#14
最近、岳が未来ちゃんと話しているのをよく見かけるようになった。
それも、岳に対する気持ちがわかった前後の頃で。学校に着けば未来ちゃんが後ろのドアのところにいるし、休み時間の時岳がいないなぁと思えば未来ちゃんのクラスにいるし、私が柚ちゃんと昼食を摂った日にはまた後ろのドアのところで話してるし。やっぱり、二人は付き合ってるのかな?でも、岳は違うって言ってたし、岳が嘘つくなんて思わないし。もう、全くわかんない……。
なので、これを柚ちゃんに相談してみた。
「う~ん……。それは、付き合ってるのか、どっちかが片想いしてるって事だと思うな~」
「そう、ですか……」
私が俯いてそう答えると、柚ちゃんは眉をハの字にした。
「……ねぇ。希帆はさ、星川君のことが好きなんだよね?」
柚ちゃんの質問に、こくりと頷く。
「私、希帆が一番星川君の近くにいると思うんだよなぁ」
「……え?」
「白石さんより、希帆のほうがチャンスあるんじゃないかなって」
「そうかもしれない、けど……。岳は、未来ちゃんのこと好きっぽいし……」
そうだ。あの光景を見て、そう思わない人はいないはず。
またしてもネガティブ発言をしてしまった私は柚ちゃんに怒られると思ったが、当の本人は怒らず再び眉をハの字にした。
柚ちゃんが怒らない……ってことは、柚ちゃんもそう思ってるのかな。岳が、未来ちゃんのこと好きかもって。
そう思っていると、突然柚ちゃんが「あのさ」と口を開いた。
「こんな時に言う事じゃないと思うんだけど……」
「……?」
「……晴人君が桃園さんと付き合ってる説、あれ嘘かもしれないの」
柚ちゃんの発言に、「え?どーゆーこと?」と聞き返す。すると、柚ちゃんは冷静に話し始めた。
「これも噂なんだけど、晴人君が桃園さんへの告白に失敗したとか」
「失敗……?でも、あの二人は両想いだったんじゃ……」
「私もそう思った。だけど、桃園さんには他にカレシがいたとか、晴人君が告白するには遅すぎたとか……。ましてや、まだ告白してないという噂もあるの」
噂って、わからない……唐突にそう思った。どれを信じれば……。
でも、今の私には関係ない。晴人君との恋は、終わりを告げたのだから。
「……希帆は、また晴人君を好きになりそう?」
柚ちゃんの問いに、首を数回横に振る。あんな事があったから、また晴人君を好きになるのは難しいだろうと判断したのだ。
「……そっか。なら、星川君との恋、頑張らないとね!」
「うんっ」
*
「岳ぅ~。最近、白石ちゃんと話す回数多くね?」
風馬の言葉に、「そうか?」と返す。
「うん。毎日のように話してるっしょ」
「まぁ……」
そういえば、確かに毎日喋ってる気がする。でも、俺から話しかける時は、必要最低限の事しか話さないけど。
「……もしかして、白石ちゃんに変わったとか?」
「……まさか」
それはないはずだ。白石とは、恋愛対象として話しているつもりはない。あくまで友達だ。
「希帆ちゃんはどーすんの」
風馬は、少し間をおいてから口を開いた。
「……え?」
「だって、希帆ちゃん失恋したんだろ?今なら狙い時じゃん」
確かにそうだ。希帆が想いを抱く人はいなくなったわけだから、今攻めたら振り向いてくれるかもしれない。
「……でも、弱ってる奴狙うなんて、卑怯だろ」
俺がそう言うと、風馬は「はぁ……」とため息をついた。




