37. 銀色の少女の記憶
奏視点
◆
目が覚めたとき、私は何も覚えていなかった。
名前も、生まれた場所も、家族のことも。
ただ、川のせせらぎと、蝉の声だけが、耳に届いていた。
(……ここは、どこ?)
私は、大きな岩の上に座り込んでいた。
足元には、エメラルドグリーンの清流。
木漏れ日が、水面をキラキラと照らしている。
綺麗。
でも、怖い。
誰もいない。
私を呼ぶ声も、探しに来る人も、誰もいない。
(私、一人ぼっち……?)
胸が締め付けられる。
涙が出そうになる。
自分の手を見下ろす。
白くて、細い手。
でも、どこか違和感がある。
まるで、本物じゃないような。
張りぼてで作られた、偽物の手のような。
試しに、隣の岩を触ってみる。
ゴツゴツとした感触。
熱を帯びた表面。
ちゃんと感じる。
でも、その感覚がひどく遠い。
まるで、分厚い手袋を何枚も重ねて触っているような、隔たりがある。
(……私、ちゃんと存在してる?)
不安が、雪崩のように押し寄せてくる。
私は誰?どこから来たの?なんで、こんなに寂しいの?
膝を抱えて、川を見下ろす。
このまま誰も来なかったら、私はどうすればいいんだろう。
このまま一人で、消えてしまうんだろうか。
その時だった。
人の気配がした。
ハッとして顔を上げると、少し離れた場所に、一人の少年が立っていた。
日焼けした肌。汗で濡れた前髪。
10歳くらいの、少年。
彼は、じっと私を見つめていた。
心配そうな、けれど優しい眼差しで。
私たちの視線が、交わる。
その瞬間、胸の奥が激しく痛んだ。
(……ああ)
この人を、知ってる。
記憶はない。
名前も思い出せない。
でも、魂が叫んでいる。
この人を、ずっと探していた。
この人に、会いたかった。
少年が、ゆっくりと近づいてくる。
私は動けなかった。
ただ、彼が近づいてくるのを、息を止めて見つめていた。
「……ねえ」
彼が、優しく声をかけてくる。
その声が、不思議なくらい心地よくて。
私の凍りついた心が、少しだけ溶けた気がした。
「君、一人? 大丈夫?」
でも、同時に、胸の奥が激しく痛んだ。
この優しさを、私は受ける資格があるんだろうか。
「……誰?」
私は、震える声で聞いた。
本当は知っている。
でも、思い出せない。
その矛盾が、胸を引き裂く。
「僕……僕は、相沢廻」
少年は、少し困ったように頭をかいた。
「ここがどこかとか、何してたかとか、よくわからないんだけど……名前だけは、覚えてる」
「廻……」
その名前を口にした瞬間、胸が温かくなった。
まるで、何度も何度も呼んできた名前みたいに。
舌の上で、その音が心地よく転がる。
「君は?」
「……わからない。でも、『カナデ』って響きだけ、覚えてる」
口にした瞬間、その音が心地よく響いた。
カナデ。
そう、それが私の名前。
「カナデ、か」
彼がその名前を口にした瞬間、私の胸がさらに温かくなった。
まるで、何か大切なものを取り戻したような感覚。
彼の口から聞く、私の名前。
それが、こんなにも甘く響くなんて。
「いい名前だね」
廻くんが笑う。
その笑顔を見た瞬間、私の目から涙が溢れ出した。
「……っ」
なんで?
なんで、この人を見ると泣きたくなるの?
