永遠の少女は少女の為の帝國へ
黒砂糖の処女作です。
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批判等は黒砂糖の心が折れぬ程度にお願いします。
目を覚ますと、そこは全く見覚えのない所だった。
まず、私は昨日自分のベットで眠った筈だ。
なのに、眼前に広がる光景は全く知らない川のほとりだ。
ベットどころか家すら見つからない。
これはさすがに寝相じゃあ説明がつかない。
だとしたらこの状況は一体どういうことだろうか?
混乱する頭を落ち着かせるため、一度状況を整理しよう。
私の名前は有栖。有栖 心。
歳は14歳。好物はアップルパイ。
優しいパパとママと双子の妹と暮らす中学生。
……うん、記憶は問題無さそうだ。
そして、昨日はクロッケー部の練習で疲れたから家に帰ってぐっすり眠って……目が覚めたら全く知らない場所にいる。
……駄目だ、整理は出来たけど謎は解けない。
……ん?そうだ、携帯電話がある!
何故今まで気づかなかったんだろう?
現代人の救世主、携帯電話で調べたら位置もわかるし、パパやママにも連絡が取れる。
私は意気揚々と携帯電話を取り出そうとしたが……
「…………あれ?無い?」
そうだ、私は寝ている時に行方不明?になっていたんだった。
当然携帯電話は持ってない。多分家の中だ。
「そんなぁ……どうしよう……」
急に目の前が真っ暗になったように感じた。
私は全く知らない場所に身体ひとつで佇んでいるわけだ。
もしかしたら、もう家に帰れないかもしれない。
そう考えると、泣き出したくなってきた。
でも、泣いたところで家に帰れるわけじゃあない。
私1人でなんとかしないと……
だけど、いくら考えても帰る方法は思い付かない。
適当に歩くのはリスクが大きすぎするし……
途方に暮れていると、何者かが草を踏む音が聞こえてきた。
これはチャンスかも知れない。
もし人なら、ここがどこか場所を聞けるし、もしかしたら知っている場所まで連れて行ってくれるかもしれない。……でも、怖いから行動は顔を見て判断しよう。
緊張と不安で鼓動が大きくなっていく。
そして、ついに姿を現したそれは……!?
「遅刻だぁ〜〜〜!急げ急げ〜〜〜!!」
「……何、あれ?」
そこには、真っ白な髪に赤い目の少女……までなら許容範囲だが、その少女は本来耳がある筈のところに耳が無く、代わりに頭から白くて長い耳が生え、足も人間のそれではなく、やや丸みを帯びているものだった。
つまり……
Qそれとはなんですか?
A兎に似た人間、或いは人間に似た兎。
私の脳、ますます大混乱。
呆然としていると、その兎似の少女は懐中時計を片手に「遅刻だ遅刻だ」と言いながら走り去ってしまった。
「あっ!?ちょ、ちょっと待ってよ!」
限りなく怪しい子だけど、あの子を見過ごしたらこんな辺鄙な場所に人は二度と来ないと私の勘が告げている。
こうなったら背に腹は変えられない。
私は、兎似の少女を追いかけ始めた……