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女だけど女の子にモテ過ぎて死んだけど、まだ女の子を抱き足りないの!  作者: ガンホリ・ディルドー
第四章 植物人のヴィエラ
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天上院弥子の夢浪漫 ~夜の王編~ Part1

 なんだここ。

 舗装されてない地面に風が砂を巻き上げ、右を向いても左を向いても壊れた家々が建ってるだけだ。

 先程まで私は古代森林の中にいたはずなんだけどな。

 ところどころ人がおり、どの人もくたびれた服を着ている。

 お世辞にも栄えているとは言い難い場所。


「おう姉ちゃん、いい格好してんな」


 そんな時、後ろから声をかけられた。

 何故か馴染み深い日本語だ。

 振り返った私の目の前には、私より頭一つ高い大男がいた。

 どう見ても日本人ではない。


「俺とちょっと向こうまでいこうや」


 なんだナンパか。

 ストリートナンパは難易度高いぞ。

 相手をその気にさせて無いのにドスケべしようやというのは相手を軽んじる行為に他ならない。


「すまんね、女の扱いが私より下手そうな男に抱かれる気はないんだ」

「オイオイわかってねえな。俺はお願いしてるんじゃなくて命令してんだよッ!」


 そう言って男が掴みかかろうとして来たので、私はそれを避けながらペニバーンとロウターを呼び出す。


「ペニバーン! ロウター!」


 ……しかし二人が召喚されることは無かった。

 アレ、なんでだ。

 いつもなら速攻で来てくれるのに。


「オイオイ、いきなりスケベ道具の名前だと?」


 いやほんとなんで来ないんだ?

 お陰様で男に腕を掴まれてしまった。

 野郎風情が私に触れるなど万死に値するんだが。


「究極性技 真四十八手、其ノ三」

「あぁ?」


 よかった、こっちは使えそうだ。


「"タチマツバ"」


 究極性技 真四十八手 其ノ三"タチマツバ"

 相手に体の一部を掴まれた状態でのみ使える技。

 相手の股間部へ逆に潜り込み、足で相手の胴体を挟み込んだ後に地面へ叩きつける技。

 緊急時に状況をひっくり返す技。


「うぎゃあ!」


 地面に顔を強打した男は、そのまま気絶したのか動かなくなった。

 いやしかしなんでペニバーンとロウター来ないんだほんと。

 とりあえずクソ野郎のタマを何回か蹴りつけて気が済んだところで、これからどうすべきか冷静に考える。

 先程まで私は古代森林の穴倉の中でヴィエラさんと寝ていたはずだ。

 それがなんでこんなよくわからないところに。


「お姉さん強いんだね」

「ん?」


 私が振り返ると、そこにはかなりボロボロのTシャツを着た子供がいた。


「ねぇ、俺とエッチなことしない? 安いよ」


 ……えーっと、本当にどういう状況なんですかねこれは。

 目の前の子供は『俺』と言っているが、美少女感知センサーはこの子にガッツリ反応を示している。

 つまりこの子は女の子だ。

 なに? 私は今小さな女の子に売春迫られてんの?


「いや、遠慮するよ」

「いいからいいから」


 そう言って女の子は私の腕をグイグイとひっぱり、物陰に連れて行こうとする。

 なんだこの子、先程の男よりも扱いずらいぞ。

 女の子に案内された先は、他の家と同じくかなりボロボロの建物だったが、一応屋根などは吹き飛んでいない家だった。

 それでも壁に酷い落書きがしてあったりで、レベルはほぼ変わらない。


「入って入って」


 えぇ……

 流石にお外でするのはよくないという判断ですか?