悲しいんじゃない。
嬉しいんじゃない。
ただ、すごく……懐かしい。
そして、申し訳ない。
(ごめんなさい)
何に対して謝っているのか、わからない。
でも、この人に対して、言葉にできないほどの罪悪感がある。
「大丈夫?」
廻くんが、私の隣に座った。
「一人で怖かったんだね。ごめん、気づかなくて」
彼の声が、優しい。
その優しさが、私の心に染み込んでくる。
そして同時に、ナイフのように突き刺さる。
(私、この人に……ひどいことをした気がする)
でも、何をしたのか思い出せない。
ただ、この優しさを受ける資格が、私にはない気がした。
「……私、どこに帰ればいいかわからない」
「僕もだよ。……じゃあ、一緒に探そう」
「一緒に?」
「うん。一人より、二人の方がいいでしょ?」
廻くんが、手を差し伸べてくれた。
その手を見た瞬間、私の胸がキュッと締め付けられた。
(ああ、この手……)
知ってる。
記憶はないのに、この手を知ってる。
何度も何度も、握ろうとして、届かなかった手。
何度も何度も、すり抜けて、触れられなかった手。
冷たくて、温かくて、私の世界の全てだった手。
「……握っても、いい?」
「もちろん」
私は、恐る恐る彼の手を握った。
触れた。
ちゃんと、触れた。
温かい。
生きている。
この世界に、確かに存在している。
(よかった……)
涙が止まらなくなった。
理由はわからない。
でも、この手を握れたことが、何よりも嬉しかった。
今まで、ずっと触れられなかった。
透明な壁に阻まれて、ただ見ているだけだった。
それが今、こうして手を繋いでいる。
奇跡だ。
こんな奇跡が、本当にあるんだ。
「泣かないで」
廻くんが、私の涙を拭おうとする。
優しい手が、私の頬に伸びてくる。
でも――
スッ。
指先が、私の頬をすり抜けた。
「……え?」
廻くんが、戸惑ったように自分の手を見つめる。
私も、自分の体を見下ろした。
(ああ、やっぱり)
不安定なんだ。
私の存在は、まだこの世界に完全には定着していない。
時々、透けて見える。
時々、触れられなくなる。
まるで、消えかけのろうそくの炎みたいに。
「気のせい、かな」
廻くんが、もう一度手を伸ばす。
今度は、ちゃんと私の頬に触れた。
温かい。
彼の体温が、私に伝わってくる。
(……もっと)
もっと触れていたい。
もっと、この温もりを感じていたい。
消えてしまう前に。
「……ありがとう」
私は、彼の手に自分の手を重ねた。
もう離さない。
この手だけは、絶対に離さない。
記憶がなくても、名前がわからなくても。
この人の隣にいれば、私は大丈夫な気がした。
「じゃあ、決まりだ」
廻くんが立ち上がり、私に手を差し出した。
「僕たちは友達だ。君が帰る場所を思い出せなくても、僕が一緒に探してあげる」
友達。
その言葉が、少し寂しかった。
でも、今はそれでいい。
まだ、それ以上を望む資格はない。
私は、恐る恐る彼の手を見た。
そして、ゆっくりと、その温かい手を握った。
指先が触れる。
冷たい私の手と、温かい彼の手。
でも、その奥に、脈打つような熱を感じる。
「よろしくね、廻くん」
私が笑った。
その瞬間、夏風がふわりと吹き抜け、私の銀髪を揺らした。
廻くんも、優しく微笑んでくれる。
(この人は、優しすぎる)
だから、怖い。
私がいなくなったとき、この人はどれだけ悲しむんだろう。
でも、今は考えないことにした。
今だけは、この手の温もりを信じることにした。
「行こう、カナデ」
「……うん」
私たちは、手を繋いだまま岩場を降りた。
彼の手は温かくて、私の手は冷たい。
でも、彼は嫌がらなかった。
ただ、ギュッと握り返してくれた。
◆
