表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女だけど女の子にモテ過ぎて死んだけど、まだ女の子を抱き足りないの!  作者: ガンホリ・ディルドー
第四章 植物人のヴィエラ
84/291

捕まったけど再会したけど扱い酷いんだけど

 おー、見えて見えてきた。

 やって参りました中央王都、やっぱり人が多いですね。

 空飛ぶ絨毯とかに乗ってる人いるし。


「治安委員局ってどこだろ」


 そう言えば私行ったこと無いんだよね。

 ロウターに地上へ降ろしてもらった後、スマホで検索する。

 すると治安委員局本部、という検索結果が出て来たのでそこを目指す。


「チラホラいるなぁ」


 見たことのある青い制服を着た人が多い。

 やはり治安委員局のお膝元というべきか、あちらこちらにその姿がある。

 地球でいう警察的なポジションの人達だし、なんとなく緊張してしまう。

 あ、婦警さんの制服、結構足出しててエロいな……


「ここか」


 婦警ウォッチングに勤しんでいる間に目的地へ着いた。

 派手な建物ではないが、存在感のあるといった印象を受けた。

 左右に二人の女性警備員がいる大きな鉄門の先に、控えめな花壇。

 そしてその奥に重厚な雰囲気を醸し出して存在する治安委員局本部。

 早速中に入ろうと思ったら、警備員さんに呼び止められた。


「申し訳ありません、治安委員の方ではありませんよね?」

「はい、そうです」

「ご用件はなんでしょうか?」


 ご用件はなんでしょうか。

 うーん、アイディールさんに会いに来ましたって言って取り合ってもらえるのかな?

 実はドレッドによると、治安委員の中にも犯罪グループの一員が紛れ込んでいるらしい。

 それに知られると一発でアウトと聞いたので、なるべく直接あいでアイディールさんとお話したい。

 それはともかくこの警備員の女性、結構可愛いな。


「貴女に愛を囁きに参上しました」

「はぁ?」


 あ、やっべ。つい口から出た。

 まぁいいや突っ走ろう。


「自首しましょう、私は人のモノを奪ったのです」

「……え、あのちょっと」

「私は多くのものを奪ってきました、ですがまだ足りない。そして見つけました、世界で一番美しい宝石を」

「誰かーーー!」

「それは貴女です、私は貴女を奪いに参上したのです」


 完全に混乱してしまっている。

 駄目だ、これは落とせそうにない。

 野外で口説くのって難易度高いんだよなぁ、しかもこの人仕事中だし。


「何事ですか!」

「この女の人、変なんです!」

「そうです、私が変なお姉さんです」

「治安委員局本部の前でいい度胸です! そのまましょっぴいてやります!」


 そう言って私は近くにいた婦警さんに中へ引き摺っていかれた。

 当初の予定とは違うけど、まぁ入れたしいいでしょう。

 あの警備員さんの名前聞きそびれちゃったなぁ、後で聞こう。

 ん? でもこの婦警さんも可愛いぞ。

 治安委員局本部って天国かよ!


◇◆◇


 なんか取調室みたいなとこに連れていかれました。

 鉄パイプの椅子に座らされ、ここで待てと言われた。

 部屋には治安委員の方が扉付近に一人と私の後ろに一人の合計二人、両方女性です。

 私が女だから配慮してくれてるのかな?

 というか取調べ受けるのって海底都市含めたらこの世界で二回目ですよね。

 またあの変な水晶玉触るのかな。

 ボーッと待っていると、眼鏡をかけた女性が入室してきて、私の前に座った。


「貴女、お名前は?」

「ヤコ・テンジョウインです」

「ふむ、ヤコ・テンジョウインっと……え?」


 女性が手もとのタブレットになにやら書き込んでいる。

 調書っていうだっけ? あれもタブレットでやる時代なんですね、びっくりだ。

 刑事ドラマとかのイメージのせいで紙に書き込んでいるイメージが強かった。


「王家勅命指名手配犯……!?」


 あれ、それって解除されたんじゃないの?

 え、私ってまだ指名手配されてたん? 嘘でしょ?

 女性の言葉に、取調室の雰囲気が一気に緊張したものになる。

 私の後ろにいた治安委員の人とか、銃引き抜いて私の後頭部に向けてるし。

 ちょっと、こちとら善良な一般市民なんですけど!?


「いや、それ間違いって発覚して解除されたはずなんですが!」


 慌ててその女性に確認を取る。

 私の言葉に、女性も慌てて訂正する。


「『元』としっかりと記載されてます! 銃を降ろして!」

「は、はい! 申し訳ございません!」


 銃を向けていた治安委員の人も銃を降ろして謝ってはくれたが、若干声が震えている。

 何もしませんよ~。


「そ、そういえば覚えがあるわ……王都祭でフリジディ王女に決闘を挑み、その後指名手配をされた人物」


 はい、私でございます。

 いやー。懐かしいですね、もう二、三ヵ月は前ですよね多分。

 ……あれ? 二、三ヵ月しか経ってないの!?

