死
ただひたすらそこは暗かった。
どちらが上でどちらが下か、前も後ろも右も左も。近くて遠い、遠くて近い。
そこにある物は全てが黒。色の強弱は無く、純粋な闇のみが世界を支配する。
この世界は、そう。
終わりを迎えた世界。
世界の主人公は死に、世界の神は消えた。世界の時間は停止し、世界の全てが消滅した。そこは何も生まれない。
何も生きない。何も死なない。
かつて神はその全てに物語があると思っていた。消える最後の瞬間まで、神は思い続けていた。
だが違った。全ては神の想像。全てはたった一人の創造。
他は他で無かった。はじめから神は一人なのだ。
世界は神の妄想で、世界は君の妄想だ。