#13
「そんでさ―…」
「…―あはははっ。ホントー?」
翌日。柚ちゃんとの昼食会を済ませ、教室に戻ってきてすぐ、岳と未来ちゃんが仲良く話しているのが目に入った。
女子とあまり話さない岳にしては、珍しい――と思ったが、私が紹介的なのしたんだっけ。そうだよ、私が岳に言ったんじゃん。なのに、なんかモヤモヤする。何だろうこれ。にしても、あの二人、あんなに仲良くなったんだ……。あれ、もっとモヤモヤしてきた。
すると、五時間目の授業開始を告げるチャイムが鳴った。私はモヤモヤの謎が解けないまま、急いで席に着いた。
*
放課後。私はいつも通り、岳と帰ろうと辺りを見回した。すると、岳は後ろのドアの所で話していた。――未来ちゃんと。
耳をすませると、二人の会話が聞こえてきた。
「今日ね、飛鳥君と夢が放課後デートするらしいの」
夢ちゃん――って、未来ちゃんと仲の良い桜宮夢ちゃんの事かなぁ?飛鳥君は、岳と仲の良い男の子だよね。二人って、付き合ってたんだ。
「でさぁ、夢が飛鳥君と二人きりじゃ身が持たないって言ってて。だから、私達で付き添わない?」
飛鳥君と夢ちゃんのデートに、岳と未来ちゃんが付き添う……。それって、Wデートみたいじゃん。実はもう、付き合ってたりして……。岳は行くのかな。心優しい岳なら、付いていきそうだなぁ。
そう考えると、またさっきのモヤモヤが襲ってきた。本当に何なの、これ。
「……希帆?」
岳に声をかけられ、ハッと我に返る。何をしているんだろう、私は。気づくと、岳の制服の袖を掴んでいた。
「……あ、あの……」
「……?」
放さなきゃ、二人の邪魔をしちゃう……ってわかってるのに、ナゼか手が放れなかった。ただわかっているのは、岳に行ってほしくないという事。
「……かないで」
「え?」
未来ちゃんまでもが、首をかしげる。でも、私は必死に岳に訴えた。けど、私の声が小さいせいか、聞き取れないと言った顔をしている。クイッと袖を少し引っ張ると、岳は何の事かわかったかのように、ポンポンと私の頭を軽く叩いた。
「……ごめん、白石。俺、今日行けないわ」
「あっ、そうなんだ。ごめんね、無理矢理誘おうとしちゃって」
「じゃあ、また明日」と手を振って、未来ちゃんは去ってった。
「希帆、何かあった?」
未来ちゃんが去ってすぐ、岳が私に聞いた。
「……え?」
「『行かないで』って、言ってたじゃん」
改めてそう言われると、恥ずかしくなる。何て言い返そうか理由を考えたが、いい理由は浮かばなかった。
「……岳に、未来ちゃんと一緒に行ってほしくなかったから」
だから、素直に言った。でも、岳は「え?」と聞き返した。声、小さかったかな。
そんなことより、私は気になる事があった。
「ねぇ、岳は……未来ちゃんと、付き合ってるの……?」
「付き合ってねぇよ」
岳の答えは早かった。それと同時に、モヤモヤが晴れていったような気がした。
……そっか、そういう事なんだ。岳と未来ちゃんが話しているのを見てモヤモヤしてるのも、ベットに引きずり込まれても抵抗しなかったのも、岳が未来ちゃんと付き合ってないって聞いてホッとしてるのも、全部。全部、そういう事なんだ。私は―…
――私は、岳のことが好きなんだ。




