます。


今夜こそ次の話アップします。よろしくお願いします。

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