清宮姫子編 その9
ただ切るだけではメガロドンを倒せない。
奴が水中にいる限り、どんな斬撃もしくじる可能性がある。
私はメガロドンが来るであろう空間に向けて、まず四本の刀を振りました。
ぎどらちゃんの魔力で変質した切れ味は、水をも乖離させる。
そして二ノ太刀。異変に気付いたメガロドンが慌てて止まろうとするがもう遅い、決して逃がさないようにグレイプニルで抑えながら、乖離した空間に引きずり込むようにして岩徹しを使って渦を生み出します。
明らかに自然ではない水の流れに、メガロドンの抵抗はより必死なものになったりましたが、グレイプニルの拘束からは逃れることなど出来ません。
そしてメガロドンの巨体が死の囲いに引き摺り込まれた時、私は囲いの下を潜り抜けてメガロドンの尾ひれへと向かって泳いでいきました。
後ろから見えるのは、未だに渦へと抵抗するメガロドンの姿。
逃がすわけにはいかない。ここでトドメを刺さねば私が負ける。
最後の仕上げ、上下左右と正面は切った。残るは背後だけ。
岩徹しに魔力を込めて切る。
5つの面が切れた空間に残った水が、渦に吸い込まれて流れ出ていく。
そして渦が収まって、最後の一面も水と切り離される。
水の中に現れた立方体の中にあるのは真空空間とメガロドンのみ。
閉じ込められて暴れようとしていますが、もう勝負はついています。
既に岩徹しは鞘に戻しており、六つの腕を全てグレイプニルへと変えて拘束に専念。
水すらも通さない魔力の断面と、グレイプニルの拘束でによってメガロドンは逃げることなど出来やしない。
呼吸すら不可能な空間の中でメガロドンはやがてゆっくりとその動きを鈍らせていき、やがて完全にその生命活動を停止させました。
「……対象の生命活動の停止を確認、戦闘終了です」
『こちらも確認した。すぐに帰還準備をする』
ヘルメットに付いていたマイクで戦闘結果の報告をすると、すぐに艦長さんからの返答がありました。
戦いを始めた時に対応をしてくれた時の声は艦長さんでは無かったはずなので、いつの間に変わったのでしょうか。
すぐに私の体は安全ロープによって引っ張られ、潜水艦へと回収されます。
同時にぎどらちゃんとの身武一体も解除し、メガロドンを拘束していたグレイプニルと切り離された空間は姿を消しました。
ゆっくりと水底へと沈んでいくメガロドンの亡骸を見送りながら、私は潜水艦へと帰還しました。
戦闘描写が楽しくなって三話も書いちゃいましたすみません。
サメとの戦いは一話でさっくり終わらせる予定だったのですが、書いてたら何故か止まりませんでした。
清宮姫子編が終了したらすぐに本編へ戻りますので、もう少しお待ちください。




