第75節 アーベントイラー ノルマンの剣
アレクシスは、下手くそな看板のあとで、謎の剣を見つけます
Ⅰ 謎の古い剣
「この剣って、結構、古い剣だよな・・・」
アレクシスは、鍛冶屋のヘルマンに剣を見せている。ヘルマンは剣を手にとり、細部を色々とみてから答えた。
「そうだなぁ・・・このタイプを砦で使っている奴はいねえぞ。
多分だが・・・ヴィーキンガーシュヴァーツってやつだろう。つまり、ヴァイキングの剣だよ。ノルマン人が攻めてきた頃にもたらされた剣だろう。昔から俺たちザクセン族が使っていた剣とは、形が違うんだよ。というかフランク族も俺らとほぼ同じ形の剣だ。ビザンチウム帝国が使っていたやつと同じなんだな・・・
俺がここの砦で鍛える剣も違うからな・・・自分の剣を見てみろよ。
まず、刃の形状が違う。束のすぐ下が幅広で、そのまま細くなるが、剣の先端まで、すこし曲がってから尖っているだろう?」
アレクシスは、自分の剣を抜いて比べてみた。
「本当だ。俺の剣のほうが尖っていて、シュッてしている。それにグリップの下は細くて、そのままシュッとなっているよな・・・」
「おい、アレクシス。お前は槍や剣より、言葉の練習をしたほうがいいんじゃねえか?」
「うるせー。ほっといてくれ」
鍛冶屋のヘルマンは、笑って、また説明を続けた。
「使われている鉄が違うんだよ。おめえの剣は、鋼鉄だからな。ヴィーキンガーは、鉄としては鋼鉄ほど強くない鉄なんだ。だからおめえのいうところのシュッて形にすると弱くなっちまう。戦いの最中に折れたら困るだろう? もともと重さを使って叩く剣なんだよ。
それにな、俺の作る俺たちザクセン、というか帝国でも、この束とガードのところが十字架に見えるようになっているんだよ。
デーモンは十字架が苦手だし、まず、使うやつが、俺って聖戦士?って思えるように造形してるんだな。まぁ、フランク族のカール大帝の剣のレプリカを見たことがあるが、シュッとしているんだ。あの頃からあるデザインだけどな・・・切るのも刺すのも得意な剣なんだ」
段々とヘルマンが興奮してきた感じがする。武器が好きだから、こういう話になると嬉しそうに長々と話し出すんだよな。アレクシスは、最初は鋳つぶして使い捨てのジャベリンの鉾先にでもしてもらおうと思ったが、ヘルマンが妙に反応するので、これは高く売れるという言葉を期待していたのだが、一向にそんな気配もない。すこしうんざりしてきていた。
「そういえば、クローヴィス1世の剣というやつも話には聞いたことがあるが、あれもシュッとしてたらしいぞ・・・今はなくなっちまっただろうな。あの辺は地獄に呑まれちまっているからな・・・」
「ふーん。俺は、あまり剣は使わないからなぁ・・・ま、俺的にはヴィーキンガーより、今の剣のほうがいいぜ」
「そうだろ、そうだろ。おめえは見る目はあるんだな。
で、こんな剣、一体どうしたんだ?ドロップしたのか?」
「いやいや、拾ったんだよ。落ちてたんだ。
ていうかよぅ・・・立てかけてあったんだ。木に」
「なに?迷宮か?あ、木に立てかけってことは砦の外だな?」
ヘルマンは眉間に皺を作って訝しげにアレクシスを見ている。
「いや、今遠征中でさ。森の中で木に立てかけてあるのを見つけたんだよ」
「どこの木だ?」
「知らねえよ。なにしろ初めて行った森だし」
「どの辺の森なんだ?」
「最前線の砦の東側だったな・・・」
「解せねえな。あの辺りは人間は住んでねぇ。古い剣だろう? 放置されている感じはないぞ・・・手入れされているぜ・・・錆一つねぇ・・・魔法でもかかっているみたいだぞ・・・魔剣だったらやばいな・・・」
そういうと、ヘルマンは、急に腫物を触るように・・・剣を静かに作業台の上に置いた。
「おいおい、オヤジ。怖いこというなよ・・・」
「まぁ、ヴァイキングが使っていた剣だろう。握りの上の装飾を見る限り、ノルマン人の剣だろう・・・しかし、あのあたりに来たとしても、おかしくはないが、少なくとも200年は前だろう。今のライン川が遡れる筈がないからな・・・いくらノルマン人でも、デーモンの谷は超えられまい。で・・・木に立てかけてあって・・・うっかり屋のおめえでも、見つけられるような置き方・・・」
