第四章・彼、そして彼女
「ってーなぁ。」
女は徹を起こした。
「ああ、おまえか。」
「さあ、行くわよ」
徹の朝の始まりだ。
徹はあれから、こうした日々を過ごすようになった。
徹はここで起床し、ここで眠り、そしてここで死ぬのだろうか。
早く絵里に会いたい。
ああ、絵里は今どうしてるんだろうか。
俺は今、なぜこの女と一緒に歩いているんだろうか。
絵里、早く戻るから・・・。
「・・・・ん?」
絵里は目を覚ました
「ここどこ?」
絵里は砂漠の真ん中に立っていた。
「・・・は?」
絵里は混乱した。
ここは砂漠。
遠くには、蜃気楼で曲がった街が見える。
とりあえず絵里は歩くことにした。
それにしても暑い。
絵里は砂漠に来たのは初めてだった。
絵里は歩き続けた。
「暑い・・・。」
「・・・・暑い。」
「・・・・・・・・・・・徹のバカ」
「・・・・・・・・・・・・・・喉渇いた」
「・・・・・・もうだめ。」
ドサッ
「・・・・・・。」
そして、絵里は砂の上に倒れ込んだ。
「・・・・っ。」
絵里は意識を取り戻した。
「ここどこ?」
「僕の家。」
近くで本を読んでいた男が答えた。
「・・・あなたが助けてくれたの?」
「そうだけど、なんで?」
「・・・ありがとう。」
その男の名前は、カプス。
長身の眼鏡をかけた、長身の男。
彼女はカプスに好感は持った。
だが、彼女はやはり徹のあの不適な笑みが忘れられない・・・。