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女だけど女の子にモテ過ぎて死んだけど、まだ女の子を抱き足りないの!  作者: ガンホリ・ディルドー
最終章 第二次中央戦争編
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謎の映画監督「G・D」の語り

 その時の光景を、裁断者アイディールは今でも鮮明に覚えているという。

 彼女だけではなく、その時の光景を目撃した中央王都の国民は、地獄のような惨禍の中で、突如浮かび上がった幻想的な輝きに目を奪われた。


「夜に架かる虹」


 雷雨を切り裂くように夜空に架かった鮮やかな七色の虹。

 後に「白虹(びゃっこう)」と言われるその奇跡で、ある人は虹を橋にして駆け上がる美しい戦乙女を見たという。

 あまりに現実離れした話だと人々は笑い飛ばそうとしたが、後に中央王都で重要な指揮を執ることとなるアイディール氏と、聖淫魔ビッケ氏の証言、そして当事者である元王女フリジディ氏の3人が事実と認めたことで、映像こそ残っていないが、確かに救国の騎士が災厄を防いだとされる。

 その救国の騎士の名こそ、「白虹の騎士 ヤコ」であり、中央王都が中央都市へと姿を変え、何度も人々の心を勇気付ける映画として題材に挙げられるも、未だに根強い人気を誇っている。

 この「白虹の騎士」が人気な理由の一つに、魔族、人魚、獣人、植物人、人工生命体、そして人間すべてが協力して困難を乗り越えるというのがあるだろう。

 中央都市の復旧から現在に至るまで、この世界で昔から続いてきた他種族差別や戦争のような、関係の悪化が起こりそうになるたび、人々は必ず虹の旗を軒先に掲げ、種族の協力を叫び続ける。


「愛を、白虹の愛を、我らの障害に架け橋を」


 きっとこの先、これが神話となり、事実を疑う学者気取りが出てくるだろう。

 私は今から2人に対して警告する。

 一人目は、平穏を望む君に伝える。

 人々は再び白虹の奇跡を忘れ、争いがおこるかもしれない。

 災厄は私だけではない、集団の中には、例えそれが平穏な時であっても争わずにいられないものがいる。君は巻き込まれ、多大な苦労をするかもしれない。

 しかし希望を捨てる必要はない。

 二人目は、災厄を目論む君に伝える。

 どんなに強大な力を手に入れても、必ず滅ぶ時が来る。

 強い決意を持って現れた白虹の騎士を前にして私は全力を尽くした。

 これは私の感想でもあり、事実でもある。

 一切の希望は捨てよ、その先に道が続くことはない。


 プロローグが長すぎたようだ。

 先程私は、「白光の騎士」の映像は一切残っていないと言ったが、それは嘘である。

 この世でただ一つ、私の頭の中に、最高の特等席で記録してあるのだ。

 それを今から皆様にお見せしようと思う。

 白虹の騎士の勇敢さと、災厄を呼ぶ化け物の醜悪さ。

 正義と悪、陳腐にして永遠なストーリーを。

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