序章 こんな波乱な入学式に遭遇したこと無いよ3
意識が戻った時にはもう窓から日が差していた。すがすがしい朝だ。俺はいつも通り学校の準備を始めた。妹の特製朝ごはんを食べ、元気をフルチャージし学校へ向かうのであった。昨日みたく寄り道せず通学路通り進む。段々と同じ制服を着た生徒が増えてきた。学校に着くとふとあることに気づいた。俺はどこのクラス何だろう…
「ふう、なんとかなった」
結局分からず近くにいる生徒に聞いてやっとのことでたどり着いたのである。席はと…奥の窓際の席が空いてるな。俺はそこに座った。と同時に先生らしき人が入って来た。
「おはよう、昨日も少し紹介があったようだが私はこのクラスの担任の夜事だ。これからよろしく頼む。では号令を」
夜事の合図とともにすっと通った声が教室中に響く。
「起立、礼。着席」
「ありがとう、真礼。ではホームルームを始める」
真礼?誰だそいつ。またまた疑問だらけだが、そこは後で誰かに聞こう。ホームルームは無事終わり今日は授業…はなくてオリエンテーションがある。オリエンテーションは体育館であるとのことなので全員移動した。体育館にはすでに他の新入生と思わしき人が大勢いた。人数的にどうやら今年は3クラスいるようだ。ちなみに俺のクラスは1-Aだ。にしてもこんなところで何するんだろうか。周りには何もないしな。話変わるけど、唐突な衝撃音ってびっくりするよな。特に昨日のなんかはもう…目の前で見てたから…それよりアリサさんかっこよかったな…そしてかわいかったな…
なんて考えてるといつの間にか何か終わった感じの雰囲気が出てた。え?なんかあったのか?どうやら何かあったらしいが全然見ていなかった。
「ねえねえ、あの人生徒会長でしょ?ちょーかっこよかったよね」
「うんうん、女の私が惚れてしまうぐらい」
「あの凛々しい姿に剣術、まさに芸術作品を見ているかのようだった」
「生徒会長もそうだけどもう一人の方もかっこいいよね」
「生徒会長の剣をかわしている姿がかっこいいし、顔がすごくかわいいの」
「もう文字通り戦うアイドルって感じよ」
というこの先出てこないであろうモブ女子’sの感想からどうやら模擬戦があったようだ。クソッ!変なこと考えてないでちゃんと模擬戦見てればよかった。あの美しい剣技がもう一度見れたのに…後悔の念だけが残った。模擬戦の後、オリエンテーションは始まった。内容は守護騎士についての説明だったが、俺が昨日聞いたのとほぼ同じ内容だった。ただ、「君たちはこれから守護騎士に関わるようになる。それは心しておくように」という言葉が気になった。この学園に入ってる時点で関わってると思うけどなんでわざわざ言ったのかな。
オリエンテーションはあっという間に終わり教室に戻った。みんなはすでに帰宅準備などをしている。俺も帰る準備をしているとクラスメイトから話しかけられた。
「ねえ」
「はい?」
「あなた、御剣蓮よね?」
「そうですけど」
「へぇ、あなたが…」
「あの何か?」
「いえ、何でもないわ。ありがとう」
何なんだ一体?いきなり美少女に話しかけられたのかと思ったら、名前を確認されて顔をじろじろ見られるだけって。俺の顔になんかついてんのか?考えてもわからないので帰りましょう。そしていつもの帰り道、普段通りに歩いているとなんか後ろから気配を感じた。ばっと振り返るも誰もいない。ならと角までダッシュして曲がった瞬間に待ち構えてみた。
「あうっ」
頭をごっつんこしてその場で座り込んでしまい間抜けな声がもれてしまった。ただ俺はその痛みに耐え立っていた。ではそんな間抜けな声がどこから聞こえたか?それは目の前にいる少女から聞こえたのだ。
「大丈夫か?」
「痛い…はっ!」
「?」
「バレてしまった」
痛がってたと思ったら急に立ち上がって絶望的な顔をしだす、なんともせわしない子だなという俺の思う第一印象。
「いや、まだ私が尾行していたことを言ってないからバレてない。なんとかごまかせばいけるか」
「あの、丸聞こえなんですけど…」
「べ、別に…跡をつけてきたとか、そんなんじゃないし」
「さっき尾行してたって言ってたじゃん」
「な、なぜそれを」
思わずため息がでてしまった。考えが口から出てるのに気づかないし、ごまかすの下手くそだし、何よりバレたっていうのが表情にくっきり出てる。嘘のつけないタイプなのかな?
「それで?なんで尾行してたんだ」
「言われたの、というかこの手錠はなんなのよ」
「いや、逃げないように」
「逃げるわけないでしょ!」
公園のベンチに尾行してきた少女が背中で手に手錠を掛けられているという珍しい状況にある。
「だいたいなんでこんなところに手錠があるのよ」
「そこで遊んでる子供に貸してもらった」
「普通こんなことで手錠なんかかけないでしょ。それとも何?そういう性癖でもあるの?」
「全然さっぱりこれっぽっちもありません」
「まあいいわ。それよりこれ外してくれない?手が痛くなるし、あなたが聞きたいことはこれを外すまで言わないつもりだから」
俺はしぶしぶ外すことにした。その少女は手首を気にしていた。さっき手錠していたところが余程気になるのだろうか。そんなことを考えてた次の瞬間、目の前から少女は消えていた。唖然とするしかなかった。
その後、あの少女はもう見つからなかった。俺は何事もなく(一部語弊)家に到着した。帰るといつも通り惟の特製料理が置いてあり、俺はそのまま料理の方にねこまっしぐら…
「ふうおいしかった」
「よかった」
「惟の料理はいつも絶品だからな」
「そんなに褒めないでよお兄ちゃん」
惟の顔が赤くなっていた。
「それより惟ちょっといいか?」
「何?」
「実はなさっき帰りに誰かに尾行されてたんだ」
「なんで?」
「わかんないけど…それでな隙をついてその尾行していたやつを捕まえたんだ」
「さすがお兄ちゃん!それで?」
「理由を聞こうとしたら逃げられた」
「あーあ、残念だね」
惟の目が少しうるっとしてた。そんなに俺の事を思って…
「なんか入学していろんなことが起きすぎでちょっと混乱してる」
「そうだね。そんなにいろんなことが起きるなんて明日雪でも降るんじゃないの?」
「そうかもな」
2人で大笑いした。
俺の部屋、布団の中。俺は考えていた。入学式から今までの出来事を。入学式で謎の怪物が乱入してくるし、守護騎士や生徒会長のことやら、そして尾行。俺の周りで起きてばかりだ。どうも違和感があり狙われているような気もする。そうなると惟にその影響が及ぶかもしれない。これから気を付けなければならないな。俺はそう決心し眠りについた。
そう、これはすべて予兆であり警鐘でもある。これが始まりともいえるし終わりだともいえる。一体何が動き出しているのかはわからない。が、少なくともこれからも何か起こることは確かである。御剣蓮に降り注ぐ厄災、これを切り抜け平穏を取り戻せるのかは彼次第でもある。彼の運命を変える物語が今始まったばかりである。
今後この連載を続けるかは未定です
お試しな感じで書きました
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