指令室到着
俺自身、ティーエスを守ると言いながら、ある程度訓練こそしたものの、このように実際に戦うのは初めてだ。
だが、実際にこういう場に立つと、「殺してはいけない」という縛りが逆に心の支えになる。
トライデントの石突きを使って、向かって来る人魚に一撃を加えていく。
撃ち漏らした相手はヒストリアさんやガラードさんが援護に入ってくれるお陰で、俺は目の前に集中することが出来る。
というかガラードさんが普通に超強い。
腰に二つの美しい装飾が入った銃を差している彼女だが、徒手空拳でも一撃で人魚達を沈めていく。
「獣人というのは凄まじいな」
「あまり得意じゃないんだけどね」
それで得意じゃないとか、俺の槍捌きなんか才能無いってレベルじゃねえだろ。
彼女の謙遜が俺のプライドにヒビを入れながらも、順調に船の指令室へと近付いていく。
指令室に多くの人材を配置しているのか、直接こちらに出向いてくる人魚の数は少ない。
それは戦闘慣れしていない俺にとってはありがたい話ではあったが、いざ指令室に入った時のことを考えると非常に辛い。
「ここだ」
間もなくして一枚の扉の前に辿り着いた。
ここがティーエスのいると思われる指令室だ。
かなりの大きさの潜水艦だが、流石に百人も一部屋に入ったりはしない。
せいぜい中にいるのは多くて数十人だろう。
「中に入れば、もうお前の援護など考えている余裕は無くなるだろう。死ぬ気でやれ」
「そのティーエスさんって人以外なら、多分私一人でどうにか出来ると思う、頑張って」
ちょっとキツイ言葉で俺を叱咤してくれるヒストリアさんと、非常に心強い言葉で応援してくれるガラードさん。
『近い、近いぞ。ミューズ、すぐにその報いを受けさせてやる』
俺の手の中で、トライデントが光を強める。
相変わらずやかましい槍だが、コイツにもきっと目的があるんだろう。
正直まだまだ扱い切れていないのだが、ティーを守るには、トライデントに相応しい男程度にはならなきゃなんねぇ。
「俺は大丈夫だ、いつでもいける」
「いい返事だ。ではいくぞ!」
そう言って、ヒストリアさんは扉を蹴破った。
人が近付いたらセンサーで自動で開くタイプの扉だし、正直そんなに乱暴な開け方をしなくても良いんじゃないかと思ったが、扉の前で待機していたらしい数人が巻き込まれて吹っ飛んでった。
成程、これも考慮して敢えて蹴破ったのか。
「いらっしゃい、待ってたわよ」




