第九章 会話
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絵里は、梨花とたわいもない話をした後、
「こっちって本当に変わってるの」
と切り出した。
「へぇ、どんな風に?」
「まず、この街の人はみんな足が悪いの。」
「そうなの?私はてっきりカプスさんだけだと思ってた。」
「それにね、この街ってものすごく広いけど、人がとても少ないの。」
「そうなんだ、じゃあ明日にでもこの街を案内してよ」
「いいよ。あ、それから・・・」
「おい、ちょ、これみてみ。」
何故か、本を片手に慌てた晃がそこに立っていた。
この光景は、梨花ですら初めて見る光景だった。
【西暦3000年となった今・・・】
「何これ、SF小説?」
「ちがうちがう、これ見てみ」
『発行年:3005年・・・』
「ぇ・・・なんで?」
数分、不安の空気が漂った
「あ、じゃあカプスさんに聞いてみよ」
「それがいい。よしっ」
そう言うと、晃は走り出した。
後に絵里と梨花が続く。
晃は部屋をノックする。
だが、反応はない。
「カプスさん!聞きたいことがあるんです、あけてください。」
「あれ、おかしいな。昨日から部屋にこもったままなのに・・・。」
ドアノブを回したが、甲斐無く、
鍵は閉まっていた。
「カプスさんドコ行ったんだろ・・・。」
絵里もカプスの部屋には入ったことがなかった。
ドアの前で、数十分が経過した。
それから三人は、元の居た部屋へと戻り、そこでカプスを待つことにした。
絵里は、あの老人が言ったことの意味を考えていた。
そして、そのことを彼ら、つまり梨花や晃に告げるべきか悩んだ。
そして・・・。