第76話「不思議な鉱石」
細長い北北東に進む道の後東に大きく膨らむネト大陸じゃ。
このリニアモーターは特殊な鉱石で出来とるらしいのじゃ。神力を流すと発車するその乗り物は、『神力リニア』と呼ぶべきかもしれんのう。
ワシは神力を流しながらドッグ様の話を聞いておったのじゃった。
青と白の球に神力を流しとると進み、赤で止まるらしいのじゃが、すぐには止まらんようになっとるらしいのう。
必要な神力が溜まると色がつくようになっとるらしく球が光ったところで、少しだけ話したのじゃ。
「ドッグ様、もしやお主は、前世でこういうモノに携わっとったのかのう?」
「そうだ。俺は前世でこういう物を開発していたんだ。その知識を応用できないかと思って開発したんだ。このリニアが出来るまでは大変な道のりだったんだぞ」
このネト大陸、まず北に細長く続いとるらしいのじゃ。小さな村は作れたのじゃが、タツイ王国に行くまでの道のりがあまりにも長かったらしいのじゃ。
地図を見せてもらったのじゃが、一直線に細長い陸が続いていて、北端に着くと東に大きく膨らむようじゃ。
タツイ王国に行くためには以前は船が主流だったようじゃ。じゃが海域が安定せず事故が多発していたらしいのう。
そのため陸を選ばざるを得ない人が多くいて、困っていたそうじゃ。
そこでドッグ様が、タツイ王国の特殊な鉱石でリニアを開発し、魔物避けの鉱石で道を作ったのじゃ。
そうして安全にタツイ王国へと行けるようになったらしいのじゃ。
時々このルートを通る神に神力を使うのを手伝ってもらっとるらしいのう。
ワシも疲れたので椅子に座って景色を見とるのじゃ。
テンカは警戒の必要のない旅に、ゆっくりくつろいどったわい。
ニアさんは車内の警備長をしとるらしく、指示しとる姿は、長身でスラリとした体躯にポニーテールの髪が揺れるのじゃ。
車掌の帽子がよく似合っとるのう。そうじゃな、あと胸が……。
ペシっとワシの頭を叩くルナじゃ。いいではないか、考えるくらいならのう?
「怒りますよ?」
わかったわかったわい。ワシはルナの後ろに回りこみ胸を揉んでやるのじゃ。
「きゃっ! 何するんですか?」
「成長するように揉んであげとるだけじゃ」
もう! っと照れながらもされるがままのルナじゃ。
「いいなぁ、ルナ……あたしはもう成長しないから……」
そうじゃな、グーシャはもう成長することはないからのう。
「じゃがグーシャはグーシャの魅力があるぞい」
そう言うワシに顔を赤くして抱きついてくるグーシャじゃ。
「随分距離の近い仲間たちだな。あまり情を入れすぎるなよ? 俺でさえも巫女はニアで二十人目だ」
な、なんじゃと!? そんなに取っかえ引っ変えしたのかのう?
「何か勘違いされてそうだが違うぞ? 寿命のある巫女とほぼ永遠の神では、ずっとは旅もできないだろう?」
確かにその通りじゃ。ルナとはいつか、どれだけ守り抜いて旅をしようとも、死に別れてしまうのじゃ。
グーシャとテンカとジーザスはもう下位の神じゃから殺されなければ死なないかもしれんが、テンカはタツイ王国で別れる道を選ぶかもしれんからのう。
「わかっておるのじゃ。いつか別れは来るからのう。じゃがそれと愛す愛さぬとはまた別の話じゃろう?」
「その通りだな。俺もお節介が過ぎたか。わかってるならいいさ。タツイ王国に着いてからどうするかは決めてるのか?」
「王都クスエを目指そうと思っておるぞい」
「そうか。タツイ王国は街中でも魔物が出る国だ。気をつけろよ」
そう言ってニアさんの合図を見たドッグ様は赤い球に神力を込めたのじゃ。
どうやら目印があってブレーキのタイミングを計っとったようじゃ。
本当に雑談していただけで着いてしもうたのじゃ。地図から見て相当の距離を走ったはずじゃが、凄いのじゃ!
次第に減速していくリニアは王国の門を潜って行ったのじゃった。
そうしてタツイ王国の駅のある街、ミチノ街に着いたのじゃった。
『ミチノに到着しました。お降りの方はお忘れ物なきよう、よろしくお願いします』
全員降りるわけではないのかのう?
「次の『魔法の盛んな国』に行きたいなら、このまま乗っていってもいいぜ?」
「いや、今はここで降りようかのう。世話になったのじゃ。またリニアを利用する時が来たらよろしくなのじゃ!」
タツイ王国は鉱石が沢山採れる国だったかのう? 飛行船の魔道アイテムの材料なども採れるようじゃし、色々見ていこうかのう?
ワシらはドッグ様とニアさんと別れてミチノ街のギルドを探したのじゃった。
人が溢れかえり、とても賑わっておったのじゃ。リニアはとても大きいので、大きい荷物も入れられるのじゃ。
だから沢山のものを運ぶのに適しているようじゃ。
そのため駅の入口はごった返しておったわい。
様々な人がリニアを利用し行き来をするため、この街はかなり人の往来が多く、通行が大変じゃった。
ワシは迷子にならんように電車ごっこを提案するのじゃった。
「こ、これ、かなり恥ずかしいです……!」
「迷子にならんためじゃ。我慢じゃぞ」
「普通に手を繋ぐだけじゃダメなのかい?」
ルナが恥ずかしがり、テンカが抗議するが無視じゃ。では出発進行じゃ!
ワシ、ルナ、グーシャ、ジーザス、テンカの順で電車ごっこの格好『前の人の腰に手を添える』で街を闊歩するのじゃった。
電車ごっこ、完璧じゃ!
ここまで読んでくださりありがとうなのじゃ!続きを読んでくださるとありがたいのじゃ!




