表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女だけど女の子にモテ過ぎて死んだけど、まだ女の子を抱き足りないの!  作者: ガンホリ・ディルドー
最終章 第二次中央戦争編
251/291

誑惑

 フィストの想いが、サタンに作られた偽物?

 嘘だ、そんなはずはない。

 誰よりも私が信じている。彼女の想いが、そんな偽物であろうはずがない。


 確かに、彼女との出会いはかなり特殊なものだった。

 だけど、そこから二人で愛し合った時間は紛れもない本物だ。

 そう思っているのは、私だけなのだろうか。

 お願い、否定して。フィスト。

 この気持ちを目の前の彼女に伝えようとしたが、サタンの指が私の開いた口の中に突っ込まれた。

 くそ、こんなもの。

 噛み千切ってやるとばかりに歯を立てるが、サタンは全く意に介さないとでもいうように、指先で私の舌先を挟んで持て余してくる。


「ほっほ、愛する女を弄ばれて悔しいか? それとも自分の恋心が弄ばれて悔しいか?」


 うるさい、うるさい。

 邪魔をするな、お前に愛の何が分かる。恋心の何が分かる。

 こんな性根の狂った事を考える奴が、愛を知ってるはずがない。

 他人の手で簡単に作れるようなら、恋が面白いはずがない。

 どうなるかなんて誰にも分からないから心が沸き立つんだ、ドキドキするんだ。

 一緒に居られる安心も、目が合った時の動揺も、キスした時の感激も。

 何百、何千年と生きていようが、世界を超えて生まれ変わろうが、この気持ちに飽きることはない。理解する日は絶対に来ない。

 そんな事も理解出来ずに、恋を作った?

 ほざくな愚劣。


 サタンは私の口を塞いでいる手はそのままに、もう一方の手で私の身体をフィストに見せ付けるように弄り始めた。

 触るな、悪寒がする。

 確かにお前の顔はいい、絶世の美女と形容するに相応しいかもしれない。

 だが余りに心が汚い、醜悪という言葉すら生温い。

 無い方がマシというレベルを超えて、存在するのが間違いだ。


 フィストが私を見ている。

 サタンの指を避けるために身を捩りながら伺ったその表情は、どこか迷うように曇っていた。

 嫌だ、どうして。


「愛してくれなくても、愛せればいい。口ではそう言っても、心は貪欲に求めてしまう」


 黙れ。

 今はフィストが喋ろうとしているんだ。

 お前の声なんて聞こえなくていい、耳が腐る。

 あぁ、ほら。彼女の口が漸く動いたじゃないか。

 何度も重ね合わせた唇で。


「ごめ--ヤ-。-、---好---な---い」


 よく聞こえなかった。

 なんてことだ、折角フィストが私への愛を伝えてくれたのに。

 まさか本当に耳が腐ってしまったのだろうか。

 フィストはそんな私へ、もう一度言ってくれた。


「ごめん、ヤコ。私、貴女が好きじゃないみたい」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