アレクシスは貧乏ゆすりをしている。魔剣と言われてから落ち着かない。いつだったか、少し前にバイエルン傭兵団のペーターが、魔剣に力を吸われて死にそうになっていたことを思い出していたからだ。
「オヤジ、これやるよ・・・」
「おいおい、馬鹿言うな・・・置いていくなよ・・・これは砦の三悪人じゃねぇや、三役人のお方にお見せしておかないと、おめぇ、怒られるぞ」
「・・・わ、わかったよ。じゃ、今から見せてくる」
そういうと、アレクシスは剣を手に取ろうとして、躊躇した。それを見てオヤジは察して、ぼろ布を手渡した。
「これで持っていけ。なにか異常を感じたら、すぐに放せ。投げるんじゃねぇぞ。魔剣は投げると近くに飛んで行って人に刺さることがあるからな。人が死ぬぞ」
「・・・わかった」
Ⅱ 砦の三悪人
アレクシスは、決意して、ぼろ布を使って左手で刀身の中間をつかんだ。そして砦の中庭を素早く歩き、二階のオットー様の執務室に向かった。どきどきしている。
(オットー様は多分執務室だろうな・・・いなかったら従者様を探すか、お御堂にいって、神父様を探すか・・・レオン様は、どこだかわかんねぇし。すぐに明星亭にいって酒のみてぇのにな・・・今日の俺はついてねぇぞ)
アレクシスは、執務室への階段を上っていった。砦の外壁は石づくりだが、執務室は石壁の外部にとってつけられたような木造だ。
これは、砦の上階に領主やその一族用の部屋があるからだ。もともとの要塞は守備隊のためだけに作られていたので、手狭だった。そこに領主達の居住スペースを設けたものだから、機能の一部を外に増築したわけだ。
コンコンコン。中で話声が聞こえるが、構わずノックした。
「誰だ?・・・入れ」オットー様の声だ。
「失礼します。傭兵団のアレクシスです。入ります」
オットー様は、執務机に座って、その対面に、ブルーノ神父様とレオン卿が座っている。さっきのヘルマンの言葉を思い出して、笑いそうになったのをぐっと堪えた。
(確かに、怖い面構えだよな・・・三役人というより・・・)
オットー様は、急に表情を和らげ、アレクシスを見つめた。
(さすが、隊長は違うよな。武人としても、リーダーとしても存在感が違うぜ)
「アレクシス、どうしたのだ? 珍しいじゃないか」
「・・・あの、今日の遠征で、変なものを拾っちまったので・・・鍛冶屋のヘルマンに、オットー様達にお見せしたほうがいいっていわれたんです」
レオン様が右の眉毛を吊り上げて、興味をもったような表情をした。
「というか、アレクシス、その手に持っている剣か? 剥き出しで持ってきたから刺されるかと思ったぞ」といいながら笑っている。
「そ、そんな滅相もない」
ブルーノ神父様が言った。
「アレクシス、顔が青いし、唇も変な色になっているぞ・・・というか震えているじゃないか・・・その剣のせいなのか?」
「ちょっと見せてみろ。うむ、そうだな、そっちのテーブルに置いてくれ」オットー様が表情を変えた。
オットー様の執務室は書類を読んだり書いたりする机と、作戦会議用のテーブルしかない。あとは窓があるだけだ。砦では防衛上、窓がないのが普通なのだが、執務室だけは窓がある。窓といっても、鎧戸以外はないので、開け放しの四角い穴といったほうがいいかもしれない。オットー様はここから中庭で訓練している兵士を監視したり、閲兵したりしている。その窓に面したところに会議用テーブルがある。オットー様は、従者様に命じて鎧戸を閉めさせた。
(参ったな・・・置くときに気を付けねぇとだな・・・そおっと置かないとだぞ)
アレクシスは、そおっとテーブルの中央に、ヘルマンがヴィーキンガーといった剣を置いた。それからテーブルから下がって離れたところに立った。従者が燭台を持ってきて、蝋燭に火をつけた。砦の三人は立ち上がり、近づき、テーブルを囲んで立った。みんな目が剣に釘づけだ。