山道を下りながら、私は廻くんの横顔を盗み見ていた。
汗を拭う仕草。
私の歩幅に合わせてくれる、優しい足取り。
すべてが、愛おしかった。
(この人を、守りたい)
なぜそう思うのか、わからない。
でも、魂が叫んでいる。
この人のために、何かをしなければならない。
この人を、幸せにしなければならない。
「……痛い」
思わず、声が漏れた。
岩場から降りて、舗装された道に出た瞬間だった。
太陽に焼かれたアスファルトの熱が、裸足の裏に突き刺さる。
「あ、ごめん! 気づかなくて」
廻くんが慌てて立ち止まる。
そして、自分が履いていたサンダルを脱ぎ始めた。
「これ、履いて」
「え? でも、廻くんが……」
「僕は平気だよ。男の子だから、足の皮が分厚いんだ」
彼はそう言って笑ったけれど、それが嘘なのはすぐに分かった。
だって、彼が裸足で踏んだアスファルトの上で、彼自身が一瞬だけ顔をしかめたから。
「……ありがとう」
私は彼のサンダルに足を通した。
ぶかぶかで、歩くたびにパタパタと音が鳴る。
その音がなんだか可笑しくて、同時に泣きたくなるほど嬉しかった。
彼が、痛いのを我慢して、また私の手を引いて歩き出す。
その手は熱い。
私の冷たい手を温めるように、強く握ってくれている。
ふと、繋いだ手元を見る。
――チカッ。
一瞬。
本当に瞬きするほどの一瞬だけ、私の手が「ノイズ」のように揺らいだ。
彼の手のひらが、私の手を通して透けて見えた。
(……っ!?)
私は息を呑んだ。
彼は気づいていない。前を向いて歩いている。
やっぱり、そうだ。
私は「不安定」なんだ。
この世界に、まだ許されていない存在なのかもしれない。
(消えちゃう……)
恐怖がこみ上げる。
このまま歩いている途中で、ふっと霧のように消えてしまったら?
彼が振り返った時、もう私が手を繋いでいなかったら?
「……廻くん」
怖くなって、思わず彼の手を両手でギュッと握りしめた。
「ん? どうしたの? もうすぐ家だよ」
彼が振り返る。
その瞳に、私が映っている。
ちゃんと、映っている。
「……ううん。なんでもない」
「変な奏ちゃん」
彼は笑って、握り返してくれた。
その力が、私を現世に繋ぎ止める鎖だ。
(離さないで)
心の中で祈る。
(もう少しだけ。……せめて、この温もりを覚えるまでは)
◆
「ただいまー!」
廻くんがドアを開けると、そこには「家」の匂いがした。
洗剤と、古い木と、夕飯の支度の匂い。
「おかえり! あら、お友達?」
エプロンをつけた女性――お母さんが、笑顔で出迎えてくれた。
その笑顔が、とても温かくて。
私の目に、また涙が滲んだ。
(お母さん……)
記憶にはない。
でも、この「母親の温もり」を、私はずっと欲しかった気がする。
「この子、迷子みたいで……名前以外、何も思い出せないんです」
廻くんが、私のために必死に説明してくれる。
「しばらく、ここに置いてあげられませんか? 僕が面倒見ますから!」
その姿が、愛おしくて、申し訳なくて。
「まあ……それは大変だったわね」
お母さんは、私の前にしゃがみ込むと、泥だらけの頬を優しく撫でてくれた。
「怖かったでしょう。もう大丈夫よ」
「……っ」
その手が温かすぎて。
私は堪えきれずに、ポロポロと涙をこぼした。
「ありがとうございます……ありがとうございます……」
何度も頭を下げる私を、お母さんは優しく抱きしめてくれた。
◆
お風呂をお借りして、さっぱりした服に着替える。
ぶかぶかのTシャツ。廻くんの匂いがする。
「さあ、ご飯にしましょう。今日はカレーよ」
食卓には、湯気を立てる茶色い料理。
スパイシーな、食欲をそそる香りが部屋いっぱいに広がっている。
「いただきます」
