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女だけど女の子にモテ過ぎて死んだけど、まだ女の子を抱き足りないの!  作者: ガンホリ・ディルドー
最終章 第二次中央戦争編
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海底都市の一幕

「トライデントはどこにあるんだ」

「俺の部屋のクローゼットの中だよ。夜中にガタゴトうるせえからしまったんだ」


 海王槍トライデント。

 それは以前、ヒストリアさんが大騒ぎを起こした時、対処した俺への報償として、前都市長であるウミオー様から頂いた物だ。

 ただ受け取った当時は、そんな特別な力がある武器だなんて思っていなかったし、昔からある飾りが豪華な槍という程度にしか思っていなかった。

 何より日常生活で槍なんて使う機会なんてないし、トロフィーにしては大きすぎるそれを部屋においては邪魔だし、粗大ゴミにしては美し過ぎるそれは、仕方なく清潔な布で包んでクローゼットの中にしまっておく程度の扱いしか出来なかった。


 その上、取り敢えず扱いに困ってベッドの傍に立てかけておいたところ、夜中にガタガタと揺れながら『ワガアルジ、ワガアルジ』とうるさかったのだ。


「お前……」


 その話をヒストリアさんにしたところ、何故かこめかみを押さえて呆れられてしまった。


「まぁいい、とりあえずお前の家にあると言うのならすぐに取りに行くぞ。運転はするから案内してくれ」


 そう言ってヒストリアさんは、都市長邸宅にある業務用の車に乗って俺を手招きする。

 一刻も早くティーを助けに行きたい気分ではあるが、ヒストリアさんの必死さから感じるに、それほど海王槍トライデントというのは強力な武器なのだろう。

 正直、授与された際に触った程度で扱えるかどうかもわからないが、ヒストリアさんを信じて付いて行こうと思う。


 そう思う一方で、俺の心の中に疑う心が芽生えた。

 確かにヒストリアは現在環境長官という重大任務に就いて、ティーと共に働いてはいるが、間違いなく過去にティーを害そうとした一人なのである。


「どうした。早く乗れ」


 本当にそこまで信じていいのか?

 これは罠なんじゃないか。

 海王槍トライデントが強力なのは恐らく間違いないだろう。

 でも、本当の目的は、混乱に乗じて俺からソレを奪うことなんじゃないか?

 また何か良からぬことを企んでいるんじゃないか。


 俺は腹芸が苦手だ。

 人魚達のトップに立つティーをサポートする人間としては、そう言った腹の探り合いも上達していかなければならないのだろう。

 でも、俺はまだ青臭いガキだし、目の前にいるヒストリアさんという人物よりも人生経験は浅い。

 だから、そんな裏を探るようなことをするより、本人に直接聞いた方が、真実に近い答えが得られるんじゃないかって思ったんだ。


「なぁ、ヒストリアさん」

「なんだ」

「ヒストリアさんは、ティーの力を使って、地上へ侵略しようとしてたよな?」


 もし答えが俺の望むものじゃなかった場合、出来ることは少ない。

 ヒストリアさんは強いし、その気になれば俺なんて秒殺出来るだろう。

 だから、ヒストリアさんの将来に向けて、俺は一石を投じることにした。


「今も、その思いは残っているのか?」


 俺の言葉を聞いたヒストリアさんは、俺から目を逸らして、車の背もたれに寄りかかり、軽いため息をつく。

 そして軽く鼻で笑うと、微笑を浮かべた。


「その思いを踏み潰すような美しい世界を、あの女とお前が作ってくれるんじゃないのか?」


 ヒストリアさんは顔をクイと助手席へ動かし、俺に乗るように示した。


「私は、その世界の礎となるだけだ」


 その言葉を聞いた俺は、迷わず助手席に乗って、俺の家の場所をヒストリアさんに伝えた。

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