「これは? アレクシス、さっき申していたのはこれなのか?」オットー様が訊いた。
アレクシスは、ヘルマンに話したことをすべて三人にも話した。
「確かに、北方のゲルマン人が使っていた剣のようだな」ブルーノ神父様がつぶやいた。
「で? ヘルマンは何と申した? 呪われているとか、悪魔の剣だとか申したのだろう? あやつは武器に関しては恐ろしく詳しいからな・・・」レオン様が初めてしゃべった。
「でも、邪気は感じぬぞ」ブルーノ神父が言った。
「しかし、これは美しい剣だな・・・しかも手入れしたばかりのように綺麗だ」
オットー様は、触らないようにして、顔を近づけた。
「血に濡られた剣というわけではないな・・・美術的というか、歴史的に価値があるような剣だ。公爵様なら、あちこちの剣を集めておられるので、所望されるかもしれぬ」
「おう、オットー卿、そうだな・・・公爵様のコレクションは大したものだ。特にフランキスカだよな・・・何本も壁に掛けられていて、そう、すぐに投げられるようになっているんだ。あの中には、フランク族の王が所有していたというフランキスカもあって・・・拙者も欲しい斧があるんだよ。おっと脱線した。すまぬ」
オットー様はにやりと笑った。
「卿も、ヘルマンのことを責められぬぞ。部屋に武器を集めているのは知っているぞ」
「まぁ、われら武人は、武器で生き、武器で死すのだから、相棒のようなものだ」
ブルーノ神父様が咳払いをした。二人は気づいたように、視線を剣に戻した。
「二人が武器が好きなのは、相分かったが、どうするのじゃ? これ・・・」
オットー様は、険しい顔になった。
「アレクシスが良ければだが、この剣は、砦で買い上げさせて欲しい・・・
正直なところ銀貨100枚程度しか出せないが、呪われておらず、魔剣でもなければ、公爵様に献上し、公爵様に、褒美にいくらかでもいただければ、おぬしに渡すという約束でどうだ?」
アレクシスは、すでに捨てるつもりだったので、銀貨100枚と聞いて喜んだ。
「ありがとうございます。本当に助かります。じゃ、これ置いていきますので、失礼します!」
アレクシスは、三人が驚く速さで、姿を消した。執務机に戻って、財布の革袋から銀貨を出そうとしていたオットー卿はその速さに驚いて口をあけたままになっていた。
「あいつ、金は要らないのか?」
砦の三人と従者は、顔を見合わせて笑った。レオン卿が笑いながら言った。
「よっぽど魔剣と縁を切りたかったのだろう・・・」
「ははは、これは魔剣ではあるまい・・・邪気が全くないからな。
「しかし、問題は由来だ・・・恐らく古い剣だろう、ノルマン人がこのあたりに・・・いや、ここまでは来たという話は聞いたことがないな・・・」
「これは城塞都市の学者達に見せたほうがいいかもしれぬぞ」とブルーノ神父。
「いい状態に保たれているな。魔封じの箱を久しぶりに出すか?」
「その方がいいかもしれん。レオン」
「さっき、オットーが来た時には、この剣の話がなかったな・・・」レオンが訝し気に言う。
「最初にヘルマンに見せたのだから、多分、自分の槍の鉾先に鋳つぶしてしまおうと思ったのだろう」
「ああ、多分そうだな。あいつはあれでしっかりしているからな。見たか?あの投擲用の補助武具」
「うむ。驚いた。変な形だが、飛距離が増すんだ。大した工夫だ」
「そうだ。今度、古代ローマの攻城兵器、バリスタの小型版を、塩砦にも導入するのだが、あいつも絡ませるか・・・」
「そうだな。ワシも賛成する」
「神父様は?」
「あ、おう。いいんじゃないか・・・それよりも、魔封じの箱に早く詰めたほうがいいぞ」
「あ、はいはい。持ってきますよ。おい、頼む」レオンは、従者たちに持ってくるように依頼した。
「じゃ、最前線の砦に手紙を書くぞ。伯爵様がどう思うかだ・・・推薦といったところにしておくか。いずれにせよ、宮宰様からは、一枚噛むように言われているのだし、誰か派遣しないわけにいかないからな」
神父様とブルーノ卿は、大きくうなずいた。
アレクシスは、砦から明星亭に急いだ。
(もう、はじまっちまったか?)
