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女だけど女の子にモテ過ぎて死んだけど、まだ女の子を抱き足りないの!  作者: ガンホリ・ディルドー
最終章 第二次中央戦争編
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清宮姫子編 最終話

 ティーエスさんは学校へ通い始めるまで、自分は全ての人魚の模範となる存在にならなければならないという責任感に押し潰されそうになっていたらしい。

 勿論それは今でも変わらないのだが、当時の幼い彼女にとっては本当に辛い記憶だったそうだ。


 その話を聞いて思い出したのは、私も家にいるのは息苦しかったという記憶です。

 ただ、正直ティーエスさんと異なるのは彼女は努力していたのに対し、私は只管に現実逃避をしていたという点です。

 なので家にいるのが辛かったという点で共感は出来ても、責任感に関しては全く想像もつきません。


「失敗したらダメなんだってそればかり思ってた私は、入学して最初の挨拶で大失敗しちゃったの」


 なんでも、都市長の娘として新入生代表の挨拶を任されたらしいですが、全校生徒の前で立った瞬間に目の前が真っ白になり、どうにか言わなければいけないことを必死に伝えたものの、スピーチとしては完全に失敗したらしい。

 新入生代表挨拶といえば、思い出すのは天上院様の挨拶ですね。

 嫌がらせをした相手が壇上に立った上に、新入生の代表者だと知った時はもう本当に驚きましたが、彼女は視線などまるで関係ないとばかりに堂々と挨拶をしていました。

 今のティーエスさんの話を聞くと、あの人のそういう度胸はいったいどこから湧き出ているのかと思うのですが、あの人を常識の尺度で測っても疲れるだけですね。


「でもさ、アレク……アレックスはそんな私に、失敗を反省するのはいいけど、落ち込み続けるのはいけないって教えてくれたの」


 あの人は、失敗したことなんてあるんですかね。

 もし失敗していても、気にすることなんてないんでしょうね。

 私にとって最大の失敗とはなんでしょう。

 やっぱり


「失敗なんて、成長した自分を見せつけて、取り返せばいいんだって」


 天上院様を、この手で殺したこと。

 殺人を、取り返すなんて。

 私の失敗は、取り返しがつかない。


「もっと顔を上げてみろって。転がっているはずのチャンスを見逃すぞって、そう教えてくれたんだ」


 チャンスなんて、どこにもない。

 悪魔が提示したチャンスは、そんな甘いものではなかった。

 何故だろう、頭が燃えるように熱い。


「どうしたの? ヒメコちゃん」


 くらくらする、のぼせてしまったのだろうか。


「ヒメコちゃんはさ、そんな大切な人、いる?」


 いた。間違いなく私にとって彼女は、この世の誰よりも大切な人だった。

 でも、彼女にとって私は、数多くいる大切な人の内の一人に過ぎなかった。

 そんな感情は私のエゴに過ぎない、そう勝手に思い込んでいただけに過ぎない。


「ズルいよね、不公平だよね。自分が愛した分だけ、愛して欲しいよね?」


 私がこれだけ愛したのに、私だけを愛さないなんて許せない。


「じゃあさ、一緒に、復讐しよ?」


 復讐したい。

 あの人が愛する全てを引き裂いて、私だけのあの人にしたい。


 赤く染まって薄れゆく視界の中、私の左目だけが唯一疼いていました。

次回、本編へ

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