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女だけど女の子にモテ過ぎて死んだけど、まだ女の子を抱き足りないの!  作者: ガンホリ・ディルドー
最終章 第二次中央戦争編
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運? それとも

 トレボール艦内への潜入は、思ったよりもスムーズに出来た。

 離陸する兵士達の発着口へと入り込み、そのまま出撃する兵士達に対して逆走することで、迷う事なく艦内の中心部へと入り込めたのだ。

 完璧な統率がされた兵士達の横をすり抜ける際に、ビッケは緊張した表情を浮かべていたし、『行運流水』を維持していなければならない私も、なるべく意識をそれらに向けないことに必死だった。


 トレボール艦内は、その中央に大きな広間があり、そこから発着口や船室など各方向へ細かい枝分かれがされていた。

 船室へ入る為には一部の特殊キーが必要なようで、存在を周囲から感知されないようにするだけの技に過ぎない行運流水では、その扉を開くことは出来ない。

 かといって行運流水を解いて特殊キーを持つ人口生命体に襲い掛かれば、逃げ場のないここではすぐに捕まってしまうだろう。


 そして肝心なヤコの手掛かりの捜索方法だが、これも事前に相談して作戦を決めていた。

 行運流水の極意は、突き詰めれば周囲の成分を解析し、自らをそれらと同化させることにある。

 この周囲の成分を解析し。という部分が重要であり、これを用いたならば、ヤコに関連したものがどこにあるか、もしくはヤコ自身がどこにいるかなどを見付けることも可能である。


 行運流水はヤコと別れてからの修行で身に着けた技であり、残念ながらヤコの成分の解析などしたことが無いので知らなかったが、そこはなんとビッケがどうにかしてくれた。

 曰く、サキュバス・プリンセスというサキュバスの中でも高位にある彼女は、一度出会った人物の身体から分泌される体液を半ば自動的に解析し、自らが放出するフェロモンの一部として変化させることが出来るらしい。


 つまり、ビッケに教えてもらったヤコの生体情報と同じものを追跡すれば、ヤコへの手掛かりに辿りつけるわけである。

 幸い艦内はその成分以外は機械の摩耗などで飛び交う成分で満たされており、判断はかなりわかりやすかった。

 よって、ヤコへの情報を強く示す成分は既に発見したのだが、それへと通ずる道が、先程の特殊キーに塞がれているのだ。


「どうしましょう……」


 行運流水の効果を受ける為、私と手を繋いだままのビッケは頭を捻る。

 艦内でのハプニングに対して、私は行運流水を維持しなければならない関係で、基本的にビッケが対応してもらうことを事前に決めていた。


「ん?」


 閉ざされた扉の前で彼女が対策を講じていると、その扉に一人の人口生命体が近付いてきた。

 そしてそのまま体に埋め込まれた特殊キーを用いて目的の扉を開き、中へと入室する。


「っ! 運がいいわね」


 すかさずビッケはその開いた扉をその人口生命体と共にすり抜け、無事に問題を解決することが出来た。

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