覚醒
私がフリジディ王女へ抱いた疑惑。
それは、あまりに急激な態度の変化だ。あんなに気取った様子だったのに、いきなり余裕が無くなるのはどう考えてもおかしい。
私はまず、フリジディ王女が先程から強い反応を示す部位、お腹の鼠径部に近い辺りなのだが、その辺りを集中的に撫でまわした。
案の定少し私から顔を逸らして、吐息を堪えるように目を伏せるフリジディ王女。
たまに漏れる声がいかにもそれらしい。
私は一旦その辺りから手を放し、再びフリジディ王女の髪を撫でる。
すると少し安心したかの様に目を開いて、再び私を見つめてくる。
「ねぇ」
耐えきれずに声が出てしまった、ちょっとこれは流石にキツイ。
「なぁに?」
「そのフリ、やめたら?」
「あら、バレてたの」
フリジディ王女は私の愛撫を全く感じなどいない。
あまりにもわざとらしく喘ぎ声など出すものだから、思わずイライラして言ってしまった。
私がヘタクソなのを棚に上げて八つ当たりしているようで申し訳ないが、流石に傷付く。
「だって、私なんかよりアッチの方が気になってたみたいなんだもの」
やっぱり見抜かれてたか。
先程ペニバーンとイージスさんの行為に目を奪われたのを、フリジディ王女は完全にお見通しだったようだ。
「嫉妬しちゃうわぁ、私とのエッチなんて片手間なのね」
そんなに上手でもないくせに。
声には出されなかったが、私にはその副音声がハッキリと伝わった。
やばい、本当にどうすればいい。
今の動揺で完全にペースが乱された。
そして彼女は、その隙に私の懐へと入り込んでくる。
「今度は私の番ね?」
フリジディ王女はとても愉快そうに笑うと、まるで意趣返しとでもいうように私の髪を執拗に撫で始めた。
女の子に主導権を握られたことなど殆ど無かったのに、油断した。
どうにか流れを引き戻す為、彼女の髪の毛に手を伸ばそうとしたが、押さえられてしまった。
「じっとしてなさい。お人形さんみたいにね」
じっとにこやかに見つめられながら、ひたすら髪の毛を撫でられ続けるというのは非常に気まずい。
素直に楽しめばいいのだろうが、どうしてもフリジディ王女を圧倒しなければという思いがはやる。
だめだ、こんなのはエッチしてると言えない。
自分が楽しめていない時点で、ただの自己満足に過ぎない。
そしてその時点で、私はフリジディ王女に勝てない。
「可愛いわね、もっと素直になりなさい?」
そうだ、素直にならなきゃいけない。
さっき自分で言ったじゃないか。自分の欲望に忠実になるんだ。
フリジディ王女としたいこと、私がどうやったら気持ちよくなれるか。
フリジディ王女を狂わせて、壊すほど気持ちよくなるには、私はどうすればいいか。
『君がすべきことは、相手に対する責任を全て抱えることさ』
あぁ、いつだったかの夢で聞いた声が聞こえる。
そうさ、相手のことを気遣って遠慮なんかしてもしょうがない。
全力で、最高のドスケべをプレゼントするんだ。




