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女だけど女の子にモテ過ぎて死んだけど、まだ女の子を抱き足りないの!  作者: ガンホリ・ディルドー
最終章 第二次中央戦争編
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サキュバス・キス

 神の目の前に辿り着いた私は、迷わずその唇に口付けをした。

 元々サイズ差は巨人と子供並みにある。

 なので重ねる唇の大きさも段違い、口付けと言っても、イーリスにとっては本当に唇に何か当たった程度の感覚しかないだろう。

 空を飛びまわる瓦礫の欠片でも当たったのだろうかとしか思ってないかもしれない。

 私はサキュバス、ただのキスでも普通の人間とは訳が違う。

 愛情が籠っているとかではない、そういうレベルの違うではないのだ。


 サキュバスにとって、キスというのは捕食の手段。

 食虫植物が甘い匂いで虫達を誘うように、深海の魚が光を用いておびき寄せるように。

 キスというのは、自分に意識を向けさせる行為。

 人から精気を吸い取るという方法で食事をしているのだ。

 その精気を発してくれなければ、生存すらままならない。

 だから、キスを介して相手の気持ちを増幅させる。


 感情というのは、ピンと張り詰めた糸に似ている。

 何かのハプニングに対して、感情は弾いた糸の様に揺れ動く。

 それは喜びであったり、怒りであったり、悲しみであったり。

 しかし感情を失った虚無状態は、その揺れが非常に鈍い。全く揺れないと言ってもいい。

 だからこそ、激しく弾かねばならない。思いっ切り引っ張って離すのだ。

 本来なら千切れてしまうくらいに引っ張る。

 触れた唇、触れ合う粘膜から魔力を伝導させ、爆発させる。

 直接脳を揺さぶるくらいの刺激を叩きこむのだ。


「!」


 イーリスの巨体がわずかに揺れた。

 効果アリ、だ。

 少なくとも可能性は0じゃない、反応があった。

 顔を見上げると、瞳が少し光を取り戻している気がする。

 もっとだ、一発じゃ足りない。

 激しく、連続して。

 反応を確認し、再びキスをする。

 今度は一回だけじゃない。

 揺れる体に振り払われないように、しっかりと離れずに絡み付く。


「アォォ……!!!」


 よし、虚無状態はほぼ脱している。

 後は自我を取り戻せるかどうか。

 ここからは正直賭けの部分がいくつかある。

 虚無状態が洗脳の最終段階と言われる所以はそこにあるのだ。

 例え虚無状態を脱しても、全くの別人格になってしまったり、廃人になってしまうケースは珍しくない。

 一回破壊された心は、どれだけ丁寧に癒しても崩壊する危険があるのだ。

 赤子のように優しく包み込み、辛抱強く再生を待つしかない。

 強い刺激はここまでだ。

 あとは優しく、ゆっくりと本来あるべき揺れを保たなければならない。

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