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女だけど女の子にモテ過ぎて死んだけど、まだ女の子を抱き足りないの!  作者: ガンホリ・ディルドー
最終章 第二次中央戦争編
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魔王

 中央王都へと向けて、魑魅魍魎が百鬼夜行といった様で、全ての魔族が侵攻していた。

 その群れの中央で、一際存在感を放つ者。

 鬼の顔のような恐ろしい装飾の車輪を付けた御車に乗り、目を閉じて静寂とした雰囲気を醸し出す女性。

 この人物こそ、フィストとビッケが幼い頃より師として仰いだ存在であり、今なお他の追随を許さぬ程の魔力を保持し、全ての魔族を力で束ねる最強の生物。


 魔王・サタン。

 人間界の書物を紐解けば今なお恐怖の権化として記述され、宗教によっては神に仇為す忌むべき存在の筆頭として登場する。

 太陽を拒絶しているかのような透き通る程に白い肌に、闇を閉じ込めたような黒髪。

 一見は絶世の美女に見える彼女の額と側頭部に生える三本角。

 彼女を象徴する印はそれで十分。

 何故なら魔王は全ての魔族の王者であり、彼女にとって魔族が出来ることは彼女が出来ることだからである。


「止まれ」


 彼女の一声に御車を引く三つ首の獣、ケルベロスはその歩をピタリと止めて微動だにしない。

 追随する魔族達も、時が止まったようにその行進を止める。


「最後のチャンスを無駄にしおったか。バカ弟子」

「与えられたんじゃなくて勝ち取ったのよ。そしてこれからも勝ち取るわ」


 生意気そうな声で挑発する、浅黒い皮膚と緑の瞳を持つ少女。

 中央王都と魔大陸を別つ境界の海に浮かぶ小舟に立つ、魔族の中でも特に高度な闇の魔力を操るダークエルフの王女。

 フィストはサタンへ意気込むと、空へと飛びあがり、身体から黒い靄を放つ。


「現れよ、『終焉龍・カタストロフ』」


 黒い靄はやがて恐ろしい龍となり、雄々しい牙を並べたその大口を開いて咆哮する。

 龍が放つ威圧的な魔力に、魔族達が恐慌を起こす。

 魔族は力を貴ぶという本能に根付いた信念が存在する為、自分よりも強い力を持つ者が現れると冷静でいられなくなるのだ。


「『控えよ。我を誰と心得る』」


 しかし、そんな動揺は、サタンの一声によって再び静寂へと姿を変えた。

 魔王・サタンは最強。

 最強の存在が味方である以上、例え恐ろしい邪龍が相手であろうと恐れる必要はない。

 その事を理解した魔族は、一瞬にして平静さを取り戻し、自らを驚かせた存在へと憎々しい目線を向けた。


 しかし、魔族達が視線を向けた先に、先程のダークエルフは存在しない。

 奴は何処に行った。

 その姿を探す魔族達であったが、何処にも見当たらない。

 そして、ある魔族が叫んだ一言により、再び魔族達に動揺が走った。


「サタン様は何処だ!?」

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