第89話「他の神と」
他の神とも交流するのじゃ!
他の神とも交流してみたいと思ったワシは兎の頭の神と禰宜に声をかけたのじゃ。
「あら、ごきげんよう。狐の神よ、何か御用かしら?」
「いや、たまたま目に入ったので話しかけただけじゃ。お主、名は?」
「兎依ピョンですわ。あなたは?」
「ワシは狐依コンというのじゃ! よろしくなのじゃ!」
ワシらは少しの間談笑したのじゃ。ピョン様はこの国で過ごして長いらしく、この国の警備もしているそうじゃ。
禰宜のタイクさんは巨漢で力持ちで、魔物が暴れて壊した瓦礫などを片付けたりしとるらしいのじゃ。
騎士の方とも挨拶するタイクさんは立派な錫杖を持っとったのじゃ。
「タイクさんのような錫杖欲しくないかのう? ルナ」
「欲しくないです。可愛くないです」
女子じゃのうー。なら可愛い杖を選ぶかのう?
ルナは杖を調べて買うのじゃ。テンカはサバイバルナイフを買うのじゃ。
ジーザスはネックレスを買ってグーシャと合わせておったわい。グーシャはと言うと狐のぬいぐるみを買ったのじゃ。
ピョン様たちと別れ、それぞれ王都を楽しむ中でワシは少しずつ気を引き締めるのじゃ。ワシに会いたい人はどんな人か、何故ワシを探しておるのか。
その目的に近づいておるのじゃ。
「きっと大丈夫ですよ。そんなに緊張しなくても」
ルナが言うのじゃが、ワシはそう楽観的になれん。
ワシはもしかすると前世に関係するのではないかと考えておったのじゃ。そうでもないとワシをこんなところで待つ理由がないのじゃ。
そう考えると不安になってくるのじゃ。ワシを待つ、まさか……のう?
──この不安は見事に外れるわけじゃが、この時のワシはずっとモヤモヤ考えとったのじゃ──
ルナは呆れてワシを見ておったのじゃ。仕方ないじゃろ。ワシだって知られたくないことの一つや二つはある。
読まれることがわかっとるから考えんがのう。
ワシが黙って歩いとるとグーシャが近寄ってきてワシの右手を握ったのじゃ。
ワシがグーシャの方を見るとニコニコしながらワシの方を見ておったわい。
ワシは思わず吹き出して、ギュッと手を握り返したのじゃ。
まったく、思わず守りたくなる笑顔じゃわい。すると、ルナが走ってきて、ワシの左手を握ったのじゃ。ルナの方を見るとニコニコしておったわい。
ワシは右手のグーシャを一度離し、チョップするのじゃ。
「何するんですか?」
ふくれっ面のルナの手を握りかえし、グーシャの手を握り、ワシらは王都北東地区を歩くのじゃった。
そんな時じゃった。前方から暴走馬車が走ってくるのじゃ。皆逃げておったわい。
騎士の人達が駆け寄るのじゃ。ワシは前に出て神力を纏い馬車を止めるのじゃ。
中から人が現れて、ワシらに礼を言うのじゃ。尤も、ワシは見られとらんがのう。
すると騎士の方が敬礼し、綺麗なドレスを着た人に膝をついたのじゃ。
「姫様、お怪我がないようで何よりです」
もしかしてこの国のお姫様じゃったのかのう? 確かによく見たら綺麗に整った顔をしとるわい。
「助かりました。何者かの矢を馬が受け、暴走してしまったのです」
ドーピングのようなものらしく、護衛の騎士を置き去りにして暴走していったようじゃ。
中には執事もいて、慌てて飛び出してきたのじゃ。
「姫様、外は危ないです。直ぐに中へ」
「助けてくださった方々にお礼を言いたかっただけです。あなた達が助けてくださったのですよね?」
ルナ達を見てそういうのじゃが、ルナはワシを見ているのじゃ。
「いえ、こちらの狐の神様が助けてくださったのです」
騎士の一人が全然違う方を見て言うのじゃ。
「仕方ありませんね。今日も休憩をよろしくお願いしますよ?」
ルナがワシの姿を見せるようにするのじゃ。姫様はワシを見て驚いておったのじゃ。
「まぁ! 神様を見たのは初めてです。はじめましてですね、狐の神様」
「ワシは狐依コンと言うのじゃ。姫様よろしくお願いしますのじゃ!」
姫様は頭を下げてワシに礼を言うのじゃ。ワシはどういたしましてと言いながらも、王位を継ぐものがあまり頭を下げるものではないと言ったのじゃ。
すると姫様は神よりも地位の高い人などいないと言うのじゃ。
それならワシらにもいい分はあるのじゃ。魔物使いとはいえ、スライムとシーフの神、魔鳥の神、魔犬の神は人より地位が高いはずじゃろ?
それなのに行動を制限されるのじゃ。そのせいで守れないものもあるかもしれんのにのう?
その事を姫様に言うたのじゃ。すると姫様は難しい顔をして話をしたのじゃ。
「それはおかしいですね。魔物使いは基本的に街に魔物を入れないからかもしれません。あなた達は特別な魔物使いです。騎士団長を呼んでください」
騎士達は慌てて団長に連絡を入れたのじゃ。そうして高級宿で会議が始まったのじゃった。
議題は何故魔物使いが魔物を出せないか? そして、ワシら神憑きの自由を訴えたのじゃった。
団長は渋い顔をして言ったのじゃ。
「王都に魔物一匹でも紛れれば大騒ぎだ。前に言ったように我慢して欲しい」
それに対して姫様はこう言うのじゃ。
「街にいたら確かに危険かもしれません。じゃあこの宿にいる時だけは許してくれませんか?」
姫様はどうやらグーシャたちの使う魔物について興味があるようじゃった。
執事のお爺さんはため息をついて姫様を見ておったのじゃ。
姫様、魔物に興味津々じゃ!
ここまで読んでくださりありがとうなのじゃ!続きを読んでくださるとありがたいのじゃ!




