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女だけど女の子にモテ過ぎて死んだけど、まだ女の子を抱き足りないの!  作者: ガンホリ・ディルドー
第一章 魔族のフィスト
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指名手配だけど逃げるけど世界一美しいけど

 翌朝、天上院はフィストに叩き起こされる。


「ん……まだ眠いわ、一緒に寝ましょうよフィスト」

「バカ! そんな状況じゃないのよ! 貴女、指名手配されてるわよ!」

「もう、そんな焦らないで、優しくしてあげるから……」

「起きろボケェエエエエ!」


 フィストが天上院をベッドから引き摺り出し、宿の壁に叩き付ける。


「ぐえっ、痛いよフィスト……」

「それどころじゃないわ! ヤコが王家の勅命で指名手配されてるのよ、早く逃げないと!」

「はぁ……?」


 フィストがスマホを突き出してくるので、それを見ると情報局公式サイトという画面で、緊急依頼としてのバナーがあり、そこをタッチすると「王家勅命依頼」という物々しい文字列とともに天上院の顔が貼ってあった。


「え、なんで?」

「昨日の王都祭に決まってるでしょ! 目撃したらすぐに治安委員へ連絡をするようにとも書いてあるわ、相当ヤバいわよ」

「治安委員?」

「この国の警察組織よ! ここもいつバレるかわからない、はやく逃げるわよ!」


 フィストは既に荷物を纏めている。


「あ、そうだ!」


 ドアを開けて、いざ部屋を出ようとしたところでフィストは天上院に振り返ってその顔に手を翳す。


「これでよし」

「なにをしたんだい?」

「幻術よ、ヤコの顔を別人にしたの」

「なるほど」


 これで見つかる確率は大分低くなっただろう。


「さ、逃げるわよ」

「なんかごめんね」

「気にしないで、王都祭に出るように言ったのは私だし、寧ろ私が謝らなきゃ」

「あはは、フィストが謝ることなんて1個もないよ」


 無事にチェックアウトを済ませ、転移陣へと向かう。


「どこを目指すんだい?」

「中央王都とあまり仲良くない国、その方が逃げやすいでしょ?」

「なるほどね」


 しかし、二人が転移陣のある広場につくと、そこで広がる光景に唖然とする。


「うわっ、治安委員がいっぱい……」

「あの人達が治安委員? 転移陣に乗る人たちを注意深く調べてるけど」

「そうよ、ヤコを探すためにああして全員をチェックしてるんでしょうね。ここは無理だわ、仕方ない。車で行きましょう」

「運転できるのかい?」

「当然よ」


 二人は広場を去り、レンタカーを借りる。

 だが、日本の車とは明らかに違う点があった。


「あれ、ハンドルはないのかい?」

「ハンドル? なにそれ」

「え、車を操作するものだけど」

「あぁ、どれだけ昔の車を想像してたのよ。今は目的地を設定すれば勝手に自動で向かってくれるわよ」

「おぉ、それはすごいね」


 乗り込みながら天上院はさらにフィストに質問する。


「レンタカーは前世からあったけど、こういうのって返す時はどうすればいいんだい?」

「借りた店の各地にある支店に返すだけよ」

「結構簡単なんだね」

「安全のためにしっかりシートベルトはつけてね」

「はいはい」

「目的地を設定して……と」


 フィストが決定を押すと、車は自動で進み始める。

 かなりの速度だ。

 黒服と戦った時に見た車もこれくらいの速さだったが、この世界ではこの速度が普通なんだろう

 

