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神聖祓魔師 二つの世界の二人のエクソシスト  作者: ウィンフリート
平行世界へ
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第24節 最後の神聖祓魔師ではないのか?

こんばんは。


いよいよ、謎の少年の正体が明かされるような推論が、新キャラブルーノ神父様によって、語られます。

ブルーノ神父は直ぐにやってきた。初老の聖職者だ。聖職者ではあるが、鎧を着ている。鎧は年季が感じられる、実戦をかなりくぐった感じだ。


ブルーノ師は、ゴルトムントが聖水を戻しにいった際に、彼が仔細を話していたため、とても気になっていたようだ。


この砦には礼拝堂だけで教会はない。ブルーノは教区司祭ではなく。従軍司祭であり、神父ではあるが、むしろ戦士系のほうが近い。しかも、聖戦修道会に所属する、神聖魔法の使い手だ。


武器は巨大なホーリースプリンクラー(聖水撒き)と、大きな祓魔用十字架だ。十字架の中央には、聖ベネディクトゥスの大きなメダイがついている。彼の得意技は、屍人使いや悪霊(あくれい)憑きの解呪、アンデッドが出た時に活躍する系だ。ブルーノは魔法という言葉を嫌う。神聖魔法は魔法ではないというのが持論だ。神から与えられる神聖な力を行使しているが、働いているのは神であり、ブルーノはその道具でしかないという考えだ。


山から水を導くパイプに自らを例えるのが好きで、何かというとその話しをする男だ。オットーもその考えに賛同している。聖剣を光らせているのはオットーではなく天使だから、同じ原理だからだ。ただ、話が長いのが玉にきずなのだ・・・


ブルーノがきた。例の大きな十字架を手に持っている。開口一番、


「オットー隊長、子供は?聖水を飲んで何事もないのだから、問題ないであろう。一体どうしたのだ?」


「神父様、私が聖剣を励起したところ、少年も光り出したのです」


「真か?」


オットーは、先程と同じ様にやってみせた。額に十字架がひかり、肩のアザが光り出した。


ブルーノは、目が飛び出るかと思うぐらい、驚いて、じっと少年を見ている。


「これは・・・神聖契約だな。初めてみたぞ。話には聞いたことがあるが・・・本当にあるのだな」


「なんですか・・・その契約とは?」


ブルーノは暫く口がきけなかった。気を取り直すと、少年に優しく言った。


「服を着なさい」


それからオットーに目で外で話そうと合図し、部屋を出て行った。オットーはゴルトムントに何か少年に食べさせてやれと言ってブルーノの後に続いた。


外に出たブルーノは砦に歩いていった。そのまま砦の礼拝堂に入り、祭壇前で跪くと短く祈り、立ち上がって振り返って、小さく呟いた。


「大変な事が起こるかもしれない・・・」


それから、礼拝用の椅子に座り、オットーにも椅子を勧め、話しを始めた。


「あの子は、神聖祓魔師の末裔だと思う。170年前、悪魔の大攻勢の時、ほぼ世界が悪魔に支配されそうになり、我らの神は、世界を救う為に、世界を二つに分けたと言われておろう?


1,200年前、神は、地獄から煉獄を分け、悪魔の力が死者に過度に働くことを避けることができるようになったそれにより、それ以前の死者の罪は許され、そのあとに死んだものも煉獄において悔い改めることにより、悪に染まりきれなかったその者達の魂は、神によって救われる事が出来る様になった。


それからは、悔い改めた者たちの魂が、煉獄より天に上げられ、神の栄光を褒め称えることにより、天全体の霊力があがる算段だったのだが、千年の間に計算が狂ったようなのだ。


その原因の一つは、この世で悔い改める魂が減ったことだ。悪魔の奸計により、教会の中に蛇がはいり、正しい教えが歪められ、異端の教えにより、魂を地獄に数多く落とすことになってしまったからな。


そして、1,000年かけて周到に準備された、隙を突く悪魔軍の大攻勢により、人の世は、悪の手に堕ちそうになってしまったのだ。


神様は、結構放任主義だからな・・・だが、我らの神が、人の世を二つにわかつことにより、片方の世を悪から守り、もう片方の世を、悪魔の大攻勢に晒されても良いことにされたらしい。