 これ以上引っ張られるのはよろしくない。

 ちょっと無理やりにでも振りほどかしてもらおう。


 そう思って私は女の子に捕まれた腕に力を込める。

 流石に私よりはぱっと見6歳は下の女の子、すぐに振りほどくことが出来た。


「究極性技 真四十八手 其ノ八」

「え?」


 だが振りほどいた瞬間。


「"クビヒキレンボ"」


 私の首が女の子の左腕の服の裾から飛び出した細い縄に巻き付かれる。

 女の子がそのまま腕をグイと引っ張って、私の顔を自らの顔の目の前に引き寄せた。


「イイコトしようって言ってるのが聞こえないの? おねーさん」


 ……どうやら大人しく従ったほうがいいかもしれない。

 女の子はそのまま私の首に巻き付けた縄を引っ張って、家のドアを開けて中に入る。

 引っ張られる私はそのまま付き従うしかない、犬かよ。


 家の床は石畳だったのだが、入るとすぐに地下へ繋がる階段があった。

 女の子が階段を下っていくので、私も下らざるを得ない。

 ちょっと、首に縄巻き付けてんだからもうちょっとゆっくり降りてよ。


「ここだよ」


 案内された場所には、六畳くらいの広さの部屋の中に、何故かそれだけ清潔そうなベッドが置かれていた。


「究極性技 真四十八手、使いやすいでしょ?」


 女の子はそう言って左手をヒラヒラさせると、どういう原理なのかメジャーのように私の首に巻かれた縄が彼女の服の裾に戻る。


「君は……」

「僕は夜の王」


 そう言って女の子はベッドに座ると、足をぱたぱたさせながら私を見上げる。


「究極性技 真四十八手の産みの親さ」


 そういえばこの究極性技 真四十八手というスキルを手に入れた時、つまりはヴィクティムちゃんのいた天国にいた時、こんな説明文を呼んだ。


 嘗て夜の王と呼ばれた人物が生み出した究極奥義。

 その動きは大地を揺るがし、天を狂わす。


「あの世のスキルリストに載ってたんでしょ? 知ってるよ」


 何者なのこの人。


「ある程度世界の理を知ったら、世界に対して自分の作ったモノを追加出来るのさ。まぁそんなことどうでもいいけど」


 夜の王と名乗った人物は、それは嬉しそうに私を見つめる。


「ずーっと待ちわびたよ、このスキルを完全(・・)に継いでくれそうな存在を」

「完全に引き継ぐ?」

「うん、究極性技 真四十八手を取得する人は君以外にもいたんだけどね」


 マジかよ。

 存外人気なのかこれ。

 だってこれアレだぞ?

 確かに強いっちゃ強いけど、これ取得するポイントでペニバーンとロウター取れちゃうんだぞ?

 このスキルが1000ポイントで、ペニバーンとロウターがそれぞれ500ポイントだったはずだ。


「こんなの取る物好き他にもいたんだ……」

「こんなのとは失礼だなぁ。伝説の女スパイとか、サキュバスクイーンとかが結構持ってくんだよ?」


 伝説の女スパイにサキュバスクイーンねぇ?

 じゃあ何か? 私はそのあたりの人に近しいレベルということか。

 いや否定は出来ないよねうん。


「なんで私?」

「僕が見た中では君が一番変態」


 ……んー、ちょっとよく聞こえなかったかな?

 いやぁ流石に私も、サキュバスクイーンさんよりは淑女的だと思ってるわけですよ。

 だってアレだよ? 別にサキュバスクイーンでもないビッケさんですら普段からあんなエロい格好してるんだよ?

 流石にそれのトップよりエロい人なんてこの世にはいないでしょ。


「いや、サキュバスクイーンもまぁ相応だったんだけどさ。流石にもうちょっと節度持ってたっていうかさ」


 まるで私が節度持っていないみたいな言い方はやめて頂けない?

 そりゃあたまにハメ外すことはあるよ。

 例えばボンテージ姿で大会乱入したり、完全変態モードで海を割ったり、多少ハッチャケたことはあったよ。

 でもそんくらいは一般人もすることであって、私が特別ってわけじゃないと思うんだよね。


「んで、話続けるけど」

「何言われても私はやらないよ」

「今から僕とエッチしよう」

「はい喜んで」


 ……ハッ!?

 クソッ、これが話術ってやつか!

 まんまと乗せられてしまった!


「具体的にはエッチしながら究極性技のなんたるかを直接体に教えるって感じなんだよね」

「なるほど、すぐにやりましょう」


 私の心境とは裏腹に、勝手に口が動く。

 これは噂に聞く「体は正直だぜ?」という現象!

 しょうがない、かくなる上は心も正直になろう。

 体が勝手に動くから仕方ないんだこれは。


「うん、じゃあベッドに寝てくれる?」

「は~い!」


 ヴィエラさんごめんね。

 新婚初夜から別の女と寝ることになります。

 何故だろうか、ドキドキが止まらない。

 例えクズと罵られても、気持ちいいんだからいいじゃんという思考に陥りそうになる。

 いやだからこれは仕方なくなんだって本当に。

 浮気はいけないことだと思います。


「じゃあ、いくよ」


 こうして夜の王と私のレッスンが始まった。

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