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神聖祓魔師 二つの世界の二人のエクソシスト  作者: ウィンフリート
平行世界へ
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第71節 街道の探索と戦闘 その20

こんばんは。

ちょっと、スピードについていけんとよ。



秋を感じさせる冷たい風が山を吹き抜けていく。


僕は城館の北側、屋根の横にある城壁の通路に立っていた。何か時間が止まったように思えるぐらい静かだった。


「もう、小一時間は経ったので、いいのではないか。トラップは、このあたりにはないようだ」「そうだな。ソウルイーターも出てこないし。恐らく1度発動したらそれっきりなものなのだろう」

「もしかしたら、あの破風の開いている窓のようなところに仕掛けられていたかもな。つまり、ゴブリンは屋根から降りて、あの窓に入り、トラップを発動させた。そして、中に入り込んで盗みをしていて殺られたというわけだ」

オットー様とフィリップさんが会話している。


なんだ、無言の圧力で、あそこに僕が魔法で飛んでいかなければならないのかと思ってたよ。トラップ発動のチェックだったのか、一応確認してみようかな。

「あの、僕、あの窓に飛んではいらなくてもいいのですか?」

オットー様が振り返って笑った。

「いや、使徒殿、トラップがあるかもなのに、使徒殿だけがあの窓に入っても、我らは手出しできなくなるではないか。ま、使徒殿なら魔物も何のそのだろうが、我らはチームである故、徒にメンバーを危険にはさらすことはできない」

オットー様の青い目がきらっと光ったよ。感動しちゃったよ。


「オットー卿、ちょっといいところもっていきましたな・・・おほん。あれくらいなら、レンジャーである私なら、入ることができますぞ。王子、もしも貴方が飛んではいるのなら、先に私が入るということを覚えておいてくだされ」

フィリップさん、格好いい。


「おいおい、競っている場合じゃないだろう・・・下にいる部下達も心配だから、一旦またあのミイラ野郎のところまで戻ってみようじゃないか。なにか見落としているのかもしれんぞ」レオン様が、狐のような赤い長い髪をかき分けながら言った。

あ、レオン様って部下思いなのか・・・いい人ばかりで幸せだよ。空も飛べそうだ。


そう思っていたら、僕の体が宙に浮いてしまった。


「使徒殿、どうした?浮いているぞ」みんなが心配そうに見ている。僕は、またその視線が嬉しくて、なんかウキウキしてきた。泣きそうだよ。

「フリーゲン」僕はそんなことを言いながら、そのまま屋根を超えて高く浮いていく。


「王子、どこに行かれるのですか?」フィリップさんが叫んだ。

僕は振り返って屋根の上部から返事する。

「兵士さん達が無事かどうか見てきます。すぐ戻ります」


僕は、屋根の上を一周してから、中庭のほうへ飛んで行った。そのまま高度を下げ、中庭の3メートルぐらい上空を一周してみた。

兵士さん達は、下の検問所から上がってきた扉の前で、城壁を背に、密集陣形を組んでいた。誰かが僕が空を飛んでくるのをみて、王子様だと叫んだ。皆がこちらを見て、口々に喝采を叫んでいる。

「おお、使徒様だ。ありがたや」

「ミヒャエル王子、ばんざーい」

「す、すげー」

「立ったまま空飛んでるぞ」

「さすが我らの王子さま」


僕はみんなに手を振って、また高度を上げ、城館の屋根に戻っていった。三角屋根を超えて、上空に一旦浮いて待機した。

みんなは通路に広がっていたので、僕は邪魔にならないように、屋根の尾根にゆっくりと降りて行った。フィリップ様が怖い顔をしている。

あ、失敗したかな・・・そうだよね。ちょっとやり過ぎたかも。僕はそのまま屋根を歩くように着地し、通路まで降りた。


オットー様は、フィリップさんの顔を見て、何もなかったような口調で言った。

「さぁ、下までいきますぞ」


皆、元の塔に向かって歩き出した。城壁の廊下にはフィリップさんと僕が残された。

フィリップさんが近寄ってきて、小声でなにか言おうとしている。


「王子、お慎みください。不用意に動けばトラップが発動するかもしれませんし、下に降りていけば、混乱した兵士に射抜かれるかもしれないのですぞ。あなたは、我らザクセン人の希望の星なのです。どんな時もそれを忘れずにいてください。いいですね?」


「はい、ごめんなさい」


フィリップさんは元の表情に戻って、ニコリと笑って続けた。

「前に、アグネス様から、隠修士様が空を飛んだという話は伺っておりましたが、さすが、お弟子さんですね。さて、それでは参りましょう。謎解きの時間です。王子の御慧眼、期待しておりますぞ」