無論わしやそちがいるのは、残念ながら、さらされているほうだ。でも、神様は、我らが蹂躙されてもいいとは考えておられない。


隔離された護られたあちらの世界よりも聖霊が働きやすい環境をこちらに作ってくださり、我らが、神の道具、神のしもべとして、効率よく動ける様に力を分けてくださったのだ。


こちらの世界の民は、そんな事は知らぬ。ただひたすらに生き、魔物と戦い、この世を人の手に戻すべく日夜奮闘しているのだ。我らは神の軍の一兵卒として、魂を磨き、神に栄光を帰さなければならぬのだ。この世が再び一つとなる為にも」


オットーは、話しが長いんだよって顔でウンザリしている。ブルーノはそれに気づいて、またやっちまったなという感じで頭を掻いた。


「それで、あの少年は?」オットーが助け船を出した。


「おお、スマンスマン。170年前の大攻勢で、悪魔軍の勢いは凄まじく、教皇庁も蹂躙されたのは知っておろう。教皇庁も、イタリアも、未だに悪魔の手に落ちたままだしな。


神はあちらの世からライン河の東側を、そしてイタリアから北側を切り取られて、ふたつめのこちらの世界を造られたらしい。コピペだ。


だから、城塞都市の西側に大地溝帯があるじゃろう?あれはライン河だったのだ。あの対岸は地獄と言われておる。つまり敢えて繋ぐことにより、攻められやすくはなるが、攻めやすくもなるということだ。逃げてこられた教皇様は、神からの啓示をうけ、悪魔軍の大攻勢を止めるため、聖性の優れた者を集めて修道会と騎士団をつくり、大地溝帯の向こう側、つまり地獄に軍を送り込んだのだ」


「その聖なる者たちはどうなったのですか?」


ブルーノは咳払いをし、もったいぶっていった。


「それがわからんのじゃ」


オットーがガクッと崩れている。


「あの子は、その一団の末裔かもしれぬと申したではないか・・・」


「神父様・・・どうしてその様に思われたのですか?」


「あのあざじゃよ。地獄で生き残る為に、そして地獄からの転移門を通る為、彼らの肉体には神聖契約の印が刻まれたと聞いておる。神聖騎士団と神聖修道会は地獄で砦をつくり、可能なら子孫を増やし、継続して戦い続ける事とされておったはずじゃ。あの子は地獄で生まれた、最後の神聖祓魔師かもしれぬ。恐らく陥落する砦から、悪魔軍に負けた事を知らせる為に送り返されたのかも・・・」


「神父様、物凄い想像力です」


「そんな、わしを法螺吹きのように言わないでおくれ・・・」


「しかし、話は綺麗に辻褄が合いますね。もう少し話しをあの子から聴いてみることにします」


「うむ、そうじゃろ?・・・できればわしも立ち会いたいのう。わしの推論から導き出される結果、一番怖いのが・・・」




オットーは、少年のところに戻った。オットーは、神父様が最後に言った、実に怖しい可能性を反芻していた。地獄に突き刺さった聖なる棘、つまり、神聖騎士団達が大攻勢を止めていたのだとすると、棘が抜ければ、再び悪魔軍が進攻してくるのではないかということだ。


大地溝帯で、地獄とこちらの世界は繋がっているが、実際のところ、地獄はかなり深いところにある。地面の下で繋がっているため、魔物や悪魔の眷属は、地獄から地下を通ってこちらにやってくる。ここの鉱山のさらに下にある迷宮は、地獄に繋がっているようなのだ。悪魔であれば、元天使でもあるため。直接地表にやって来れるが、基本的には下っ端を使う為、直接は来ない。偵察には羽のあるガーゴイルなどを転移門で送り込んでくるようだ。


オットーは、我に返り少年を見た。お菓子を手に持って無邪気な笑顔だ。まさか、文字通り地獄を見てきたと思えぬ。


とりあえず少年に、今日の話これでおわりにすることと、そして、シート泥棒の疑いが晴れたわけでもなく、荷車が無くなった件も関与が疑われる事、今は投獄しないが、この街から出てはいけない事、今日はご飯を砦で食べさせるが、明日からは自分でなんとかしろと言った。


少年は悲しげな表情を浮かべていた。

いかがでしたか?


そういえば、ドミニク神父様はどうしてるのでしょう。


追加した副題のように、こちらとあちらで、少年とドミニク神父様が活躍する予定です。


今夜は、貧乏ちゃんのアップは厳しいようですね・・・


ではでは・・・朝までに貧乏ちゃんアップしたいです。

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