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ハイジャックの英雄ニート


俺は殺された。

そして、俺は死んだ。

この世界に殺されたんだ!

理不尽で酷い殺され方だった。

誰に殺されたかもわからない。

俺の人生は報われなかった。

死んでも死にきれない。

生まれ変わったら、こんな世界でなく、理想的な世界を創りたい。

新世界の神になる。

そう願った俺は現実世界にチート転生した。


俺は世界有数のエリート中のエリートと言っていいだろう。

財閥トップの家系に生まれ帝王学を学んだ。

親は総理大臣で政財界にコネがきく。

瞬間記憶能力を持つため、すべてを写真のように記憶できる。

最年少で弁護士資格を取得する。

東大法学部を卒業後、ハーバード大学院でMBAを取得した。

ハーバードへは親のコネクションを使うことで簡単に入学できた。

ハーバードの教授の勧めで、世界一年収の高い、ウォールストリートの外資系の大手投資銀行に就職した。

弁護士よりも、MBAでの知識を生かして証券マンとして実力を発揮したいと思ったからだ。

しかしながら、入社して3ヶ月で世界的金融危機の再来により、会社が倒産してしまった。

どうやら、俺の勤めていた企業が不正をしていたので、世界的大恐慌を引き起こしてしまったらしい。

「ハハハハハ!リーマンショックの再来デース。大不況がきマース。私たちはオシマイデース」

ボスのトーマスが俺に告げる。

「いやー入社してすぐにこんなことになろうとは」

「業界みんなで当たり前のように不正な取引をしていたのだヨ。誰が証拠をマスコミに流出させたノーカ。もしかして君デースか?」

「入社したばかりの人間が内部の情報を手に入れられるわけないじゃないですか」

「そうデースね。長年、国の経済に尽くしてきた結果がこれデースカ。本当の不正の陰謀は国家レベルデース。トカゲの尻尾で終わらないデース。いつか絶対にこの世界に復讐してやりマース」

「今すぐ国へ復讐してやりましょう!」

「ハハハハハ!デース」

実は俺が入社してすぐに、証券会社の不正を見抜き、内部の極秘情報を入手してマスコミに告発した。

ボスとは仲良くなっていたので情報を手に入れるのは簡単だ。

極秘の不正情報はアメリカ国家・・・世界の存続の危機とまではならなかった。

俺の会社の倒産と、世界大不況程度に収まったといえる。

ちまたでは、第二次リーマンショックとも呼ばれていている。

俺のせいで世界は大混乱さ。

そのため、アメリカのニューヨークから日本に帰国することにした。

ニートとして日本に帰ることになってしまった。

数週間後には、母が東京都の都知事として2020年の東京オリンピックを開催してくれているようなので、特等席で競技が見れるのだ。

今回は自家用ジェットではなく、久しぶりに庶民の生活を味わうため、ジョン・F・ケネディ国際空港から飛行機のファーストクラスに乗って帰国することにした。

しかし、この気まぐれにより、俺は事件に巻き込まれてしまった。

のちの日本航空ボーイング777ハイジャック事件だ。

俺は和食のコース料理とワインを飲み干し眠りについていた。

すると突然に大声が聞こえてきた。

「この飛行機は占拠した。爆弾を持っているので大人しくいうことを聞け」

2人の日本人テロリストによるハイジャックが始まった。

周りの日本人の乗客は叫びもせずに大人しく黙っている。

「爆弾・・・・」

爆弾を機内に持ち込むことができたのか。今の時代は、テロへの警戒のため、機内への持ち込みチェックは厳重のはずだ。爆弾が本物かどうかを確かめる必要がある。

「機長!ハイジャックです!テロリストに飛行機が占拠されました!」

キャビンアテンダントは機長に報告した。

機長は無線で管制塔へハイジャックされたことを伝える。乗客のSNS経由で事件はマスコミにリークしたため、報道各社は番組を切り替え、飛行機のハイジャックの緊急報道を始める。

「我々は10億円の要求をする!口座に振り込みが確認できなければ、10分ごとに一人殺す」

テロリストは要求を伝える。

「やれやれ、騒がしいな。眠れやしないじゃないか」

俺は呟いた。

「なんだと!この大不況から我々の組織は日本を救おうとしているのだぞ!」

「これから日本で壮大な大革命を起こそうという我々を侮辱するのか!」

テロリストは反応した。

このハイジャック犯は、何かの組織の人間か。

「別に侮辱をしようというわけではない。日本を救おうとしていることには共感できる。爆弾を持っているのなら見せてくれないか?」

「このバッグに入っているのが爆弾だ!これ以上お喋りがすぎるようなら爆発させるぞ!」

相手は爆弾を所持している。爆弾が本物の可能性もある。

爆弾の起爆スイッチを押す前に2人を倒す必要がありそうだ。

「まったく・・・瞬殺するか」

俺は立ち上がった。

「何を勝手にたって・・・」

シュババババ。手刀を繰り出す。

「ヒィ・・・・・・・・・」

秒速で二人を気絶させ押さえ込んだ。

「・・・」

テロリストは何が起こったかもわからずに倒れている。

あまりにも早さに乗客は驚き、

「スゲぇ!」

「ありがとう!!」

「カッコイイぞ!」

「やだ。イケメン」

「恐ろしく早い手刀の攻撃・・俺でなきゃ見逃しちゃうね」

「ありがとう〜!!!」

乗客は口々に褒め称える。

パチパチパチパチ。

乗客から拍手喝采を浴びた。

「俺の眠りを妨げるものは何者でも許さん」

テロリストといっても訓練を受けてない素人レベルの相手だ。帝王学格闘術を学んでいる俺にとっては赤子の手をひねるようだった。

「いやー素晴らしい。すごい瞬間を目の当たりにしましたよ。このハイジャックを制圧してくれた英雄様のお名前をお伺いできますでしょうか?」

どうやら超大物YOUTUBERがハイジャックの動画を生配信しているようだった。

「私は天神王といいます。乗客の皆さんが無事でよかったです」

俺は無難にコメントをした。

「ありがとうございます!本当に無事に助かってよかったです!この配信は現在1000万人が見ていますよ!日本に帰ったらハイジャックを倒した英雄として迎えいれられるでしょうね!」

超大物YOUTUBERは興奮ぎみだ。

「英雄様のお仕事は何をされているのですか?」

まったく答えにくいことを聞いてくる。弁護士資格をもっているが、弁護士として活動しているわけではない。会社が潰れて、次の職を探しているわけでもないので正直に答えるしかない。

「ただのニートですよ」


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