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初恋は実らない  作者: 柏原ゆら
*First Love*
3/18

#03

「…そういえばさ。岳は、好きな人いないの?」


朝の教室。 希帆の口から出た言葉に、ピクッと体が反応する。

お前だよ。なんて、素直じゃない俺は言えない。


「…いねーよ」


そう答えると、希帆は残念そうに「えーっ、いないの~?」と言った。

残念そうに言うのは、俺に気があるからか?なんて、非現実的なことを。

心の中で苦笑していると、希帆が、あり得ないことを口にした。


「んじゃさ、作ろうよ!好きな人!」


作る?だから、お前だって。

ここで、さっきいないと答えたことを後悔した。

終いには、「例えばさ~…あの子!白石未来ちゃん!」と、顔も名前も知らない子を紹介してくる。


「…誰?」

「隣のクラスの美人さん!お姉さんが、学校一イケメンの何とか先輩と付き合ってる子だよ!」


何とか先輩?学校一イケメンなのに、名前知らないのか。ま、俺も知んないけど。


「ふーん…」


俺はこの話を終わらせるために、スマホをいじり始めた。

それに気づいた希帆は、つまらなそうな顔をして「恋すると楽しいのにな~」とぼやく。

…楽しい?いや、俺は苦しいよ。


*


一時間目の休み時間。

俺はトイレを済ませ、教室に戻ろうと足を進めた。その時だった。

廊下の曲がり角で、誰だか知らない女子とぶつかった。


「わっ…」「きゃっ…」


その女子がふらつくので、俺は倒れないように背中を支えてやった。

暫しの沈黙。

倒れかかってる女子を俺が支えている…他から見たら、誤解されかねない。


「…あ、わり」

「…いえ。ありがとうございます」


そう言って、その女子は走って教室に戻っていった。

ハァ…なんか疲れた。


*


二時間目の授業が終わり、クラスメート達は教室を出たりしている。

そんな中、クラスメートの一人が他クラスの女子が俺を呼んでいると教えてくれた。後ろのドアを見ると、さっき廊下でぶつかった女子だった。


「…あっ、」


俺を見ると、そんな声を出した。


「…俺に何か用?」

「あ、あの…よかったら、メアドとか交換してくれないかなって…」


「さっき、助けてくれたので」と付け足した。


「…あれは、助けたのうちに入りません」

「いえ、私は助けられたと思ったので!」


たかが、ぶつかって支えただけなのに助けたとか…それに、頑固だな、この人。


「…それに、私は星川君と交換したいんです」

「え…」


何で俺なんかと…と思ったが、そこまで言うならいいかなと思い「交換しましょう」と言った。

パアアと笑顔を見せ、俺達はメアド等を交換した。


「ありがとうございます!」


元気よくそう言い、その人は教室へ戻っていった。

去ってった後、俺はスマホの画面を見た。

そこには、『白石 未来』の文字が書かれてあった。

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