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女だけど女の子にモテ過ぎて死んだけど、まだ女の子を抱き足りないの!  作者: ガンホリ・ディルドー
第三章 獣人のドレッド
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やってみたけど難しいけど気持ちいいんだけど

「同時に……身武一体をするのか?」

「出来ない?」

「身武一体は精神の繋がり、難しいだろうが出来なくはないだろう」


 ペニバーンは天上院の提案を理解するが、難色を示す。


「どれくらい難しいの?」

「まず反動が大きくなるのは間違いない、変身時間も2人で行う場合よりずっと少なくなる」

「でも、そうでもしないと勝てないんでしょ?」

「違いないな」

「なら、やるしかない」


 天上院は真剣な目でペニバーンを見る。

 確かに難しいかもしれないが、どちらにせよ何もしなければドレッドに勝てない。

 ならば勝つために一手打たねばならないだろう。


「……分かった、やろう」

「おっけ、ロウター!」


 ペニバーンの了承を得た天上院は、ロウターを召喚する。

 ロウターは普段、召喚時にはペガサスの姿だが、ここはペニバーンの世界。

 召喚と同時に人間の姿になっていた。


「ここは……何用だ、主」

「ペニバーンの精神世界だよ。私とペニバーン、そしてロウターの三人で変態することにしたんだ」


 あくまで身武一体という正式名称を使わない天上院である。

 天上院は今の状況を簡潔に説明した。

 以前戦ったドレッドと、再び戦うことになったこと。

 そして本気を出したドレッドを超える為、3人で身武一体を行うことにしたこと。


「……なるほど、状況は把握した。だが、出来るのか?」

「やるしかないんだ、早速行こう」


 そう言って天上院はロウターを抱き寄せる。

 しかし天上院はここであることに気付いた。


「……3Pってどうやるの?」


 そう、ロウターを抱き寄せ、いつも通りキスをしようとしたが、3人と身武一体をするには同時にペニバーンも相手しなければならない。


「主は経験豊富だと思っていたが、同時に二人を相手したことはないのか?」

「いや、女の子は一人ずつ大切に味わうもんだと思ってたから……」


 そう、私は複数人で行為をしたことが無い。


「……主は女性を口説きまくっているだろう? 二人以上同時に付き合うことは無かったのか?」

「いや、それはあったけど。そういう行為を二人纏めてやったことはなくてさ」

「……ペニバーン殿は?」

「無いな」


 ロウターに聞かれたペニバーンが答える。

 雲行きが怪しくなってきた。


「とりあえず、やってみようか」


 私はロウターとペニバーンを引き寄せ、二人の腰にそっと手を回す。


「……で?」


 ここからが問題である。

 どちらにキスをすればいいのか。


「三人で舌を突き出して絡めてみるか?」

「そ、そうだね」


 ペニバーンの提案に従い、三人は各々舌を出して中央で絡める。

 しかし程なくして、誰からともなく止めてしまった。


「これは……」

「うん……」

「そうだな……」


 三人の感じたことは一つ。


「「「凄くバカっぽい」」」


 三人の苦悩は続く。

 一方、現実世界では天上院を見失ったドレッドが暇そうに待っていた。


「くぅーん……」


 一人は絶世の美少女。

 もう一人は空を駆けるペガサス。

 そして最後の一人は嘗て神が使ったという槍。

 このメンツが顔を突き合わせて悩んでいるのは、3Pのやり方という酒に酔ったエロオヤジ並みの問題である。

 だが実際それによって戦いの結果が左右されるのだ。

 3人は非常に悩んだ。


「なぁ、主」

「ん?」


 そして長い沈黙の後、ペニバーンが天上院に提案をする。


「3人でやる、という発想が間違いなのではないか?」

「え、やっぱり無理なの?」

「違う違う、そういうことではない。3人で行為をするのでなく、二人が一人に行為をする。という発想に転換するんだ」


 つまりペニバーンは三人が同時に自分以外の二人と行為をしようとするのでなく、3人の内一人が『ヤられる側』、そして残りの二人を『ヤる側』にすればいいのではないか、と言っているのだ。


「……なるほど」

「そもそも私が主に向ける感情と、ロウター殿に向ける感情は異なる。それを同じように扱おうとするから失敗するのだ」


 そう、天上院は勿論二人の事を大切な女性として扱っているが、ペニバーンとロウターは二人とも主である天上院に尽くすという点に置いて合致しているが、お互いの事は単なるビジネスパートナー程度にしか思っていない。