「もうすぐ王都を抜けるわ。車もなんかいつもより少ないし、早く着くと思うわよ。」

「そう、じゃあ少しは安心だね」

「えぇ、朝早かったし、疲れたなら寝ててもいいわよ」

「あはは、そうする……よっ!?」

「きゃあ!」


 車が急停止した。


「な、なに?」

「……モニターが反応しないわ、間違いなく外部からの指示でしょうね」

「……マズいよね?」

「滅茶苦茶マズいわね、嵌められたわ」


 先程まで二人の車の周囲で多くの車が走っていたが、気付けばどこにも車がない。

 もっと早くこの異常に気付くべきだった、だがもう遅い。

 突然車内に声が響き渡る。


《こちら治安委員、こちら治安委員。乗車している方、速やかに降りて下さい》


 聞こえてきたのは、機械的な命令だった。



「どうする?」

「従うしかないでしょ、どうしようもないし」

「わかった」


 音声の指示に従い、車から降りる二人。

 道路のど真ん中だが、車一台走ってこない。

 そんな異様な光景にさらに異様さを足すかのごとく、地面からいきなり鉄の壁が出てきて、二人の退路を断つ。


「うわっ、すごいね」

「感心してる場合じゃないでしょ、逃げられなくなったわよ」


 追い打ちをかけるようにレンタルした車が爆発した。


「どんだけやるねん」

「ここまでくると笑っちゃうわね。ほら、おいでなさったわよ」


 二人が乾いた声で笑いあうと、前方の鉄の壁の一部が自動ドアのように開く。

 青い服を着た三人の女性達だった。

 一人はパソコンのようなものを操作しながら、一人は手ぶらで、そして中央にいる小柄な少女は、手に黄金の天秤を持っている。


「うわぁ、『鉄の女』だ」

「知っているのかい?」

「知っているどころか戦ったことすらあるわよ」

「結果は?」

「惨敗」

「それはそれは……」


 三人は天上院達の目の前まで来た後に立ち止まる。


「ドスケベ=クイーン、貴女を王家勅命の依頼により拘束します」


 パソコンを操作している眼鏡の女性が言い放つ。

 思わず吹き出す天上院と、必死にこらえるフィスト。


「真面目な顔でドスケベ=クイーンとか言ったよあの人……!」

「ヤコの本名知らないんだからしょがないでしょ!」

「でもわざわざ言うことないのに……ドスケベ=クイーン」

「ちょっと、笑わせないでよ!」


 二人はこそこそと話し合う。


「聞こえているのですか、ドスケベ=クイーン。逆らうようでしたら少々手荒なことをしますよ」

「あー、一ついい? 私が何故ドスケベ=クイーンだと?」

「変装しているのは解りますし、昨日試合で現れたドスケベ=クイーンと完全に一致する魔力の波動があなたの体から発生してます」

「わお、そんなことまでわかるんだ」


 DNA検査いらずじゃないか。

 天上院はちょっと感心してしまった。


「これからあなたを拘束します、抵抗しないでくださいね?」


 中央の小柄な少女が言うと、手ぶらだった女の手に手錠が現れる。


「それは出来ない約束だね。大人しく捕まってもろくな目にあいそうにないや」

「まぁ、そうおっしゃると思ってました。では、実力行使をさせていただきます」


 命令に拒否した天上院を見て、少女が天秤を空に掲げる。

 すると天秤から謎の糸のようなモノが現れ、天上院の胸に向かって伸びてくる。


「ペニバーン!」


 それを見た天上院はペニバーンを呼び出して、その糸を叩き落とす。


「やはりただでは捕まってくれませんか」

「捕まってお嬢さんが私の体の隅々まで検査してくれるっていうなら捕まってあげてもいいんだけどね」

「不浄です」

「おやおやぁ、なにを想像したのかなぁ?」


 アイディールと天上院の戦いが始まった。



「フィストはあの人と戦ったことあるんでしょ? どんな攻撃してくるの」

「説明は難しいわ。天秤をかざしたと思ったら幻術をしてたのに、突然技を食らって負けたもの」

「それはそれは……」


 相当面倒な相手のようだ。

 戦った張本人がなぜ負けたのかわからないというんだから。


「とりあえずあの糸っぽいのに捕まっちゃダメだね……おっと!」


 天上院が注意深くアイディールを観察していると、手ぶらの女がいつの間にか天上院に近付いて攻撃を仕掛けてきていた。


「危ない危ない」

「あらら、よく避けましたね~」

「君が美少女じゃなかったら危なかったよ」


 突然の不意打ちに、美少女センサーのおかげで対応できた天上院。

 ペニバーンを振るって、女を払いのける。


「ヤコッ、危ない!」


 女に注意を向けていると、アイディールから再び糸が伸びてくる。

 天上院がそれを再び叩き落とす。


「ヤコ、補佐官は私に任せて。そっちには幻術が効くし」

「わかった!」


 フィストに背中を任せると、天上院はアイディールに向かって突撃する。


「面倒ですね、ダークエルフの方から先に片付けますか」

「ダークエルフ?」

「貴女のお連れさんのことですよ。まさか知らなかったんですか?」

「その人の顔と性格以外の情報に興味がないものでね」


 アイディールが天秤をかざすと、天秤から光線が補佐官二人と戦っている最中のフィストに向かって放たれる。