 うっわ数えてみれば確かにそうだわ。

 濃い日々を送ったんだなぁ。


「そんな方がここへ何をしに来たのですか? 報告では警備員を口説いたとか……」


 どうしよう、ダメもとで言ってみようか。


「アイディールさん……裁断者でしたっけ? 裁断者アイディールさんへお目通りさせていただけませんか?」


 私の言葉に女性は逡巡したそぶりを見せると、どこかへ電話を繋げた。

 一度だけでなく、何回か色んな場所へ電話した後、「今しばらくここでお待ちください」と言って部屋から出て行った。

 今更だけど、アイディールさんって偉いんだなぁ。いやほんと今更だけど。

 再びボーッと待っていると、先程の女性が待っていた。


「大変お待たせしました。裁断者様がすぐにでもお会いしたいそうです。こちらにどうぞ」


 どうやらあちらはノリノリらしい。

 いやぁ、流石にいきなり襲い掛かってくるなんてことは無いと思うんですよ。

 大丈夫、相手も人間だ。話せばわかるさ。

 女性が案内した先には、いかにも階級が高いですみたいな男性が待ってて、その人にエレベーターへ案内された。

 エレベーターのボタンの下に付いているセンサーのようなところにその人が手帳をかざすと、「最上階に参ります」とのアナウンスが流れた。

 すっげ、限られた人しか来れないようになってるのか。

 最上階に辿り着くと、男性にエレベーターから出るように言われた。


「お待たせしました。では失礼します」


 そう言って男性はエレベーターの扉を閉めて下の階に向かった。

 案内された先は、廊下ではなくそのまま部屋だった。

 いや、部屋と言うには物が少な過ぎる。

 あるのは机と椅子、そして不気味な模様が描かれた絨毯。

 私はその不気味な模様に見覚えがあった。

 私が監禁されていた部屋の扉にあった紋章だ。


「わざわざいらっしゃるとは驚きましたよ」


 座っていた部屋の主が声を出す。

 その声はどことなく楽しそうで、それでいて嗜虐的な音を孕んでいた。


「お久しぶりですねぇ、一ヵ月ぶりでしょうか?」

「いやはや、運命の導きに感謝だね」

「そうですね。今なら神様にも祈ることが出来そうです」


 そう言ってアイディールさんはいつかの天秤を私に向けてきた。

 うん、殺る気十分って感じである。


「あー、ちょっと待っていただきたい。本日はそういう予定で来たんじゃなくてですね」

「問答無用、この言葉の意味はご存知ですか?」

「問答するのが警察じゃないんですかぁ!?」


 いやこれは酷い、こちらの言い分を聞く気がまるでないらしい。

 そもそもなぜにそんな嫌われているのだろうか。


「なんでそんなに私を嫌ってるんです?」

「私の輝かしい経歴に、任務失敗。それも王家勅命の任務を失敗させるという汚点を塗り付けたのです、それは勿論恨んでますよ」

「あれ結局私なんも悪くなかったじゃないですか!」

「知ったことじゃないです」


 そう言ってアイディールさんは天秤を掲げる。

 見慣れた光に包まれた後、完全変態モードとなった。

 ニップレスに腰巻き。

 うん、いいセンスをしている。


「いやぁ、やっぱりこちらサイドの住人なんだなって」

「断固として違います」


 そう言ってアイディールさんは私にどこからか取り出した杖を向けてきた。

 以前も見たビーム攻撃だろう。

 私はそれをペニバーンとロウターを召喚し、完全変態モードとなってかわ……すことが出来なかった。

 ペニバーンとロウターすら、呼び出すことが出来なかったのだ。


「あぁ、そうそう言い忘れてましたが」


 アイディールさんがニヤリと笑って言う。


「この部屋では、私が許可した者以外はスキルを使うことが出来ませんよ」


 それはだいぶマズいですねぇ……

 思い出すのはまさに数日前、ボーズに監禁されてた部屋。

 完全変態モードどころか究極性技も使えなくなるのだ。

 しかも何がまずいかってアイディールさんは普通にスキルが使えるところ。

 ビームが直撃し、私は部屋の壁まで吹き飛ばされる。

 そういえばこれ追尾機能みたいなのあったっけ。


「ほ~ら、はやく立たないと次の攻撃が当たりますよ?」


 そう言ってアイディールさんは再び私に杖を向けてきた、くっそう。

 どうにか立ち上がってアイディールさんの攻撃を避けようと試みるが、究極性技も使えないから防御のしようも無いし、完全変態も出来ないから反撃も出来ない。

 一方的にボコボコである。

 3回くらい壁に打ち付けられた頃には、流石に前後不覚になって来た。


「ふふっ、無様ですねぇ」


 いやいや、こんな状況で何が出来るってのよ。

 なに? 追尾機能のある、しかも完全変態で強化された人の攻撃を生身で避けろって?