「あれ、カールじゃね?」
前を見慣れた後ろ姿の男が歩いている。男は振り返った。
「あれ、アレックスじゃないか。先に明星亭に行ったのではなかったのか?」
ちょっと、一瞬の間があって、アレクシスが答える。
「いや、鉄の剣を拾ったんだよ。言いそびれたんだけど・・・鉾先の鉄が足りないから、鋳つぶしてもらおうかと思って、ヘルマン親爺のところに行ったんだが・・・
これはノルマン人の剣だから、怪しいって言われてな、砦の三悪人じゃねぇ・・・三役人にお見せしろってな・・・それで見せてたんだよ」
「そうなのか。そのまま鋳つぶしたほうが、よかったんじゃないか?」
「いや、でも銀貨100枚で買い取るってさ」
「おう、すごいな。それで鉄を買ったほうがいいかもな」
「いや・・・みんなでわけようや」
「お前が拾ったんだから、お前がもらえよ」
「カール、俺はいつも金に困っているし、食うものにも困っているが、それは皆そうじゃねぇか・・・銀貨1枚なら、それでもいいが、100枚なら、皆で分けたい・・・クリスタにだってな、ひとしく分けてやりたいぜ」
そんな話をしていたら、明星亭についた。砦の城壁は第1門と呼ばれる吊り橋門だが、そのまま鉱山街の広場に繋がっている。その広場に面しているのが明星亭だ。
「アレクシス、先にいっててくれ。ちょっと用事があるんだ」カールがそういって、広場の反対側に歩いていった。アレクシスは、遅れて明星亭に入ったが、まだ乾杯前だった。
まだ心臓がバクバクしているような気がした。
Ⅲ クラウディア
なにかと、アポロニアが、クラウディアのことを心配しているようで、世話を焼いていた。
確かに、顔色が悪く、元気がない。
(俺だってそうなんだけどな・・・)
今日の、あの森は、非常にタフじゃないとやっていけないところだった。まして、今まで、あまり前衛では、なかったからな、クラウディアには精神的に辛かったのだろう。
(俺も辛かったぐらいなんだから・・・特にあの汚ねぇ看板な・・・危険にはびびびって反応するおれが、俺がだぜ、踏み込んじまうなんて・・・)
もう、とにかく浴びるほど、エールをあおって忘れちまいたかったが、クラウディアが、あの調子じゃ、そうもいかねぇよな・・・大事な俺らの妹みたいなもんだからな・・・心配でいけねぇよ・・・
でも俺にできることなんてねぇしな・・・おどけるといったって、独りじゃバカみてぇだし。カール、早く戻ってこねぇかな・・・
カールが戻って来たときには、もう、クラウディアは酔いつぶれていた。
「カール、おせぇよ・・・何してたんだ?」
「いや、地図の複製を頼んでいたんだよ。出来たそうなので、取りにいってきた」
そう言って、カールは、丸めた羊皮紙を出した。地図だった。
「おーすごい、すごい」使徒様が喜んでいる。地図なんて初めてみたクリスタもだ。アポロニアは眉間にしわをよせて、吟味しているようだ。
(ケチをつけそうだな。この中では、一番の知識人だから仕方ねぇか)
「カール、幾ら取られたの」(なんだ、アポロニアの気にしているのは金か)
「いや、知らぬ。砦の発注だからな。本物を返してきたので、時間がかかっちまったよ。おーい、アーデルハイトちゃん、エール頼む!」大きな声だ。
すこし遠くから、エール一丁という声が聴こえる。
「これって、これが街道よね?十字になっているところが、ゴブリンがやられたところね?」
「そうだな・・・あ、バイエルン大公黒獅子城って書いてある。これ城の記号なのね・・・」
「うん。200年以上前の地図らしいぞ」
「あ、こんなところにプファルツ伯の名前がある。北の街道が、塩街道と交わっているのね・・・なんか面白いね」
「そうだな。この辺りにバリケードがあるだろう・・・」
