英雄集結
「「ヤコ!」」
エクゼロが地面に落ちていくと同時に、羽ばたきの音と共に空から二人の女の子が落ちてきた。
ドレッドとティーエスちゃんだ。
なんであの二人が? 住む場所も何もかも違うはずだが。
そもそも面識があったのか?
というか、やべえ。二人共生身だからそんな空から落ちたりしたら危ないわ。
驚いた私は急いで翼を動かし、どうにか二人を空中でキャッチすることに成功した。
「なんで空から」
見上げると、見覚えのある三つ首の黒い龍が飛んでいた。
あぁ、そうか。君が連れてきてくれたんだね、姫子ちゃん。
二人の右目はそれぞれオレンジ色と藍色に輝いている。
「怖かった……」
「クッソ、あの女マジで意味わかんねえ。いきなり放り出すこたぁねえだろ」
紐無しバンジージャンプの衝撃が冷めやらぬ二人を地面に降ろすと、フィストとキハーノさんが駆け寄って来た。
それぞれ緑と黄色に瞳が光っており、4人が並ぶと神々しいオーラが伝わってくる。
『役者が揃った、ってとこかしら?』
七色の英雄。
苛烈の赤、リリー・フリジディ。
篤実の橙、ペンドラー・ドレッド。
理想の黄、D・キハーノ。
魔性の緑、フィスト・ライン。
情愛の青、ヴィエラ。
鼓舞の藍、ティーエス・セージ。
「あれ、どうして?」
一人足りない。
確か『苦悶の紫』って人だったはずだ。
『なによ、締まらないわね』
「まぁ、大丈夫だよ」
六人もいるんだ。
私がこの世界に来て、一緒に戦った大切な美少女達が。
何かエクスト王の言っていた通りになっているようで少し癪だが、関係ない。
こんなのはアイツらだって想定外だったはずだ。
生まれた場所も、過ごして来た日々も違う私達が、この場所で集結するだなんて。
「途中から来てくれた二人には、状況が分からないかもしれない」
何故二人を姫子ちゃんが連れてきてくれたかは分からない。
私の顔を見たくないと叫んだ彼女が、何を思ってこうしたか。
でもきっと、私の為にやってくれたはずだ。
「これから、私だけの力じゃどうにもなんない敵と戦わなきゃいけない」
その想いに応えなきゃいけない。
私はもう一度四人の目をそれぞれ見回して、口を開いた。
「お願い、私を助けて」
既に協力してくれてる美少女達。
そして、今まさに目の前で手を伸ばしてくれた少女達。
絶対に、乗り越えてやる。




