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女だけど女の子にモテ過ぎて死んだけど、まだ女の子を抱き足りないの!  作者: ガンホリ・ディルドー
最終章 第二次中央戦争編
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サタンの独白 中

 ガンホリは強かった。

 封印から解かれたサタンは、襲い掛かる重圧の中、確かな喜びを感じていた。

 それは封印から解かれたからではない、自分より強い存在を、女神イーリス以外に初めて見たからである。

 しかしガンホリもまた、女神イーリスと同じく支配する者でしかなかった。

 どうか、どうにか私と同じこの世界で、私を殺せる存在を見たい。


 ガンホリが私に下した命令は、他二匹の化け物と比べて比較的自由だった。

 リヴァイアサン、フェンリル役割が女神イーリスの母体の監視だったのに対し、サタンは魔大陸にて『英雄の器』足り得る人物の育成。

 簡単な命令ではない、7つに分けた女神イーリスの力である内の一つを封じる肉体選びは困難を極めた。

 屈強な体の魔族などは掃いて捨てる程にいるのだが、自らである魔王の力と相反する聖なる力である女神イーリスの力は、比較的親和性の高いものでも魔族に馴染むものはいなかった。

 だが200年もの時が流れれば、いずれ見つかるものである。

 聖なる種族からはぐれ、この地に流れ着いた魔大陸を支配する一族。

 ダークエルフの少女が、まるで他の『英雄の器』の誕生と時を同じくして覚醒の気配を見せた。


 本来であれば、イーリスの魂の小片の様子を見つつ、時がくればその力を奪えという命令だった。

 少女がある程度成熟した頃には既に他の魔族とは一線を画し、当時若い魔族の中では最強と言われた淫魔の姫と日々争うまでに成長した。

 器は完成した。程よくイーリスの魂と少女の魂の融合が進み、今ここで少女の魂を喰らえば、ガンホリの命令を果たせる。

 だが、それに一体なんの意味があるというのか。

 エクストは永遠の魂、ミューズは至上の美、ペンドラゴンとユグドラシルはガンホリからの解放、ゼロは意志を持つ機械の完成。

 ガンホリに従う他の者達は、それぞれ自らの願いが叶う。

 私の願いは一体なんだ。

 永遠の魂なんていらない、数千年生きて既に退屈している。

 至上の美にも興味がない、私の前に傅かない者などいない。

 ガンホリから解放されたい訳でもない、別に不利益はない。


 その時稲妻が走ったのだ、閃きという名の輝きが。

 器は完成した、既に少女の力は英雄として十分なものとなっている。

 ガンホリがこれに気付けば、すぐに処分を命令するだろう。

 それでは面白くない。

 私はガンホリからその少女を隠すことに決めた。

 そう、全てはあの無限にも感じた封印の中での願いを叶える為。


「フィスト、お前だけが私という化け物を殺せる」


 生まれてきたことを罪とされ、女神に封印された化け物は、女神の魂をその身に宿した英雄に殺されることを望んだ。

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