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初恋は実らない  作者: 柏原ゆら
*Disappointed Love*
13/18

#13

「そんでさ―…」

「…―あはははっ。ホントー?」


翌日。柚ちゃんとの昼食会を済ませ、教室に戻ってきてすぐ、岳と未来ちゃんが仲良く話しているのが目に入った。

女子とあまり話さない岳にしては、珍しい――と思ったが、私が紹介的なのしたんだっけ。そうだよ、私が岳に言ったんじゃん。なのに、なんかモヤモヤする。何だろうこれ。にしても、あの二人、あんなに仲良くなったんだ……。あれ、もっとモヤモヤしてきた。

すると、五時間目の授業開始を告げるチャイムが鳴った。私はモヤモヤの謎が解けないまま、急いで席に着いた。


*


放課後。私はいつも通り、岳と帰ろうと辺りを見回した。すると、岳は後ろのドアの所で話していた。――未来ちゃんと。

耳をすませると、二人の会話が聞こえてきた。


「今日ね、飛鳥君と夢が放課後デートするらしいの」


夢ちゃん――って、未来ちゃんと仲の良い桜宮夢(さくらみやゆめ)ちゃんの事かなぁ?飛鳥君は、岳と仲の良い男の子だよね。二人って、付き合ってたんだ。


「でさぁ、夢が飛鳥君と二人きりじゃ身が持たないって言ってて。だから、私達で付き添わない?」


飛鳥君と夢ちゃんのデートに、岳と未来ちゃんが付き添う……。それって、Wデートみたいじゃん。実はもう、付き合ってたりして……。岳は行くのかな。心優しい岳なら、付いていきそうだなぁ。

そう考えると、またさっきのモヤモヤが襲ってきた。本当に何なの、これ。


「……希帆?」


岳に声をかけられ、ハッと我に返る。何をしているんだろう、私は。気づくと、岳の制服の袖を掴んでいた。


「……あ、あの……」

「……?」


放さなきゃ、二人の邪魔をしちゃう……ってわかってるのに、ナゼか手が放れなかった。ただわかっているのは、岳に行ってほしくないという事。


「……かないで」

「え?」


未来ちゃんまでもが、首をかしげる。でも、私は必死に岳に訴えた。けど、私の声が小さいせいか、聞き取れないと言った顔をしている。クイッと袖を少し引っ張ると、岳は何の事かわかったかのように、ポンポンと私の頭を軽く叩いた。


「……ごめん、白石。俺、今日行けないわ」

「あっ、そうなんだ。ごめんね、無理矢理誘おうとしちゃって」


「じゃあ、また明日」と手を振って、未来ちゃんは去ってった。


「希帆、何かあった?」


未来ちゃんが去ってすぐ、岳が私に聞いた。


「……え?」

「『行かないで』って、言ってたじゃん」


改めてそう言われると、恥ずかしくなる。何て言い返そうか理由を考えたが、いい理由は浮かばなかった。


「……岳に、未来ちゃんと一緒に行ってほしくなかったから」


だから、素直に言った。でも、岳は「え?」と聞き返した。声、小さかったかな。

そんなことより、私は気になる事があった。


「ねぇ、岳は……未来ちゃんと、付き合ってるの……?」

「付き合ってねぇよ」


岳の答えは早かった。それと同時に、モヤモヤが晴れていったような気がした。

……そっか、そういう事なんだ。岳と未来ちゃんが話しているのを見てモヤモヤしてるのも、ベットに引きずり込まれても抵抗しなかったのも、岳が未来ちゃんと付き合ってないって聞いてホッとしてるのも、全部。全部、そういう事なんだ。私は―…


――私は、岳のことが好きなんだ。

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