「なんだいその攻撃!?」


 天上院はその光線をペニバーンで防いだ。

 流石は『元』神槍である、魔力的な攻撃のもバッチリ対応だ。


「ほらほら、上手く守って差し上げないとお連れさんが死んじゃいますよ」


 今度は光線が二つも天秤から放たれた。


「くっ、〝ヨリソイ”!」


 天上院はそれを究極性技で防ぐ。

 不思議なベールが天上院とフィストを包み、光線を防ぐ。


「ヤコ、私のことは気にしないで!」

「そんなこと言っても!」

「このままじゃ二人ともアイツラにやられちゃう!」

「それでフィストを見捨てろって? ふざけないで!」

「友情ゴッコは結構ですが、もっと目の前に集中した方がいいですよ?」


 気付けばアイディールが目の前に接近してきて、二人を包むベールを〝蹴った”。

 するとたちまちベールは消失し、天上院達は無防備になってしまう。

 アイディールは二人に再び光線を放つ。


「危ないっ!」


 フィストは天上院を突き飛ばしたが、そのせいでモロに光線を食らってしまう。

 鉄の壁まで吹き飛ばされるフィスト。


「フィスト!」

「安心してください、捕縛依頼で殺してどうするんですか。非殺傷性ですよ」

「くっ、ペガサス!」


 倒れるフィストに駆け寄る天上院はペガサスを呼び、回復魔法をかけようとする。


「させませんよ」


 ペガサスを召喚した天上院に向かって再び光線が放たれる。

 それをペニバーンで防ぐ天上院。


「ペガサス! フィストに回復を!」

「わかっている!」


 召喚されてすぐに事態を察したペガサスはフィストに回復魔法をかけ始める。


「くっ、面倒ですね」


 ペガサスの登場に舌打ちをするアイディール。


「ペガサス……」

「黙っていろ、今回復をする」

「聞いて欲しいことがあるの」

「なんだ」


 そう言うとフィストは目を瞑る。

 ペガサスに念波を送って会話しているのだ。

 ソレが誰にも聞こえないように。


「……主は必ず怒るぞ」

「もうこれしかないの」


 回復が終わったフィストは、ゆっくりと立ち上がる。


「ヤコには謝っといてくれる?」



「ぐっ!」


 フィストの回復が終わったころ、天上院は遂に光線を防ぎきれなくなり、吹き飛ばされる。


「主!」

「ふぅ、綺麗な顔してタフですね」


 天上院に向かって駆け寄るペガサス。


「うぉおおおおおおおおおお!」


 立ち上がったフィストは分身の術を使い、叫びながらアイディールと治安委員二人に突撃した。


「無駄な真似を……」


 アイディールが天秤をかざすと、本物目掛けて光線が放たれる。

 全力で体を捻り、どうにかそれを回避するフィスト。

 回避することはできたが、転んでしまう。


「クッ!」

「貴女と私の相性が致命的に悪いのは四年前に分かっているはずだと思いますが?」


 四年前の王都祭。

 フィストは乱入者としてアイディールと戦ったが、結果は惨敗。

 どんな幻術を掛けても謎の力で本体を的確に攻撃してくるアイディールに為す術も無く、フィストは破れた。


「貴女の相手をするのは時間の無駄です、退いてください」


 転んだフィストに向かって追い打ちをかけるように光線を放つアイディール。

 吹き飛ぶフィスト。


「そのダークエルフを拘束しておきなさい」

「はい!」

「承知しました~」


 二度目の攻撃を食らって動けなくなるフィストを、補佐官の二人が拘束する。


「くっ、離せ!」

「貴女は公務執行妨害として処理します。ですが今は貴女に構っている暇はありません」


 アイディールは天上院に向き直り、天秤を構えた。

 気絶しているのか動かない天上院に、必死に回復魔法をかけるペガサス。

 それに向かってゆっくり天秤から糸が伸ばされる。

 あの糸が天上院に触れれば、競技場のテロリストの時と同じく魂を抜き取り、アイディールの勝ちが確定する。


「これで終わりです」


 その糸はゆっくりと気絶した天上院に近付き、そしてその胸をすり抜けた・・・・・。



「は?」


 この技は、糸が対象の魂を捕えて天秤に乗せ、アイディールの裁断により発動される技。

 つまり体内にある魂を捕えるため、すり抜けることなどありえない。


「ふふっ」


 そんな状況を見て、笑う者が一人いた。

 フィストだ。


「貴女まさか……!」


 状況の理由に気付いたアイディール。


「4年前からずっと疑問だったのよ、貴女の光線攻撃に、なんで私の幻術が効かないのか」

「……」

「貴女の攻撃方法は二つある。一つは敵に向かって自動で追尾する攻撃、これが光線攻撃ね。もう一つはあなた自身が操作する攻撃」

「……」

「貴女は私を攻撃する時は、その光線攻撃しか使ってこなかった。貴女は別に私の幻術を見破ってた訳じゃない。追尾技に頼ってたから私に攻撃を当てられただけ」

「ご名答です……で?」


 アイディールは二人に拘束されたフィストに振りかえる。


「あの女とペガサスはどこに向かいましたか?」


 口元は笑っているが、目は血走っていて、額には青筋が浮かんでいる。


「そこで倒れているのが見えるでしょ?」