「成程、我々が主に二人がかりでやればいいのだな?」

「そういうとだ、早速やるぞ」

「やっべ、たまんね」


 ロウターがペニバーンの関係に理解を示したところで、実際に行動に移すことにした。

 天上院はこれから起こるであろうことを想像してニヤケが止まらない。

 二人は天上院に聞こえぬよう相談した後、ペニバーンが天上院の前に、ロウターが天上院の後ろに立った。


「ん、どうしたの?」

「折角二人いるのだ、いつも通りのキスだけではつまらん」


 そう言ってロウターは天上院に後ろから抱き着く。


「そうだな、頼んだぞ。ロウター」

「私は悔しいがキスはまだ下手だからな、任せるぞペニバーン」


 ペニバーンは天上院の両手を取り、始まりとして軽いキスをした。

 するとロウターが天上院の首筋をペロリと舐める。

 金髪と銀髪の美女に同時に責められた天上院はもうこのまま死んでもいいと思った。

 二人の攻めはまだまだ終わらず、ペニバーンが天上院とディープキスを開始すると、ロウターはそのまま舌を耳に這わせる。

 キスで無防備になっていた耳を舐められた天上院に、震えるような快感が走る。

 ロウターはキスが出来ないのがよほど悔しいのか、両手をペニバーンにより握られていて防ぐことが出来ない天上院の体を弄る。


 これ以上はヤバい。天上院がそう思い始めた頃、三人の体が輝きだす。



-------


「……グルルルル」


 ドレッドは確かに感じた。

 自分の目の前に突如現れた光から、強力なオーラが溢れてくる感覚を。

 やがて光が収まり、そのオーラを放つ存在が姿を現す。

 最大限の表現をするならば、それは銀色の翼を広げ、咎人を貫く槍を持った天使のように見える。

 最低の表現をするならば、それは胸部にニップレスを付けて股間にぺニ〇ンを装備している、羽の生えた不審者にしか見えない。


「お待たせしたようだね」

「グルァ!?」


 これには流石の獣化したドレッドもドン引きである。


「あの人って鳥さんの獣人だったんだー!」

「いや、違うと思うっすけど……」


 訓練所の観戦席から見ていたガラードとクランは、天上院の姿を見て一方は興奮し、一方は呆れていた。



「いくよ、誘拐犯」

(主、思ったよりも余裕がない)

(精々もって1分だろう、最初っから全力で行け)

「OK!」


 天上院はドレッドに向かって突っ走る。

 天上院の姿を見て動揺していたドレッドだったが、すぐに気を取り直して向かってくる天上院を真っ向から迎え撃つ。

 ドレッドの背中から生えている銃からマシンガンの様に弾が発射される。

 それを天上院は視認・・し、軽く横っ飛びをすることで回避した。

 弾の速度に反応出来る動体視力と反射神経に、それを避ける運動能力。

 ロウターと身武一体したことにより、手に入れた圧倒的な速さでドレッドに肉薄する。

 そして天上院が手に入れたのは速さだけではない。


「究極性技 真四十八手 其ノ十三」


 恐ろしい速度の天上院に、反応が出来ないドレッド。

 目に捉えることが出来たのは、天上院の拳が自分の顎に向かって迫ってきたことだけだった。


「〝ヒヨドリゴエ″」


 〝ヒヨドリゴエ″

 究極性技 真四十八手の中で、最も基礎的な技の一つ。

 基礎的ながらも、敵の不意を突いたその確かな破壊力は盤石な守りを砕く。

 その拳で天を仰がせ、払い足で宙に浮かせる。

 堕ちるのを待つばかりの鳥に、逃げ場はない。


 ドレッドの顎に強烈なアッパーを叩き込んだ後、天上院は素早くしゃがんで仰け反ったドレッドの足元を払う。

 払う、と言ってもペニバーンと身武一体をした天上院の払い足はそんな生易しい表現で表すことは出来ない。

 まるで死神がその鎌で首を飛ばすように、天上院はドレッドの足を切り払った。


「究極性技 真四十八手 其ノ六」


 しかし、天上院の猛撃はそれだけで終わらない。

 強烈な払い足で地面から離れ、宙に浮いたドレッドに向かって、トドメの一撃を叩き込む。

 その技は初めてペニバーンと身武一体を行い、ドレッドを叩きのめした技。


「〝ヒヨドリゴエノサカオトシ″」


 訓練所の地面に落ちてくるドレッド。

 その顔に、腹に、強烈な天上院の追撃が襲い掛かる。

 最後に天上院の踵落としにより、その体が地面に叩きつけられた。


「姉貴ーーーーーーー!」

「うわぁ……ボッコボコ」


 訓練所の観戦席から見ていた二人も、天上院のえげつないにも程がある攻撃に、クランは叫び、ガラードは少し引いていた。


「……やらなかったらやられてたから、うん」

(いや、それにしたってこれはひどいだろう)

(生きてるのか? ピクリとも動かないのだが……)


 ドレッドの白い体毛は吐いた血反吐と訓練所の砂で赤黒くなってしまっている。

 叩き付けられた地面はドレッドを中心として大きく亀裂が入っており、そのドレッドは大の字になってピクリとも動かない。

 死んだのではないかと若干不安な天上院だった。

 ドレッドは天上院を殺す気でいたし、それを防ぐ為に全力で迎え撃った為になった結果だが、いざこうなると過剰防衛感が否めない。


 しかし心配して脈を測ろうとした天上院が近付くと、ドレッドの体が光り輝く。

 その光が収まると、傷一つないドレッドが静かな寝息を立てていた。


「よ、良かった」

(どういう原理なのかはサッパリだが、命に別状はなさそうだな……)

(主、そろそろ我々も限界だ)

「あ、反動どうなるんだろ……」

(まぁ私に任せておけ)

「ありがと、ロウター」


 天上院もまた、身武一体のタイムリミットになろうとしていた。

 天上院の体を光が包み込み、それが収まると椿ノ宮の制服姿に戻る。

 かくして天上院とドレッドによる二度目の戦いは、再び天上院の勝利で終わった。

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