廻くんが手を合わせるのを真似して、私も手を合わせる。
スプーンですくって、口に運ぶ。
――爆発した。
舌の上で、スパイスと野菜の甘みが弾ける。
熱い。辛い。甘い。
そして、泣きたくなるほど優しい。
「……おいしい」
一雫、涙が皿に落ちた。
私、こんな味を知らなかった。
ただの栄養補給じゃない。
誰かが誰かを想って作る、愛情の味。
生きるって、こんなに鮮やかで、こんなに熱いことだったんだ。
「おかわり、あるからね」
廻くんが笑う。
お母さんが笑う。
その光景が眩しくて、私は目を細めた。
幸せすぎて、怖い。
この温かいスープが冷める頃には、全部夢だったと気付くんじゃないかって。
廻くんと、お母さんが、嬉しそうに笑ってくれる。
その笑顔を見ていたら、幸せで胸がいっぱいになった。
(ああ、これが……家族)
私には、こんな場所がなかった気がする。
温かい食卓も、笑い合える人も。
ずっと、一人だった。
ずっと、寒くて、暗い場所にいた。
でも、今は違う。
今は、ここにいる。
廻くんの隣に、座っている。
それだけで、世界が輝いて見えた。
食後、私は客間に案内された。
清潔な布団、柔らかい枕。
「おやすみ、カナデ」
「おやすみ、廻くん」
彼の名前を呼ぶ。
その響きが、不思議なくらい心地よかった。
まるで、何千回も呼んできた名前みたいに。
廻くんが、部屋を出ていく。
ドアが閉まる。
一人になった瞬間、不安が押し寄せてきた。
(消えちゃう)
なんとなく、わかる。
私の存在は、とても不安定だ。
朝になったら、もういないかもしれない。
このまま、夢のように消えてしまうかもしれない。
怖い。
怖くて、怖くて、布団に潜り込んでも震えが止まらない。
(嫌だ)
消えたくない。
廻くんと、もっと一緒にいたい。
もっと、あの笑顔を見ていたい。
でも、私の体は言うことを聞かない。
指先を見ると、うっすらと透けている。
背景の畳の目が、指を通して見える。
(やっぱり……)
涙が溢れる。
私は、ちゃんとここにいられるんだろうか。
明日も、廻くんに会えるんだろうか。
不安で押し潰されそうになって、私は布団を抜け出した。
縁側に出る。
外は、月明かりに照らされていた。
満月だった。
その光が、冷たくて、優しくて。
私を溶かそうとしているみたいで、怖かった。
「眠れない?」
背後から、声がした。
振り返ると、廻くんがそこにいた。
「うん。……怖い夢を見そうで」
「どんな夢?」
「わからない。でも、すごく悲しい夢な気がする」
私は、膝を抱えた。
月を見ていると、不安になる。
まるで、私の存在が、月の光に溶けて消えてしまいそうな気がして。
「ねえ。もし明日、私がいなくなっていても……」
「いなくならないよ」
廻くんが、強く言い切った。
「絶対に、いなくならせない」
その言葉が、嬉しくて。
でも、同時に、胸が痛かった。
(ごめんね)
心の中で、謝る。
私、きっと消えちゃう。
だって、私の体は、時々透けて見えるから。
だって、私の心臓は、時々止まりそうになるから。
鼓動が、不規則だ。
ドクン、ドクン……と鳴っているけれど、時々、数秒間止まる。
その間、世界が遠のく。
音が消える。
色が消える。
私が、この世界から切り離される。
でも、それを言ったら、廻くんが悲しむ気がした。
だから、黙っていた。
「ありがとう」
私は、廻くんの肩に頭を預けた。
彼の体温が、私を包み込む。
温かい。
生きている。
この温もりを、私はずっと求めていた気がする。
(ああ、幸せ)
記憶はない。
未来もわからない。
でも、今この瞬間だけは、確かに幸せだった。
廻くんが、私の手を握ってくれる。
強く。
まるで、私を地面に繋ぎ止めるみたいに。
