#05
「希帆、最近晴人君とはどう?」
とある日のお昼の時間。
私は、数少ない仲の良い友達 柚ちゃんこと小日向柚華ちゃんと昼食を摂っていた。
「どうって?」と、私はお昼ごはんのサンドウィッチを食べながら聞く。
「何か良いこととかなかったってことだよ!!」
「うーん…特に何もないかな」
「それでいいのっ!?」と声を張り上げる柚ちゃんに、肩がビクッと震える。
「いいのって言われても…実らないってわかってるから…」
「んもう!希帆のそういうとこがダメなの!」
「え…?」
「希帆はネガティブすぎ!顔は可愛いんだから、自信持ちなっ」
「柚ちゃん…!」
柚ちゃんの言葉に涙が出そうになるが、さっきの言葉を思い出して涙がひく。
「…柚ちゃん、“顔は可愛い“って、性格はよろしくないってこと…??」
私の言葉に、柚ちゃんは「あっ…」と“ヤバイ“という顔をする。
「いや、あのねっ…性格がよろしくないってワケじゃなくはないんだけど…。ほら、希帆って、人見知りで内気なとことかあるじゃん?」
「そういうこと?」
「そういうこと!」
それは確かに、自分でも自覚している。治す気はないと言ったら嘘になるけど。
「あ、そうだ。八月の最初の方にさ、夏祭りあるじゃん?それに、晴人君誘ったら?」
「夏祭り…?」
柚ちゃんが言ったとおり、毎年八月の最初に夏祭りがある。私は毎年、岳と中学校の頃の旧友と行っていたのだ。
「…でも、もう予定入れちゃってるかも…」
今は七月の上旬。入れてるか入れてないか、微妙な時期だ。
「うーん…。入れちゃってるかもだけど、誘ってみないとわかんないよ?」
「えぇ…でも無理だよぉ…」
私には、そんな勇気はない。っていうか、断られるのが目に見えてるし。
「んじゃあ、二日目はどうするの?」
一日目は柚ちゃんと行くことになっている。柚ちゃんの二日目は、彼氏さんと行くんだって。
「うーん…」
岳かな?って思ったけど、もう高校生だし、いくら幼馴染みだからって女子と行くのはヤだよね、岳。
「星川君は?もう、行かないの?」
私の心を読んだのか、柚ちゃんは私に訊ねた。
「…わかんない」
「話変わるんだけどさ。希帆、晴人君との恋は実らないって思ってるなら、星川君に変えたら?結構、顔はいい線いってると思うし」
柚ちゃんの言葉に今までは反論していたが、今はちょっといいかも、なんて思ったり。…実際、この前岳に頬を引っ張られたときの岳の笑い顔に、一瞬キュンとしてしまった自分がいるし。
「…でも、私の好きな人は晴人君だよ」
柚ちゃんに聞こえてるか聞こえてないか。そんな声量で呟いた。




