グッジョブ天使ヴィクティム
光が収まると、そこはいつもの不思議な空間……ではなく、天使のヴィクティムちゃんと出会った場所のような白い空間だった。
そしてそこには姫子ちゃんだけでなく、ペニバーン、ロウター、フィスト、ティーエス、ドレッド、ヴィエラ、キハーノ、フリジディ王女にイージスさんと、私が神武一体をしたメンバー全員の姿があった。
そしてもう一人、今まで出会った誰でもない、七色のオーラを持った他者を圧倒するオーラを放つ美女が立っている。
「初めまして、導き手よ。私はこの世界の統治を天界より任されし女神イーリス」
厳かでありながら、柔らかい不思議な印象の声音が、私の心に直接響く。
「私が不甲斐ないばかりに、沢山のご迷惑をおかけし、大変心苦しいです」
ご迷惑、なのかな。
それこそ今はなんか凄い戦いに巻き込まれているけど、それまでは割と私の好きなように行動してたし、なんなら今回の戦いも私が軽率に動いたからとも言えるし。
そういう意味ではむしろ私が謝罪しないといけないかもしれない。
「そして、今一度貴女に頭を下げます。どうか私と共に、ガンホリの暴走を止めて頂きたい」
女神イーリス様はゆっくりとその頭を下ろした。
元よりそのつもりだったし、女神様が協力してくれるのなら寧ろ願ってもない。
快く快諾する旨を伝えると、イーリス様は顔を上げ、優しく微笑んだ。
「ありがとうございます、では早速、貴女がお持ちのスキルの一つを少し使用させて頂きます」
ん、私のスキル?
なんだろう、私のスキルって美少女感知センサーと四十八手と、あとはペニバーンとロウターの召喚くらいしかないはずだが。
疑問に思う私にイーリス様は右手を掲げ、目を瞑る。
すると私の眼前に黒字と金の装飾の本……ってこれ見たことあるな。
『はいはーい! 天上院様どうしましたー?』
あっ、これヴィクティムちゃんに繋がるスキルリストだ。
「天界の担当者への至急協力と権限の一時拡張を願います。混合世界管理者、階級女神のイーリスです」
『わっ、承知しました! 転生担当短命課所属、階級天使のヴィクティムが承りました、現在大天使及び最上級管理神に申請中。申請結果、許可が出ましたので直ちに一時拡張の開放と至急応援をお送りします!』
なんだなんだ、凄いただならぬ雰囲気だな。
会った時はふわふわしてたヴィクティムちゃんが凄いデキる女感のある対応をしているのがビックリだ。
ヴィクティムちゃんとの会話が終わったのか、そのままスキルリストが閉じられると、イーリス様はそれを両手でそっと返してくれた。
「ごめんなさいね、本来だったら私が直接連絡出来るんですが、権能は天界との連絡手段なども含めて殆どガンホリに奪われていまして、貴女達に力を貸すのもこうやって一時的に力を借りないとダメだったんです」
あまり女神様のシステムなどはよくわからないが、まぁガンホリがイーリス様の力を殆ど奪ったせいで、ヴィクティムちゃんの協力がなければ本来の力が発揮できない状態だったのだろう。
というかヴィクティムちゃんが私にスキルリストのスキルをプレゼントしてくれていなければ危なかったのでは?
今度御礼を言わせて貰わないと。
「では導き手と英雄達よ、女神イーリスの名において、邪悪を征する力を授けます」