 幻術で生み出した天上院とペガサスを指さしてフィストは笑う。


「そうですか、少し痛い目にあってもらう必要がありそうですね」


 その返事に目を細めるアイディール。

 天秤を構えて、ゆっくりと動けないフィストに向かって歩き出した。


「さよなら、ヤコ」


 フィストはもうここにはいない想い人に、別れを告げた。



「さて、もう一度だけ聞きます。あの女はどこに向かいましたか?」

「あの女って誰ですか~? 全然わかりませ~ん」


 アイディールの質問に、ニヤリと笑って煽るフィスト。

 その顔に向かって容赦ないアイディールの蹴りが飛ぶ。


「がはっ!」

「ドスケベ=クイーン三世とやらです。答えろ」


 フリジディ王女の命令も相まってアイディールは最高潮に苛立っている。

 加減を間違えたら口を割る前に殺してしまうかもしれない。

 口から血を流すフィストの髪を掴んでもう一度問う。

 そのアイディールの顔に向かって、フィストは唾を飛ばす。


「教えるわけないでしょ? バーカ」

「そうですか、残念です」


 そっと頬についた唾液をハンカチで拭き取り、アイディールはフィストの髪を離す。


「二人とも、拘束を緩めないでくださいね」


 そう補佐官二人に言った後、アイディールは天秤をフィストの額に押し付ける。

 怪訝な顔をするフィストに、にっこりと笑うアイディール。


拷問(トウチャー)

「!?」


 フィストは自分が何をされたかわからなかった。

 体中を電撃が走り抜けるかのような感覚。

 脳を何かで直接かき回されているような感覚。

 鼻と喉と耳の奥に熱した棒を突っ込まれたかのような感覚。


 それらが一度に押し寄せてきて、声にならない叫びをあげる。

 逃れようと必死に抵抗するが、左右で拘束する二人が決してそれを許さない。


「さて、喋る気になりましたか?」


 どれくらい経ったのだろうか、フィストの額から天秤を離すアイディール。

 地獄から解放されたが、まだ痛みの余韻が残っている。

 フィストは痛みのあまり、何か言いたくても声が出ないという状態になっていた。


「ほ~ら、早く言わないとまたシちゃいますよ~?」


 先程とは打って変わって心からの笑顔を見せるアイディール。

 それはフィストにとって、とても不気味に見えた。

 人を苦しめて喜ぶ者の顔。

 醜い。


「あ……」

「あ~?」


 アイディールはフィストの眼前で天秤を左右に振る。

 それに恐怖を感じたフィストは、目を強く閉じる。


「アンタに話すことなんて……ない」

「そうですかぁ」


 アイディールはフィストの言葉を聞いて微笑む。

 それはまるで乱暴に扱ってしまい壊れたと思った玩具が大丈夫だったのを見て、安心した子供のような笑顔だった。


「ここにボタンを置いておきます、喋りたくなったらいつでも押してくださいね」


 再び地獄が訪れる。拘束は余計に強くなる。悪魔にでも抑えつけられているような錯覚に陥る。

 今度はアイディールが止めることなどない。

 フィストがボタンを押すまで、いつまでも続けられる地獄だ。


(ヤコ……)


 永遠とも思える地獄の中、フィストが思い出すのは天上院の顔。

 どんな目にあっても、この人だけは助けると決めた人間の顔。


 しかしそんなフィストをあざ笑うように、地獄はフィストの思考をかき乱す。


(ヤ……コ……)


 痛みを忘れるかのように生存本能によって放棄される思考。

 それでも地獄は止まらない。悪魔達は逃れようとするフィストを無慈悲に抑えつける。

 フィストの手は伸びていく、この地獄を止める唯一の手段に。悪魔達から逃れる唯一の手段に。


(私は所詮……この程度)


 自分の力が通じない者にはどこまでも無力。

 弱肉強食、いざ食われる側に回ってみれば、無様に命乞いをする。


「ほ~ら、もう少しでボタンに届きますよ~。頑張ってくださ~い」


 誰かが自分を応援する声が聞こえる。

 応援されているのか、ならこの行動は正しいんだ、許されるんだ。


 フィストの手がボタンに触れる。


「ふふっ、無様ですねぇ」


 もう、これで、終わる。




「その言葉、もう一回言ってみなさい」


 地獄は吹き飛ばされた。

 そしてフィストの目の前に地獄に代わって現れたのは、最愛の人の顔をした、翼の生えた女性。天使のように見える。

 自分は夢でも見ているのか、はたまた痛みから逃れようとするあまり、自らに幻術を掛けてしまったのか。


「無様? 貴女の審美眼は壊滅的だね」


 天使は地獄へ向かってゆっくりと歩き出す。


「だ、駄目……」


 どうにか絞り出した声で、天使に向かって警告する。

 行ってはいけない、その先は地獄だ、と。


「もう大丈夫だよ、フィスト。あとは私に任せて、ゆっくり寝てて」


 天使は地獄へと向かう足を止め、フィストを拘束する悪魔達を吹き飛ばした後、ボロボロになったフィストをそっと抱きしめる。


「貴女は、世界の何より美しい」


 フィストの意識は、そこで途切れた。

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