僕らは階段で待っていてくれた、皆と合流し、大広間にまで一気に戻った。

大広間の中庭への出口から、一旦外にでて、兵士達の状態を確認した。兵士さん達、嬉しそうだ。僕らが姿を見せると手を振ってくれたり、ヒューと口笛を鳴らしてくれたりした。


「なんだ、あいつら嬉しそうだな。まさか酒でも見つけて飲んだのではないだろうな・・・あ、シュトルムが飲みたくなってきたぞ」レオン様がなんか言っている。

「おい、シュトルムか、いいな。時期的にそろそろだよな。卿の醸造所では造ってないのか?」

「作りたいですな・・・白ブドウがあればいいのだが」

フィリップさんがニヤニヤしている。

「ブドウなら、生えているところがあるぞ」

「まことか?」

「いかにも、天然じゃなくて、170年前の耕作地だったのだが、今度、行って収穫するか?」

「おおおお、いいのう。フィリップ殿、是非お願いしたい」

「最初の一口は、公爵様と宮宰様にも分けてくれよ」

「勿論だとも。あいつらに作れるか訊いてみなければな」

オットー様が、大広間の入り口で、振り返って、二人に声をかけた。

「二人で盛り上がっているところ、申し訳ないが、そこで話していても、今夜のエールが遅くなってしまうぞ」


 二人は、オットー様に続いて、大広間に入っていった。


僕たちは、大広間の右側に、壁に沿って上る階段をどんどん上り、バルコニーのようになっている廊下を通り、通路を進み、また右の階段を上った。特に変化はなく、普通に歩いていると、静かな城の午後といった感じだ。ひんやりとした石の壁が涼しい。


「レオン様、シュトルムって嵐という意味ですよね。なんなんですか」

「おお、使徒殿も酒に興味があるとは、立派な戦士になれますぞ。白い葡萄からつくるワインなんだが、酒の度数が高くて、シュワっと発泡していて、嵐のようなんだ。ま、使徒殿の好きなリンゴのシードルが凄くなったワインのような感じかな?」

「へー、飲んでみたいです」

「結構、酔っぱらうので、すこしだけですぞ」

「はい。お願いします」

レオン様はニコニコしている。最近、レオン様も僕との接し方が変わってきたなと思った。なんか前は取っつきにくい人だと思っていたけど、なんか可愛い人だ。見た目で損しているよね。強くて優しい人だ。


家臣の居住区に到達した。相変わらず、干物のようにゴブリンは死んでいる。


 オットー様が、皆に言った。

「さて、大捜索だ。一人で動かないで、必ず二人以上で調べて欲しい。なにかあったら、すぐに声を上げること」

 クラウディアさんとアポロニアさんが二人でペアを組んで捜索している。2段になったベッドの藁布団を剥いだり、藁入り枕を叩いたりしている。

「ねねね、アポロニア、すごいよ。毛布だ」

「本当だ。すごいね。結構、待遇いいじゃん。まぁ、雑魚寝のほうが暖かいけどね。ここのベッドだと、一人で寝るような感じだから、支給されたのかな」

「いいなぁ。欲しくない?」

「そうだね・・・全部のベッドにあるのかな?」

 オットー様が話を聴きつけて、近寄ってきた。

「クラウディア、毛布持って帰っていいぞ。一人一枚な」

「やったー。オットー様優しい」


なに?毛布なら僕だって欲しいぞ・・・


とりあえず、狭いところに沢山人がいるので、苦しくなってきたよ。階段のほうにいってみよう・・・といいつつ、実はサボる気満々だった僕。廊下から階段に歩いて、座った。


ここの城って変わってるよね。領主はザクセン族じゃなくて、南のほうの部族だったらしいよ。まぁ、うちもそうだけど、ザクセン族の領主には、ザクセン族がついてまわるから、きっとここもそうだったのだろうね。バイエルン人とかだよ。バイエルン人は、よく付き合いがあるので、わかるけど、いい人だらけだ。ちょっと言葉が違うけど。


あー、もう帰りたいな・・・あ、そういえば、傭兵団、バイエルンの星のあの人どうしたかな。呪いの剣を拾った人。あの人オーストリア人だったね。明星亭の女将さんもそうだった。


 そんなことを考えていた。ふと、前を見ると、なんか例のフックがあるじゃん。まさかね。そんなべたなことないよね・・・


とりあえず、 僕は、フックを下げてみた、そうしたら、天井が下がってきたんだ。

なんかヤヴァくない?


ありがとうございます。

私は実は目が悪く、家ではメガネです。

外出時はコンタクトなんですよ。

お金がきついので、終日メガネにしないといけない日もあります。


うーん。くまった。

次話は、明日の夜になりそうです、

ブクマお願いします。ではでは~

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