#11
「……ほ。希帆、希帆」
うっすらと、私の名前を呼ぶ声がする。誰だろう。そういえば、私、何で寝てるんだっけ。今日は学校のはず……。
「っ!!」
「お、起きた」
私は、勢いよく起きあがった。目の前には岳がいる。そうだ。岳を起こしに部屋まで来たら、引きずり込まれてそのまま寝ちゃったんだっけ……。
……あれ?学校は?
壁に掛けられている時計を見る。十時五分……。
「遅刻っ!!」
その場でワタワタしていると、岳が「落ちつけ」と頭を軽く叩いてきた。
「落ちついてる暇なんてないよ!!だって、遅刻だよ!?」
「遅刻する奴くらいたくさんいるだろ」
「私は、欠席遅刻ゼロにしたかったの!岳が起きるの遅いからだからね!?」
「お前も寝たじゃん」
確かに……なんて思っていると、岳が目の前で服を脱ぎ始めた。慌てて、顔を手で覆う。
「ちょっ……岳っ……」
「何やってんだよ。今更じゃん」
そう言い、岳は平然と生着替えを続ける。こちらも確かにそうだ。私達は、今では恥ずかしくて無理だが小さい頃は普通に目の前で着替えあっていたのだ。
でも、今は年頃の高校生な訳で。いくらなんでも、普通にしてるのは難しくなってきた。岳に今更と言われても、やっぱり見てるのは恥ずかしいので顔を背ける。
ここで、私の髪の毛がグチャグチャになってることに気づいた。
「岳、洗面所借りていい?」
「どーぞ」と言われ、階段を下り右手にある洗面所へ向かう。手櫛で髪をとかし、縛り直した。ついでに、寝ている時にできてしまったスカートの皺ものばした。
すると、二階から岳が下りてくる音がした。
「行くぞ」
こくりと頷く。私達は、ダッシュで学校へ向かった。
*
「着いたぁ~……」
学校に着いたのは、十時五十分頃だった。勿論授業の真っ最中で、私達のクラスは国語の時間だ。確か、今日国語の担任は出張でいないと言っていたから、自習をやっているのだろうか。
静かに廊下を歩き、自クラスの前まで行く。案の定、国語の自習をやっていた。若い副担の先生が見ているようだ。クラス内は少しざわついており、ちゃんと自習をしている人もいれば、普通にお喋りをしている人もいる。そんな中、私達は教室に入るためドアを開いた。一気に、視線が集まる。そして、一人のクラスメートが口を開いた。
「おっ。岳と野咲、二人して遅刻かよー」
「ホント仲良しだなー、お前ら」
ヒューヒュー、とクラスは盛り上がったが、副担の先生に叱られ静かになる。私は、赤くなる顔を隠しながら席に着いた。恥ずかしい。皆の注目を浴びてしまった。
岳といえば平然としており、堂々と自身の席に着き、自習を始めた。こんな時でも堂々としていられるのが、凄いなぁと思う。
自習の時間が終わった後、クラスメートの女子に質問攻めになったことは言うまでもない。