 無理無理、一応私も人間だから。


「トドメです」


 そう言ってアイディールさんは再び私に向かってビームを放つ。

 再びダイナミック壁ドン。

 もう最早体の制御が効かなくなってきた。

 私は床に敷かれた絨毯の上に倒れ込む。

 そんな私に歩み寄り、アイディールさんは目覚めのキスを……

 なんてことはなく、倒れた私を蹴り上げて仰向けにさせた。


「この瞬間をず~っと待ってたんですよ」


 あらぁ、私との時間を心待ちにしてくれてたなんて光栄ですね。

 そう言ってアイディールさんは私のお腹の上にドンと座ると、額に杖の先を押し付けてきた。


拷問(トウチャー)


 その言葉と共に、熱した鉄箸を脳味噌に無理矢理入れられたような激痛が走る。

 思わず体が跳ねるが、アイディールさんは私が絶対に顔を動かせないように掌で押さえつけてくる。

 流石完全変態モードというべきか、凄い力で全く逃げられない。

 膝でアイディールさんの背中を蹴りつけようとするが、先程壁に打ち付けられた時に捻ったのか、蹴り上げようとすると足にも激痛が走る。

 結果として私は悲鳴を上げながら身をよじるしかない。


「やっぱり楽しいですねぇ、生意気な人間の調教は」


 アイディールさんは杖を額に押し当てたり離したりして私の反応を楽しんでいる。

 杖を当てれば自動で激痛が流れるわけではないらしく、たまに杖を当てるだけで痛みを流さずにビビる私の反応を見てニヤニヤしたりしていた。

 くっそう、顔はすっごく可愛いのに、性格は大分嫌な女の子だねぇ。

 どうにか逃げられないかと考えたが、先程壁に打ち付けられた時に調べた結果、エレベーターは機能しない事がわかっている。

 恐らくこれもまたアイディールさんの許可無しには起動しないのだろう。


「自分の罪が理解できましたかぁ? 許してあげてもいいですよ?」


 勘弁してほしいですねぇ。

 そんなことを言いながらも再び痛みを流してくる。

 いやなんも悪くないと思うんですけどねぇ。

 冤罪ってこういう風に出来上がるんですね。

 今までで一番長く痛みを流し続けた後、アイディールさんはそれはもういい顔でこう言った。


「私の足を舐めながら、『申し訳ありませんでした、この無様な雌豚をお許しくださいアイディール・ロウ様』ってしっかり(・・・・)言えたら許してあげてもいいですよぉ?」


 ご褒美かよ。


 アイディールさんは立ち上がると、杖を地面に打ち付けた。

 どういう原理なのかは知らないが、それに反応して机の側にあった椅子がアイディールさんの元へ移動してくる。

 近付いてきた椅子にアイディールさんが座ると、左足をこちらに突き出してきた。


「ほら、ここまで来てください」


 ワザとなのだろう。

 アイディールさんは私が倒れているところより少し離れた場所に座っている。

 立ち上がって近付こうとしたが、足に激痛が走ったので這うようにして近付くしか無い。

 永刻祭でガラードちゃんにボコボコにされたボーズを尺取虫と言ったが、まさか自分がそれをやることになるとは思っていなかった。

 というか靴ごと舐めるんですね。

 出来れば生足がいいんですが。


 私はどうにかアイディールさんの足元に近付き、靴を舐めようとしたが、アイディールさんは突然立ち上がって私の胸元を蹴り上げた。

 完全変態モードで強化された蹴りは、私を軽く二転三転させる。


「ノロマですねぇ、早く来て舐めて下さいよ」


 なら蹴飛ばさないで下さいよ。

 私は咳き込みながらも再びアイディールさんの足元に近付く。


「『申し訳ありませんでした、この無様な雌豚をお許しくださいアイディール・ロウ様』ですよ?」


 ハイハイわかってますよ。

 もういっそそういうプレイだと思おう。

 不思議なことに痛かったはずの胸元の痛みも快感に変わって行く気がする。

 新しい世界の扉が開くなコレ。


 私はアイディールさんの靴を舐める。


「申し訳ありませっ……ああああっ!」


 残念ながら最後までいうことは出来なかった。

 アイディールさんが杖先を私の肩に当てて激痛を流して来たのだ。


「はい、やり直し〜」


 うわキッツ。

 なるほど、条件を言う時にやたらと「しっかり」を強調してたのはそういうことか。


「申……ああっ!!」


 いやせめてさっきよりは言わせて下さいよ。

 アイディールさんの攻めはその後もしばらく続いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