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神聖祓魔師 二つの世界の二人のエクソシスト  作者: ウィンフリート
平行世界へ
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第34節 魔法の穴ってどこ?

少年は、魔法を覚えようとしますが、なかなかうまくいかないようです。



午後から、僕は客待ちをしながら、魔法の本を読み始めた。なんだかよくある本らしいのには、がっかりだったが、盗まれたり命を狙われたりしそうもないから、気が楽になった。なにしろ個室も金庫もないのだから、常に持って歩かなければならない。カウンター横の床に座って本を読んでいると、アグネスさんが、なにか長方形の細長い大理石のような板をもってきた。上の面には、小さな宝石が等間隔で並んでいる。アグネスさんはニコニコで可愛い。


「じゃーん。カンタン鑑定道具よ。これで魔法の品とか、魔力の有り無しとか、呪いをチェックできるの。鑑定したいものを近づけると、宝石が光るのよ。まずは本の前に、君をチェックしようか。君自身の魔力とかも調べられるのよ。あるかないかぐらいだけどね」


アグネスさんが、カウンターに本を置いてと言った。言われる通りに置くと、はい、道具を向けるわよと道具を僕に近づけてきて、僕の胸にくっつけた。


「う~ん、魔力はありそうね。よかったじゃない。ブルーノ神父様からお話きいたわ。悪者君って、悪者なのに、神聖騎士団の末裔とかなんだってね。すごいじゃない。あ、そうそう神聖魔法の使い手は、魔力計だとあまり魔力がないように出るらしいわ・・・むしろ、体を神の道具にするので、通過させるだけなのよね。だから無尽蔵に魔法を使えるんだってよ」


僕ははじめて聴いた言葉に驚いていた。なんだろう、神聖騎士団って・・・まぁあまり気にしないでおこう。僕はアグネスさんに聞いた。


「その本はどうですか?」


「あ、待ってね。ではこっちにきて。カウンターの上で計ってみましょう」


アグネスさんは本の上に鑑定道具を置いた。いくつかの宝石が光る。アグネスさんの瞳も輝いた。ニコニコして僕を見てくる。なんかまぶしいんですけど・・・


「すごいよ、悪者君、これ魔道具かもよ」


「え、なんですか、魔道具って?」


アグネスさんの説明によると、普通の本は、羊皮紙にペンでかかれただけなので、いわゆる写本だそうだ。魔道具は、魔法が組み込まれている類のもので、その種類は無限大だそうだ。本に組み込まれている場合は、自分で内容を読み上げるとかが多いらしい。アグネスさんの鑑定道具も魔道具の一種らしい。


「さて、いったいどういう魔道具なんだろうね?君の話だと、ルーン文字でかかれていたのが、触ったらラテン文字に変わったんでしょう?原典はラテン文字だからね・・・魔法のインクで書かれているのかもね・・・調べるなら、鑑定士のところに持ち込まないとわからないけど、ま、お金ができたらかなぁ・・・」


鑑定士はこの街にはいないらしい。城塞都市に住んでいるらしいけど、おじぃちゃんなので、巡回出張鑑定サービスに来ないらしい。持ち込むしかないけど、結界馬車高いし審査があるって。そのうちに何とかしましょうねって言われた。この感じだとずっと放置だね。お金というか所持金ゼロだから・・・稼げるのってどれくらい先かな。


それから僕は本を再び読み始めた。ライトなんだけど、さっぱりわからない。言葉の発音は正しいようだけど、発動しない。解説によると、頭で明るいことを想像して、発音すれば、魔力がありさえすれば自然に発動すると書いてある。


ちょっと待ってください・・・なにこれ、魔力の穴が開通していないと発動しない?凄いことが書いてるぞ・・・なんなんだ魔力の穴って・・・


僕はすっかり落ち込んでいた。とりあえず、次の魔法にいこうかな。ライトの次が加護の魔法だった。唱えることで、その日一日の防御力とか、色々なステイタスが微妙に増加するって書いてある。これも全然発動してる気がしないよ。やっぱり穴をあけないといけないのかな。怖いよ。


眉間にしわを寄せて悩んでいたら、アグネスさんがカウンター越しに僕を見ていた。目があったら、僕って、ちょっと赤くなってしまったかも、ニコニコってしてくれるので、僕もニコニコってした。


そしたら、休憩しましょうって。お菓子付だって。やったぁ!


