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女だけど女の子にモテ過ぎて死んだけど、まだ女の子を抱き足りないの!  作者: ガンホリ・ディルドー
最終章 第二次中央戦争編
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パンサの告白

「ここは……」

「ここは私、S・パンサの世界です。リーダー」


 パンサの世界?

 いや、ただの狭苦しい密室にしか私には見えない。

 鉄製の壁が四方を囲み、出口らしきものはどこにもない空間。


「私には本来、『心』がありませんでした。それは人が感情と定義付けるものです」


 状況の変化について行けない私を置いて、解説を始めるパンサ。

 心が無かった? 何を言っているんだ彼女は。

 だって君は、出会った日から私の恩人であり、親友だったじゃないか。


「ゼロが何十、何百年と研究を続けて探し続けた感情のプログラム化。完成の兆しが見えなかった彼は、再び禁忌へと手を伸ばしました」


 なんだ、私は一体何を話されているんだ。

 ゼロの時だってそうだ、確かアイツは。


「『異形』の『心を入れ替える』という力を借り、遂に感情を持つ機械の製造に成功」


 そしてパンサは私に指を差す。


「それが貴女、個体名:D・キハーノ。そして七色の英雄の一人。全てを夢見て、追い求める力を持つ『理想の黄色』」


 七色の英雄、理想の黄色。


「その『夢を現実にする力』によって、本来ただの感情を持たぬ人工生命体であった私に感情が芽生えました。本来モルモットである貴女を監視するという役目をゼロに任されていた私に、感情が芽生えました」


 パンサが、ゼロに私を監視するように言われていた?

 私が、モルモットだった。

 矢継ぎ早に明らかにされるパンサの告白に、処理が追い付かない。

 駄目だ、しっかりと見極めろ。理解を拒むな、認めるんだ。

 パンサは、私に何を伝えたいんだ。


「最初に抱いた感情は困惑。自分の置かれた立場と、目の前で微笑む貴女を比べて、ショートしたことは数え切れません」


 彼女から悪意を感じたことはない。

 そして今も感じることはない。

 だって、今も私の前で必死に何かを伝えようとしている。

 その目に、私を害そうという心は無い。


「ゼロへと私の変化が伝わらないように振舞う一方で、リーダーが英雄としての力を覚醒させるのを促すのは苦労しましたが、導き手が現れたことで問題は解決しました」


 ここで、彼女の目が曇った……ように私には見えた。

 とても悲しそうな表情を浮かべ、そしてどこか怯えた様子だった。


「しかし私はリーダー、そして導き手を裏切りました。ゼロに私の変化が伝わらないようにする為に、奇襲作戦の全てを伝えたのです」


 奇襲作戦、それは数日前にゼロと初めて戦ったあの日のことだろう。

 あの作戦がゼロへ筒抜けだったというのだ。

 だが仮にパンサの裏切りが無かったとして、作戦が成功していたかは怪しい。

 事実、私はゼロに太刀打ち出来ず、あっさりと返り討ちにされたのだから。


「私は間違いなく導き手を陥れ、リーダーを裏切ったのです」

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