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女だけど女の子にモテ過ぎて死んだけど、まだ女の子を抱き足りないの!  作者: ガンホリ・ディルドー
第二章 人魚のティーエス
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天上院弥子の地球浪漫 ~ドイツ編、その2~

 ドイツ留学の学校授業は普通にドイツ語である。

 なのでドイツ語がわからない天上院が理解できるのは精々英語や数学くらいだ。

 だがこの留学の目的は『英語が母国語でない人達との英語による交流』。

 もし授業でわからないことがあれば隣の席にいるエミリアに英語で質問すればいい。


「ヤコ、あまり質問してないけど、わかるの?」

「ごめん、正直教師の人が何言ってるか自体がよくわからない」

「えぇ……遠慮しないですぐ言ってよ」


 ヤコは真剣な表情をしながら教師の言うことをノートに纏めているエミリアを見て、「ごめんあの人何言ってんの?」とは若干聞きづらかったのだ。


「『遠慮』はやる気が無いとも取られるわよ。これから分からないことがあったらすぐに聞いてね。ヤコがドイツ語知らないなんて承知してるんだから」

「ごめん、ありがと」


 その後、天上院は授業でわからないところがあったらエミリアに積極的に聞いた。

 そんな天上院にエミリアは面倒な顔一つせずに教えてくれるのだった。

 そして昼休み。昼食をとるために天上院はエミリアと共に食堂へやってきた。

 適当にサンドイッチなどを購入して席に着く。


「ドイツの学校はどう? ヤコ」

「ドイツの人は皆凄い真面目に授業聞いてるよね。尊敬するよ」

「ふふっ、ありがと。後半も何かあったら気にせず聞いてね」


 そう言ってエミリアと天上院が話していると、女の子が一人やってきた。


「Hallo Emilia-」

「Hallo Anna」

「Wer ist das Kind?」


 なにやらドイツ語で会話が始まった。

 女の子の名前はアナと言うらしい。

 雰囲気でアナはエミリアに私が誰かを聞いているというのがわかる。

 戸惑った様子の天上院に気付いたのか、エミリアが英語で天上院に話しかけてくる。


「ヤコ、彼女はアナっていうの」

「アナさんですか? 私の名前は天上院弥子です。よろしくお願いします」

「よろしくね~」


 そう言ってアナは再びエミリアとドイツ語でしゃべり始める。

 ちょくちょくエミリアが気を利かせて天上院にも話題を振ってくれるのだが、単発的になってしまい、またエミリアとアナの会話に戻ってしまう。


(イマイチ踏み込みづらいな……アナさんともお話したいんだけど……どうすればいいんだろう)


「Tschüs! Emilia」

「Tschüs」


 天上院が迷っているうちに、アナはエミリアに別れを告げ、その場を去ってしまった。

 ドイツ語で話している二人を見て『遠慮』してしまい、アナと会話することが出来なかった天上院は、なんとなく言いようのない孤独感を覚えてしまった。


「午後の授業も頑張りましょうね、ヤコ」

「うん、よろしくね。エミリア」


 笑いかけてくるエミリアに、天上院はうまく笑いかえせなかった。



 天上院はヴェーバー家とのドイツ留学を楽しんだ。

 天上院が驚きだったのはドイツ人の綺麗好き度合いである。

 ベッドのシーツは毎日変えるし、その変えたシーツをいつ洗うのかといえば一週間に一度リネンデーというのがあり、そこでまとめて洗うのだ。

 またダストデーという日もあり、電灯の裏など姑かよというくらい細かいところまで掃除する日もある。

 ハンナが電子レンジを使った後に取っ手部分を布巾で拭いた時は、もう潔癖症なのではと疑った。

 ドイツ人は冷淡であるというイメージはなくなったが、極度の綺麗好きというイメージが新たについた。


 エミリアと共に学校へ一週間ほど通った後ドイツの学校も夏休みになり、ヴェーバー家が天上院を連れてドイツを案内してくれることになった。

 ドイツではサッカーが物凄い人気で、試合のある日は待ち合わせで広場が人込みであふれるほどだ。


「エミリア!」


 今日はサッカーの観戦をする為、エミリアと共にアナと待ち合わせをしていたのだ。

 初日こそ天上院は遠慮して話しかけられないでいたが、何度か顔を合わせるうちに話しかけることが出来るようになった。


「ヤコちゃんは普段サッカー見るの?」

「あー、全く見たことないんだよね教えてくれない?」


 天上院は残念な事にサッカーの試合は女子サッカー部のエースか応援していたチアリーダーしか見ていなかったため、ルールは知っていても有名選手などはほとんど知らないのだ。


「そうなの? じゃあ私がいろいろ教えてあげるね!」

「お願いするよ」


 そう言って天上院はアナに選手たちを説明されながらサッカーの試合を観戦した。

 プロ達の白熱した試合にあまり詳しくない天上院でもドキドキしてエミリア達と興奮することが出来た。



 そしてドイツ留学の2週間が過ぎ、別れの朝。

 留学初日にヴェーバー家に天上院を案内した運転手が迎えにやってきた。


「この二週間本当にお世話になりました。ありがとうございます」

「いやいや。大したおもてなしも出来ずにごめんね」

「またドイツにいらっしゃいね、ヤコちゃん」


 ヴェーバー夫妻は別れの言葉を告げる天上院にハグをしながら温かい言葉をくれる。


「エミリア、また今度ドイツに来たらよろしくね」


 その言葉にエミリアは眼鏡をかけなおし、ニヤリと笑って言う。


「私は貴女に一つ、言いたいことがあるわ」


 エミリアは天上院と軽いハグをしながら、耳元で囁く。


「貴女は『遠慮』し過ぎよ、もっと踏み込みなさい。ヤコがアナに話しかけた時だって、嫌な顔なんてされなかったでしょ?」


 エミリアはキス音を天上院の耳元で聞かせ、そっとハグを解いた。


「またドイツに来なさい、約束よ」

「うん、約束だ」


 そう言って天上院はヴェーバー家と別れ、迎えの車に乗り込む。

 プライベートガラスの窓を開け、ウェーバー家が見えなくなるまで天上院は手を振った。

 ウェーバー家も天上院が見えなくなるまで手を振り返してくれた。


「いい経験が出来たようですね」


 車の運転手は、とっくに見えなくなったウェーバー家の方角を見つめる天上院にそう話しかけた。


「ええ」


 天上院は運転手へ笑って答える。


「私を変える経験になりました」

正直に申し上げます。

ドイツ語ガバガバです。グーグル翻訳などを利用して今回の話を書いたのでドイツの日常会話的におかしい点がありましたらご指摘くださると幸いです。


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