「あれ、塩砦がないわ」
「そりゃそうだよ。このころは鉱山と村だけだからな・・・砦の下の方にある村はあるだろう?ほら菩提樹と教会が書いてあって・・・」
「ああ、本当だ。凄いわね・・・そういえば、ローマの地図を昔見せてもらったことがあったけど、あんまりピンと来なかったのよ・・・それってさ、ローマを実際には知らないからだよね。知っているところだったら、すぐ分かるもの・・・」
「あら、地図なの?珍しいじゃない・・・エール、お待ちどう」
アーデルハイトが大きなジョッキを持ってきていた。
「ダンケ、アーデルハイトちゃん。乾杯はいいよな。じゃ、飲むぞ」
カールは、喉の音を立てながら、一気に飲んだ。俺は、喉が上下に動くさまを見て、面白いと思った。
「なんだよ、アレクシス。お前も飲めばいいじゃん。じろじろ見るなよ」
「いや、すまん。そうだ、クラウディア、調子悪いんだよ。明日、無理じゃねぇかな」
「そうなのか・・・そういえば、変だったよな。まぁ無理もないだろう。すごいストレスだったからな・・・」
「あいつは、前衛職じゃねぇからな・・・いくら矢を掴んで魔物に突き刺すほどの豪傑少女でもなぁ・・・まだ若いし、こういうのを生き残って乗り越えていかねぇといけねぇんだろうけど、兄としては、辛いぜ」
「お前、いつからクラウディアの兄貴になったんだよ。兄貴は俺だ!」
「いや、お前はせいぜい妹さんぐらいだろう。本物の兄貴はおれだ!」
アポロニアが、割り込んできた。
「なに、バカな争いしてんのよ。クラウディアが聴いて気を悪くするわよ。ほら、眉間に皺が!」
「まさか?酔いつぶれているんじゃないのか?」
「まぁ、そうだが、変なことを言われると拒否反応起こすんじゃね?」
「それは、そっくりアレクシスに返す言葉だな」
「ふん!いい、おっさんたちが何、競っているのよ」アポロニアが鼻で笑った。
「まぁ、そうだな・・・」
「ともかく、精神的なケアが必要なんだろう?」
「そうね。自分で乗り越えるしかないのだろうけどね・・・」
カールはすこし考えていた。
「俺もさ、16の時、目の前でパーティのメンバーが殺されてさ、しかも二人が一瞬にね。あまりにあっけなくて、暫く、飯も食えなくなったよ」
「そうなんだ・・・」アポロニアが悲しそうな表情をした。
「盗掘団みたいなやつらだった。プロの殺し屋なんだろうな。仲間は、首を切られてあっという間さ。あのあっけなさは、堪んなかったよ。次は俺の番かって思ってね・・・」
「で、その時に死んでいるのに、今も元気じゃねぇか」おれは、しんみりな話が辛くなるので、茶化した。カールは乗ってきた。
「そうなんだよ。俺は今アンデッドを10年はやっているからな」
「じゃ、昨日のアンデッドも仲間じゃねぇの?」
「はははは、面白いこというな」
「ということで、アポロニア、あとは頼む。使徒様の術で椅子ごと浮かして女子寮まで運んでやってくれ」
「いいわよ。端からそのつもりよ」
カールは、飲み足りないようだったが、無理に引っ張って男子寮に帰った。
いかがでしたか?
ノルマン人というのは、北方ゲルマン人です。
ゲルマン人は年代によって、活躍する時期が異なります。
ノルマン人は最後に出てきた感じですね。
有名なところですと、ノルマンコンケストとかイギリス史でやりますよね。
第2次世界大戦で、有名なノルマディー上陸作戦の場所が
ノルマン人の領土だったところですね。
ノルマン人はヴァイキングです。暴れ者なので、フランス王が、
領土を与えて、その代わり、ヴァイキングから守ってくれという話です。
追放されたところに渡りに船だったんですね。
文中のフィーキングはドイツ語です。
ブクマお願いします。