カウンターの上に、パンのようなリンゴ味の焼き菓子が置いてあった。それに飲み物はサイダーだ。サイダーはリンゴの甘酸っぱい味がする美味しいやつだよ。サイダーってローマ人が良く飲んでたらしいけど、もともとは、ケルト人の飲み物らしいじゃん。今日はいいことばかりおきるなぁ。


僕は焼き菓子にかぶりつき驚いた。なんか甘い。


「美味しい!」


「よかったわ。私が作ってみたの」


すげー、もうお嫁さんにしたいなぁって、貴族の娘だから自分でつくるわけないよ・・・


「アグネスさんって貴族の御令嬢なんでしょう?ご自分でつくることなんてあるんですか?」


「う~ん、ちょっとね・・・毒入りお菓子の研究してるのよ」


うぐぐぐ、お菓子が喉につまってしまって、ジタバタしてしまった。アグネスさんがサイダーを渡してくれた。ふぅ。死ぬかと思ったよ。え、でも毒のんじゃったの?


「大丈夫よ、毒は入ってないから。あは。ちょっと毒をいれて迷宮に撒くと食べた魔物がしんじゃうんじゃないかなって実験しようと思っているのよ。魔物も美味しいものが好きらしいから・・・で、美味しかった?」


ニコニコして僕を見つめてるアグネスさん。きれいな薄い青い色の瞳。むふふ。なんかいい匂いがするぞ・・・ドレスとか着たらどうなるのかな。


「はい、とてもおいしかったです。ご馳走様でしたぁ」美味しい以外は答えられないよね・・・でも本当においしかった。


アグネスさんは満足して、よ~し、アーデルハイドにも食べてもらおうっと呟いていた。


さてと、また学習、学習っと。僕はカウンターの隣に陣取って、横の壁に看板を立て掛け、また魔法書にとりかかった。


次は、えーっと石の肌?なんだか詰まんないな・・・もっとスゴイのない?


僕はパラパラと捲ってみた。おおおお、これはすごそう。空を飛ぶだってよ・・・何々、えっと、空を飛ぶには先ず浮遊を習得し、そよ風、強風を覚えて利用するだって。やっぱり高度なものは、それなりに段階を経ないと無理なのか・・・


いや、まずはライトだよな・・・朝みたいに暗闇に取り残されるのは怖いよ・・・


もう夕方になってきた。鉱山口は東に向いているので、西日は差さないけど、開け放たれた門からよく見える街が赤くなってきている。あ~どうしよう、今夜のご飯・・・


「あの・・・ねぇ、君」


朝一番で通った傭兵だけのパーティの人だったかな。


「ちょっとドロップしてね。うちのメンバーだけだと持ちかえれないんだよ。きてくれないかな・・」


僕は、うれしくて即座にオーケーしてしまった。


「お金出ないかもだし、迷宮だけど、大丈夫かい?」


「あ、ご飯食べられればいいので・・・後で相談というわけにいかないですか」


「うーん。君に不利にならないようにしてあげたいけど。時間がなさそうだから、すぐに行こう。アグネス様には俺から話すよ」


しまった。今迷宮とかいってなかった?まぁ、持ちかえる話だったから、いいかな。


「悪者くーん、迷宮だけど大丈夫かな?一番浅いところだっていうけど」

アグネスさんが、心配そうだけど、晩御飯のためだよ。頑張らなければいけない。


「たぶん大丈夫です。頑張ります」


「じゃ、行こう」


僕は付いていった。徒歩だけど大股だから速いや。あ、加速って魔法を本で見たな・・・やっぱり鉱山にしろ迷宮にしろ、魔法を覚える方が先だよね。でもご飯食べられないもんな・・・


坑道に入ると、傭兵さんは、リヒトと唱えた。魔法が発動して明るくなった。


あれ、今バイエルン語かな・・・ライトじゃなかったよ。違う魔法体系なのかな。


傭兵さんは、ハインリヒの大広間をまっすぐ進んで、プレートに幾つかの言語で湖とかかれた坑道を進んでいった。何回か分岐と折り返しを繰り返しながらどんどん深くなってきた。いやーすごく深くない?


急に坑道が緩やかになってきた。坑道ではなくて自然の洞窟になったようだ。空気がひんやりとしてる。明かりが届かないぐらい大きい洞窟になった。傭兵さんは立ち止まった。


「さて、ここからは船で進むよ」


なんと地底湖だった。


お読みいただきありがとうございました。


いかがでしたか?現在でも、ドイツとオーストリアの言葉は若干異なります。12世紀ごろはどうだったのでしょうね。歴クラスタなうちとしては気になります。この前、オーストリアの人たちと話す機会があって、私の拙いドイツ語オーストリア訛りでも通じました。すごく嬉しかったです。


次回アップは、明日の夜の予定です。


10連休、読もうと思ってた本、読めませんでしたね・・・やはり、絞る必要がありました。色々と欲ばると全部だめっていうのがよくわかりました。教会ラテン語の勉強したほうが、自分の魂にはよかったかもかも・・・ではでは、グリュースゴット!

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