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女だけど女の子にモテ過ぎて死んだけど、まだ女の子を抱き足りないの!  作者: ガンホリ・ディルドー
第四章 植物人のヴィエラ
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天上院弥子の夢浪漫 ~夜の王編~ Part2

「ほら、そんなんじゃ全然僕は気持ちよくないよ?」


 私は現在何をやっているかと言えば、夜の王と究極性技 真四十八手の元ネタ、つまりは性技の四十八手の練習をしている。

 いや、あの。本当に練習ってだけで服も着てるんですよね、なんでや。

 着衣プレイですか?

 逆にこれで気持ちよかったら感度良過ぎですよ?


「君は女の子とエッチする時、何を考えてる?」


 何を考えている、かぁ。

 基本的にどうしたら相手が気持ちよくなってくれるか、とかかな?

 愛情で相手を包み込むように……


「うん、その顔は頭スイーツなこと考えてる顔だね」

「え?」

「いいかい、エッチなんて所詮は生殖行為でしかなくて、肉欲からくる本能的なモノなんだ」


 えぇ……

 いや、女の子同士の場合生殖行為ではないからそれは違うと思うんだが。

 いや勿論私は普段からドスケべしたいドスケべしたいって言ってるし、なんならやらないと禁断症状起きるレベルだけど、相手によってそれは異なる。

 ドスケべするだけが恋愛じゃないと思ってるし、私が過去に付き合った女の子の中では、結局手も繋いだだけで終わった恋もある。


「君の言いたいこともわかる。だけど肉欲的行為であるが故に、代償が付きまとう」


 そう言って夜の王は私の髪の毛を軽く弄る。

 ちょっとくすぐったいんだが。


「君は自分に制限を設けているだろう? 覚悟が出来ていない子や、第二次成長期が来ていない子に対して」


 コイツどこまで私のことを知ってるのさ。

 え、何? 前世から私にストーカーしてるの?


「君は怯えているんだ、天上院弥子。そういう子に手を出してしまえば、取り返しが付かなくなってしまうかもしれないと」


 私が怯えている?


「礼を出せば少し前の魚人や獣人さ。君は彼女らに想い人がいるのを気にして手を引いた」


 私はその言葉に反論する術を持たない。

 勿論言い返してやろうとは思った。

 違う、そんなことはないと。


「君は周りの空気が読めてしまう変態なのさ。ま、僕から言わせれば意気地無しだけどね」

「……なんでそこまで言われなきゃいけないのさ」

「フィストちゃん、だっけ?」


 は?

 何故ここでフィストの名前が出てくるんだ。


「彼女は君とエッチしたあと、友人に君との関係がバレたけど、後悔してたかい?」


 してない……はずだ。

 いや、ここは自信をもって答えよう。

 ここで明確な返答を避けて逃げるのは、フィストに失礼だ。


「してない」

「うん、それは君が彼女に『最高のエッチ』をプレゼントしたからだよ」

「……どういうこと?」

「彼女は君に恋をして、それに溺れた。その代償として友人に知られて恥ずかしい思いをしたけど、彼女はそれを悪くは思わなかった」


 夜の王は言葉を続ける。

 私は彼女の言葉を聞く。


「それは君との愛が甘美で、切なくて、美しくて、そしてエッチだったからさ」


 最後で台無しじゃないか。


「君は恐れてるんだよ、女の子に恨まれるのをね」


 そう言って夜の王は私の体の上から降りると、ベットから立ち上がる。


「君は女の子とエッチする前に、毎回『覚悟は出来た?』って確認を取る。これは女の子に対する配慮でも何でもない」


 そんなことまで知っているのか。

 一体この人はどこまで私を見てきたのだろう。

 確かに私は毎回、行為の相手に対してそう確認を取る。

 ヴィクティムちゃんの時も、フィストの時も、そう言った。


「これは例えるなら『貴方はこの契約書に判を押しますか?』っていうのと同義。『はい』って答えた以上、責任は全て行為をすると決めた相手にあるという心理的逃避」


 ……言い逃れは出来ない。

 全くもってその通りだからだ。

 そう、私は女である。

 だから女の子を抱く時、相手が自分と別れた時に後悔しないかという恐れがあるのだ。

 これは私が初めて女の子を抱いた時から、今日の日まで変わらず持ち続けてきた恐れ。


「いやー、ほんとクズだよね。これによって君はなんの良心の呵責も無く女の子を抱けるんだ!」


 自分がクズである。

 そんなことはわかってる。

 私と付き合った女の子の中で、そういう関係まで行った子は多い。

 でも別れる時、どうしても辛くなるから、私はそれを言い訳に使うんだ。


 「覚悟してたでしょ?」って。

 それを別れる本人に直接言ったことは無い。

 そこまでクズにはなりきれなかったから。


「だから君は自分にさっきの二つの戒律を設けた。取り返しがつかないことにならないようにね」


 全くもって事実だ。

 私の内面の鏡を見ているかのように正確な言葉を前にして、正直心がイライラする。


「だから僕は君にこの言葉を伝えたいんだ。『相手を後悔させないエッチをしろ』ってね」


 夜の王は、私を見てニコリと笑った。


「フィストちゃんは、そんな君でも好きって言ってくれただろう? きっと過去に君とエッチした女の子達も、一時の幸せを与えてくれた君を複雑ながらも許してくれる」


 本当だろうか。

 何度でも言う、私は女の子をとっかえひっかえして来た。

 そんな身勝手な自分を、相手が許す?


「だから君がすべきことは、相手に対する責任を全て抱えることさ」


 夜の王はそう言うと、軽く右の手を挙げた。

 その手の中には、2つのキラキラと輝く何かがある。


「相手が君を求めてきたら、相手を狂わせるほどのエッチをしてあげて」


 そう言うと夜の王は2つのキラキラを私に放り投げる。

 私がそれらを受け止めると、手の中で弾けて消えた。


「レッスンは終わりだよ。君が新たな夜の王だ」


 私の視界が、歪んでいく。

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