第94話「再会①」
ワシを探しとる人、ついに登場じゃ。
ワシらは休んだ後、王都南西地区のギルドに向かったのじゃ。そしてワシに会いたいという人を紹介してもらうように頼んだのじゃった。
そして巫女がやってきたのじゃった。お辞儀をする巫女さんはワシの所にやって来て、ワシをジロジロ見るのじゃ。
「初めまして、私はルナです。あなたがコン様に会いたい人ですか?」
巫女さんは首を横に振るのじゃ。
「私、レイ。ついてきて」
名乗った後、一言そう言った彼女は歩き出すのじゃ。なんと言うか、無口な印象を受けるのう。
説明して欲しかったのじゃが、そんなこと聞ける雰囲気でもないわい。
というかこれでワシの前世関連である可能性は消えたのう? 巫女ということは男神じゃろ?
ワシを探しとるのが男神なら一体何なんじゃろうか?
やはり魔王を助けて従えとるのが癇に障ったのじゃろうかのう?
ワシが色々考えながら歩いておると、レイは大きな宿の前で止まったのじゃ。おいおい、ワシらそこまで金に余裕ないぞい?
「あの、私たちお金が……」
「私が払うから大丈夫」
レイの台詞にホッとしたワシらは、お言葉に甘えて宿の中に入るのじゃ。
料金を払ってくれたレイについて行くと一つの部屋の中に鍵を開けて入っていくのじゃ。
中に入るとベッドが二つあるのじゃ。恐らく神の物と、巫女のレイの物じゃろう。
部屋は少し広く、ソファなどがあるのじゃ。
「ちょっとゆっくりしてて。私、神様を呼ぶ」
いよいよか、緊張してきたのじゃ。ワシを探していた理由が明らかになるのじゃ。早く早く早くじゃ!
「落ち着いてくださいよ、コン様。焦らなくても来るんですから」
しかし、それから四時間以上待たされたのじゃ! 待たせすぎじゃろ!
ワシらと騎士さんの分だけご飯が運ばれてきて、これはレイは待たせるつもりで注文もしとったな? と思ったのじゃ。
騎士の人は一人は中で、二人は外で見張っておるのじゃ。
「退屈じゃ。しりとりでもせんかのう?」
「しりとりってなんですか?」
「言葉の尻、例えば『りんご』なら『ご』から始まる言葉を次の人が繋いでいくんじゃ。そして同じ言葉を出したり、最後に『ん』が付いたら負けじゃ」
「面白そうですね、ちょっとやってみましょうか」
ここから、ワシ、ルナ、グーシャ、テンカ、ジーザスの順でいくのじゃ。
「名前はダメなどのローカルルールは今回なしでいこうかのう。言葉ならなんでもありじゃ! いくぞ! しりと『り』から、リスじゃ」
「スカンク」「クマ」「マントヒヒ」「ヒツジ」
一巡したぞい。
「ジ? ジ……ジーザスじゃ!」「名前ですよね。まぁいいです。スズメ」「メダカ」「カエル」「ル、ル、ルーレット」
二巡したぞい。
「トカゲじゃ!」「ゲンゴロウ」「ウサギ」「『ギ』か……銀貨」「貝」
三巡したぞい。
「イカじゃ!」「カンガルー」「この場合どうするの? 『ル』でいいの? ルビー」「ビキニ」「ニワトリ」
四巡したぞい。
「リンゴじゃ!」「ゴブリン」「ん? あれ? ルナ?」
「どうしたんですか? 続きをしてください」
「いや、ゴブリンは最後『ん』じゃろ?」
「あ!?」
「ガハハ! ルナの負けじゃ!」
賢いようで抜けとるルナじゃ。顔を赤くして手を当てとるのじゃ。
「ま、まぁそろそろ終わらないといけなかったですしね」
そういう事にしておいてやろうかのう? そうしているとレイが戻ってきたのじゃ。
「お待たせしました」
「待たせすぎじゃぞ。まぁよい、ワシを探していた人に会わせてくれるんじゃろ?」
そうして中に入ってきたのは鹿の神様じゃった。ワシらを通り越して奥に座ったのじゃ。
「初めまして、狐依コンさん。僕は鹿依トナ。よろしくお願いするよ」
握手を求められて返すワシじゃ。
「ワシの名を知っとるということは知り合いなのかのう? それにどうしてワシを探しておったのじゃ?」
それを聞いたトナ様はにっこり笑って話し始めたのじゃ。
「人から聞いた話で、魔王を改心させて神にしている事を聞いたんだ。それは普通思いつかない事だ。仮に可能だったとしても、かなりの命懸けのはずだしね。だから会ってみたかったんだ」
どうやらワシの話を聞きたかったようじゃ。ワシはこれまでの旅の話を、トナ様に聞かせるのじゃ。
ワシらは思い出しながら話して言ったのじゃが、それを聞いていたトナ様がこんなことを言うのじゃ。
「それを聞かせてあげて欲しい人がいるんだ」
ワシの旅、その後半を聞きたい人がいると言うのじゃ。何故後半を……それを聞こうとした時、トナ様が叫んだのじゃった。
「もう入ってきてもいいよ!」
扉を開ける音も聞こえないのじゃ。ワシらは扉を背にしとったから、振り向こうとしたのじゃ。
「コン様!」
背後から聞こえてきた声、忘れるはずもない声じゃ。ワシは振り向かんでもその声の主が誰か分かったのじゃ。
その声を聞いた瞬間、ワシは目頭が熱くなり、それでもこれが現実なのかを判断できず、すぐに振り向くことができんかったのじゃった。
それはあの子との再会じゃった。
ここまで読んでくださりありがとうなのじゃ!続きを読んでくださるとありがたいのじゃ!




