第04話 異世界では正体不明
俺はステータスカードを見る。
とくに誤字脱字があるわけではない。
問題点は、さっき記入した項目の下だ。
そこには、ATK,DEF,MAT,MGR,INT,AGLが表示されていたのだ。
簡単に言うと、RPGのステータス。
これを見て俺は、この世界はRPG系の世界なのかと思ったが、
どうやらそうでもないらしい。
まず、このカードにはHP,SPなど重要な項目がなく
第一にレベルすら存在しない。
当然スキルはないが、目につく点として【能力名】の項目が気になる。
おそらくこれが、ルミルの言っていた【能力】のことだろう。
ちなみに、俺のステータスは
ATK:63
DEF:20
MAT:36
MGR:27
INT:65
AGL:73
基準がわからないが、このステータスからわかることは
俺は物理的攻撃力が高く、また、素早い。
また、知能値も悪くはないようだ。
おそらくこれは、ステータスカード所有者の存在能力を数値化したものだと予想した。
しかし、俺はこの世界の住人にステータスとは何か?
なんて、聞いてもわからないだろう。
という結論に達し、考えることをやめた。
……しかし、このステータスからいくと
定番の武闘家とか戦士とかの有名ジョブは無理だなー。
どちらかというと、
魔力とか低いし盗賊とか忍者系上級職とかしかないよなー。
なんて、今までの人生の知恵をフル活用して想像していた。
よくよく考えれば、この世界にジョブなんてものはない。
……まぁ、後で考えよう。 それよりも、一番の問題はこれだ。
【能力名: 】
……え?書いてない?……カード作成時のミスかな?
「すいません、ひとついいですか?」
「はい、いいですよ」
「能力欄が書かれていない…ということはありますか?」
「いえ、能力欄はステータスカードに触れた時に伝わる情報から記入されるので、そんなことはありえません。」
……はっきりと言われたな…。
「はは…そうですか…ありがとうございます…。」
まぁ、確かに俺はこの世界の住人ではないから
能力がなくてもおかしくはないけどさ………。
「……期待してたのに…。」
俺は落胆の表情を浮かべ、落ち込んだ。
とりあえず、ルミルに会おう。そうしよう。
役所から出た俺は気持ちを切り替え、ルミルのもとに行く。
俺は呼吸を整え、
「ごめーん、待ったー?」
「…………。」
…………俺はぁぁああぁぁ!!待ち合わせに遅刻した女かちくしょぉぉぉぉぉおおお!!これはこれで、(精神的に)来るわぁ………!!
「い、いえ今来たところですよ!?」
「…………。」
………ごめん、それフォローになってない……。
そして、ルミルは自分のミスに気づき
相当恥ずかしかったのか顔を真っ赤にして伏せてしまった。
…………やべ、死ねる…。
「あ、そうだ俺の能力……書いてないんだけど……。」
「…はい?」
「名前が書いてないんだよ……。能力名のところに…。」
「えっ!えっ!えっ!?そんなことがありえるのですか!?」
「いや、わからないけどさ……。能力が何か、知りたかったなぁー…。」
……本当に、能力がなかったとしても。
「……………… 。」
二人して、その場に蹲る。
突然、そうだ!っと言いながらルミルは立ち上がった。
「鑑定士の方にでも見てもらいましょう!」
「鑑定士?能力についても調べられるの?」
「ええ、鑑定士のところへ行けば大抵のことはわかります!」
しかし、俺は問題点に気付く。
「でもさ、鑑定してもらうのってお金かかるよね…?」
「はい!能力を鑑定できる能力を持つ方は少ないので、
少しは高く付くと思われます!」
………ナイスアイディア!なんて、言ってる娘に向かって言いたくないなぁ………。
「ごめんね、ルミルちゃん。俺、お金……ないよ……。」
俺はこの時のルミルの絶望的な顔を忘れることはできないだろう。
楽しく書いています!
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