「離さないから」
「……うん」
月が、私たちを見下ろしていた。
その光は優しいけれど、どこか残酷だ。
まるで、私たちの未来を知っているかのような。
(私、この人を愛してる)
なぜかわからない。
でも、魂が叫んでいる。
この人を、守らなきゃいけない。
この人を、幸せにしなきゃいけない。
たとえ、自分が消えても。
記憶の奥底、霧の向こうに、何かが見える気がした。
銀色のノート。
無数の文字。
そして、一人で泣いている私。
(……そうだ)
私、ずっと一人だった。
ずっと、この人を見ているだけだった。
触れられなくて、声も届かなくて。
ただ、影のように寄り添うことしかできなかった。
でも、今は違う。
今は、こうして手を繋いでいる。
こうして、体温を感じている。
(奇跡だ)
この奇跡を、私は絶対に手放したくない。
たとえ明日、消えてしまうとしても。
たとえこの記憶が、また失われるとしても。
今この瞬間だけは、確かに彼の隣にいる。
それだけで、十分だった。
(今度こそ……)
月明かりの中で、私は静かに誓った。
今度こそ、あなたに愛される資格を手に入れる。
今度こそ、対等な立場で、あなたの隣に立つ。
そのためなら、私は何度でも消えて、何度でも生まれ変わる。
だって、私は――
(あなたのことが、好きだから)
記憶がなくても、その想いだけは、魂に刻まれていた。
遠くで、風鈴の音が聞こえた気がした。
チリン、チリン。
それは、夏の終わりを告げる音であり、新しい物語の始まりを祝福する音でもあった。
私たちの物語は、ここから始まる。
何度目かの、夏の夜に。
失われた記憶の、その先に。
廻くんの手を握る私の手が、少しだけ透けて見えた。
でも、彼は気づいていない。
(……もう少しだけ)
もう少しだけ、この温もりを感じさせて。
もう少しだけ、この幸せを味わわせて。
消える前に。
忘れる前に。
また、あなたと離れ離れになる前に。
月が、静かに私たちを照らしていた。
そして、どこか遠くで、誰かが泣いている声が聞こえた気がした。
それは、未来の私か。
それとも、過去の私か。
わからない。
ただ、その涙の意味だけは、なんとなく理解できた気がした。
それは、幸せすぎて流す涙。
そして、失うことが決まっているからこそ流す、切なさの涙。
私は、廻くんの肩に顔を埋めた。
彼の匂いを、深く吸い込む。
夏の匂い。
汗の匂い。
そして、生きている人間の、温かい匂い。
この匂いを、忘れたくない。
たとえ記憶が消えても、魂に刻み込みたい。
「ねえ」
私は、小さく呟いた。
「なに?」
「……なんでもない。ただ、幸せだなって」
「僕もだよ」
廻くんが、優しく笑う。
その笑顔が、月明かりに照らされて、天使みたいに見えた。
(ああ、もう)
私、完全に恋に落ちてる。
記憶がなくても、名前を忘れても。
この感情だけは、絶対に本物だ。
夏の夜は、ゆっくりと更けていく。
蝉の声が止み、代わりに虫の音が響き始める。
私たちは、そのまま縁側で寄り添っていた。
廻くんの体温が、少しずつ私に移っていく。
私の冷たい体が、少しだけ温かくなる。
(このまま、時間が止まればいいのに)
そう願った。
でも、時間は容赦なく進んでいく。
夜明けに向かって。
別れに向かって。
そして、また新しい物語に向かって。
私は、目を閉じた。
廻くんの心臓の音が聞こえる。
規則正しい、力強い鼓動。
その音を子守唄にして、私は浅い眠りに落ちていった。
夢を見た。
銀色のノートを抱えて、一人で泣いている私の夢を。
そして、その私に、誰かが優しく手を差し伸べる夢を。
「今度こそ、君を守るから」
その声が、遠くで響いていた。




