第69話「燃えない木材」
この話はちょっと難しかったのじゃ。
魔物と戦いながらすれ違う人達と挨拶するのじゃ。
馬車と護衛ばかりで、どうやら飛行船の部品を運んどるらしいのじゃ。
一隻堕ちただけでも部品は大量にいるらしいのう。何回もに分けて部品を運んどるようじゃ。
話を聞くと他の場所でも飛行船があるらしく、またロープウェイの調整部品なども運んだりするらしいのじゃ。
様々な物資を運ぶわけじゃが、それを魔法飛行船で運ぶことは出来んのかのう?
そう思っとったら、そうもいかんそうじゃ。魔素を送るのも人間なので、長期間になると疲れてしまうのじゃ。
ズィー街の飛行船もかなりの人数を確保して飛ばしておるからのう。
また巨大なため着地地点もしっかり確保せねばならぬからのう。
飛行船で世界を旅するのは現実的でないそうじゃ。とはいえ、そういうパターンがないわけではないそうじゃ。
世界は広く飛行船に乗って旅するルートがある大陸があるそうじゃ。
勿論そうでなくても山がある場所なら飛行船を飛ばす場合もあるしのう。
今話をしている商人さんは世界中に飛行船の部品を流通させているらしく、面白い話を聞けたのじゃ。
それは世界一大きな木だそうじゃ。雲より高く生えており、また特殊な質で出来ており火をつけても燃えんそうじゃ。
とてつもない広い面積を占めている木で、削っても削っても成長し塞がるそうじゃ。
その木で採れる木材が飛行船に使われているらしく、今その木材を運んでいるところなのだそうじゃ。
ワシらはそれを見せてもらい、実際に火をつけてもらうのを見るのじゃ。
大きめの火が木材にかかるのじゃが、全く燃えんのじゃ。
ルナが火魔法や神力の火狐をするのじゃが、全く燃えんのじゃ! 凄いのう!
「面白い技を持ってるね。いいものを見せて貰った代わりに一つ木材をあげよう。余分に持ってきたから心配しなくても平気さ。これで君の武器を作ってもらうといい」
神力に武器なんて意味あるのかのう?
「この木材には魔素を倍増させる効果がある。どうかな?」
「ありがとうございます。有難くいただきます」
ルナは木材を受け取り、荷物持ちのスライムに渡したのじゃ。
商人さんと別れ旅を続けるのじゃが、夜になり野宿する時に、ある冒険者たちと近くの場所で野宿したのじゃ。
冒険者たちはワシらの方を見て何かを話しておるのじゃ。
ワシは気になったので、その男の冒険者たちの近くに行ったのじゃ。
「あの子たち可愛いよなぁ」
「俺あの銀髪の子好みだ」
「緑の髪の子も可愛い」
「赤髪の子は胸が大きいぞ」
まぁ男だらけの冒険者たちのようなので、仕方ないと言えば仕方ないのじゃが。
更には男一人のジーザスが羨ましい妬ましいと愚痴りだすのじゃ。
やれやれなのじゃ。頭をこねてやるとしようかのう。
じゃがいくら柔らかくしてもルナたちを見る目だけは変わらんのじゃ。
ふーむ、参ったのう。
そして男たちは遂に行動に移したのじゃった。
「あ、あのさ? 君たちどこに向かってるの? 良ければ一緒に行かない?」
四人の男たちはルナ達に近づいて言うのじゃ。
「エス街です。あなた達はエス街から来たのではないのですか?」
ルナが冷ややかな目で男たちを見とるのじゃ。
「おお! そうなんだね。確かに俺たちはエス街から来た。だから案内もできる。俺たちは急がないし一緒に……」
「必要ないよ」
男に強い言葉をぶつけるテンカじゃった。男たちは顔を引きつらせるのじゃが、それでも退かないのじゃ。
「そこの弱っちそうな男じゃ満足できないだろう?」
男たちはジーザスを指さし言うのじゃ。テンカはニヤリと笑ってジーザスに本気を出しても良いと言ったのじゃ。
ジーザスは魔犬を四匹出して戦うのじゃ。冒険者たちの前で唸る魔犬たちは、男たちを牽制するのじゃ。
じゃが男たちは直ぐに戦闘態勢に入るのじゃ。
「魔物使いか、珍しいが俺たちだって戦い慣れてるんだぞ?」
すぐに対応しようとする男たちだったが、ジーザスはうまく魔犬を立ち回らせて時間を稼ぎ魔犬を増やしていくのじゃ。
ジーザスがここまで対人に上手く立ち回れるのは驚いたのじゃが、いい感じじゃ。
「どうしたんだい? 囲まれてるじゃないか」
テンカが煽るのじゃ。じゃがこれがいかんかったのじゃ。
襲えるもんなら襲ってみろと特攻をしかけられたのじゃ。
ジーザスは慌てるのじゃ。襲ってしまうと邪神になるかもしれん。その迷いから動きが固まったのじゃ。
男たちがジーザスに飛びかかる、テンカとグーシャが助けようとする前に、ワシが神力の変化も使い、四人の冒険者の頭を叩くのじゃ。
冒険者たちは転び倒れ、何が起きたかわからんようじゃ。
ワシはルナを見たのじゃ。ルナは頷いてワシを見えるようにしたのじゃ。
「なんだ? 狐?」
「ワシは狐の神じゃ。この子達のリーダーじゃ。今巫女のルナの力によってお主らにも見えるようにしてもらっとる。ワシに何か言いたいことはないかのう?」
神と聞いて震え上がる四人。土下座の形に入ってワシの言葉を聞くのじゃ。
「お主らには多少の迷惑をかけた、それはワシらの落ち度じゃ。じゃがワシはお主らが、ワシの大切な女の子達をいやらしい目で見ているところから知っとるのじゃ。
そして断っとるのに無理矢理仲間にしようとしたのはお主らじゃ。ここら辺で喧嘩を止めて互いにごめんなさい出来んかのう?」
「ごめん、あたしも挑発気味に言って悪かったよ」
「襲ってしまって、すいませんでした」
テンカとジーザスが謝るので、男たちは立場をなくして謝ってからそそくさと去って行ったのじゃった。
盗賊ではないのじゃが、男は女を前にすると悪くなるよのう。
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