悪魔さんの仕事
どうなってんだ私の体。
全身から虹色の光を放ち、背中には機械仕掛けの羽と普通の鳥っぽい羽に加えて、体には魚の鱗のようなものがありつつ、獣の尻尾や体毛も生えており、あげくの果てには少し歩くと足跡からなんか花が生えてくる始末。
バケモンかな?
「えーっと、盛り上がり過ぎてあんまり口挟めなかったんだけど」
私の頭の中に、先程の悪魔っぽい見た目の少女が話しかけてくる。
私と姫子ちゃんが神武一体しようとしてるときに実は何回か話しかけてきてたのだが、個人的な恨みで無視し続けていた。
「私の本来の役目として、今回の事件の首謀者であるガンホリ・ディルドーを視認し次第、随時天界に報告及び現地支援の役割があったんだけど」
そうなの、それで姫子ちゃんと一緒に旅して名前で呼び合うまでの中になったと。
「断じて誤解ですわ弥子さん、この悪魔と私は仲良くなったつもりなどございません」
えっ、なにそのツンデレ的なの。
姫子ちゃん私にも割とそういう態度取ることあるよね、もしかして……?
「断じて! 違い! ます!」
はい、申し訳ありませんでした。
いや疑っていたわけではなくてですね、羨ましいなーって思っただけなんですよどうしても。
こちとら姫子ちゃんには切られそうになったり噛まれたりだったのに、この悪魔さんはずっと一緒にいたわけでしょ?
そりゃちょっとは嫉妬しますよ。
「もう。弥子さんは他にもいっぱい女の人がいらっしゃるかもしれないですが、私には弥子さんしかいないんですよ」
やばい、それを女の子に言わせるのは非常に情けない。
一人に絞れなくて本当にごめんなさい。
「アツアツなとこ申し訳ないんだけど、基本的にガンホリが操る神の権限を利用した干渉はスキルリストを通じて天使のヴィクティムが無効にしてくれるから、逆に攻撃はボクを通して行ってほしい」
ボクを通して行って欲しいって……今でも結構とんでもない恰好なんだけど。
この上に悪魔の力を追加するとか、どうなるんだ私の身体。
角と漆黒の翼が生えて完全に化け物になる予感しかない、百年の恋も冷めるわ。
どこに出しても恥ずかしい体になっちゃうよ。
「心配する必要ないよ、キミの攻撃を通して勝手に僕がガンホリの身体状況を解析して、最も効果的な機能低下のウイルスを打ち込むイメージだから」
大丈夫? なんか無効化とかされない?
ウイルスに耐性付いて余計無敵になったりしない?
「それについては心配しなくていいよ」
ほんとかなぁ。
若干の不安を抱きながらも、改めてガンホリに向き直る。
そこには出会った当初の中性的な容姿を持つ誰かの姿はなく、ただ全身を呪いのお札のような何かで覆う巨大な竜の姿があった。




