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狐依コンの異世界大冒険  作者: 狐依コン
外大陸、西側編、休憩

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第515話「獣人と人間の子供」

ワンちゃんの案内じゃ。



 ワンコさん、いやワンちゃんにノミチの町を案内してもらうのじゃ。ワンちゃんは周りをキョロキョロしながら注意深く案内してくれるのじゃ。

「そんなに心配せんでも、ワシらが守るぞい」

「そ、そうですよね……すいません。つい」

 謝るワンちゃんの頭を撫でてワシは音を探るのじゃ。十人以上の足音が周りから聞こえるのじゃ。

 どうやら相当の数に囲まれているようじゃ。今は周りに隠れる場所が多いとはいえ、田や畑などの場所に着いたらどうするつもりじゃろうか?

 案内されながら進むと想像通り、広々としてくるのじゃ。


 周りで作業している人達はワンちゃんを見て笑顔で手を振ってくれるのじゃ。

 ワンちゃんも手を振り返すので、ワシは思わず言ってしまうのじゃ。

「何じゃ、人気者ではないかのう?」

「あはは、あの方々は私たちから支援を受ける側なので」

 なるほどのう。じゃあ支援を受けない者はどうじゃろうな? そんなことを考えていると、農作物の説明に入ったのじゃ。

「今はこれはサトイモとトウモロコシを作っています」

 ワシの耳にそう入るのじゃから、そうなんじゃろうな。ルナ達は興味深そうに頷いているのじゃ。特にアカミはじっくり見ているのじゃ。


「あちらに行ってみましょうか」

 そうして色々畑を見て回るのじゃ。足音は消えているので……もしかすると先回りしているのかもしれんと予想するのじゃ。

 暫く田畑を見て回ると、草原に着いたのじゃ。そこでは牛が飼育されていたのじゃ。

 食べるのではないそうじゃ。ということは牛乳じゃのう。

 ワシらは早速乳しぼりを体験させてもらうのじゃ。ルナやジーナは楽しそうにしておる、というかジーナも触れられるのじゃな?

 ワシもやってみるのじゃ。前世の知識で上手くしぼると、拍手されるのじゃ。

「上手ですね」

 ワンちゃんが笑顔で言ってくるので照れるのじゃ。


「神が触れられるのは驚いたのじゃ。この牛も特別なんじゃな?」

「はい。シャドウキャトルという特別な牛です。この大地の草を食べて溜めた魂を宿しているので、神様も触れます」

 獣人や、エルフやドワーフがワシら神に触れられるのもそういう秘密と関わってそうじゃな。

 勿論牛乳はワシらの力となるそうじゃ。じゃが聞くのじゃ。

「もしかして神の力をやどすものにしか効果はないのかのう?」

「はい、私たちみたいな人間には効果はありません。ただ、神様たちの力は特別なので、神様たちの支援をするために頑張っているんです!」

 力のこもった声にワシらも勇気付けられるのじゃ。きっと優しい子なのじゃろう。さて、そろそろ狩りの時間じゃな?


「大体わかったのじゃ、もう後はワシらでもできるじゃろう? ゲール、ルナ」

「ええ、あとは私たちだけでも大丈夫そうです。ワンコさんの業務の邪魔をしても悪いですし」

「あ、では私は役場に帰りますね」

 ワンちゃんは素直に頭を下げて一人で去ろうとするのじゃ。その手をガっと掴むハフじゃ。

「何かあったら助けてって言ってね!」

「え?」

「ワンちゃんの助けての声はちゃんと届くからね!」

「あ……でも」

「言って! 約束して!」

「……わかりました。助けてっていいます」

「うん!」

 ハフはニコニコしておるのじゃ。手を振って別れるワシらはハフを賞賛するのじゃ。

「流石じゃな」

「やるじゃない!」

 アオも感心しているのじゃ。

「じゃあ尾行しないと。ウチらが見失ったら意味ないよ」

 アカミの心配は無用じゃ。ワシらには頼れる目があるのじゃ。

「ジーナ頼んだぞい」

「わかってるよー!」

 こうしてワシらの尾行が始まったのじゃった。


 ジーナの目でかなり遠くまで見える上に死角も何のそのじゃ。超直感もまた役に立つのじゃ。

「あれで隠れてるつもりなんだねー」

 ジーナはそう言うが相手は上手く隠れているようにも見えるのじゃ。当然じゃ、ワンちゃんも獣人の血を引くのじゃ。適当に隠れたら見つけられるのじゃ。

 とはいえ、ワシも音でわかるのでのう。まずは様子見じゃ。

 すると複数の獣人がワンちゃんの前に現れたのじゃ。

 そして唐突に殴る蹴るを始めたのじゃ。

「っ!」

 ハフが歯を食いしばって耐えるのじゃ。まだじゃ、まだ聞いとらんからのう。

 暫く殴られていたワンちゃんじゃが、一声も発しないのじゃ。ヒヤヒヤしながら見ておると、獣人達は飽きたのか殴るのをやめたのじゃ。


「なんだ? いつも泣き叫ぶくせにやけに大人しいな」

「もっと呼べ! 劣等種を追い込め!」

 獣人たちは仲間を呼ぶのじゃ。ここでじゃった。すうっと息を吸ったワンちゃんは叫んだのじゃ。

「助けて!」

「なんだぁ? こんなところで呼んでも流石に誰にも聞こえないよ」

 獣人達にも聞き取れる範囲はあるようじゃ。じゃからワシらは慎重に囲むのじゃ。

 その間にもワンちゃんは殴られとるのじゃ。一刻も早く助けてあげたいのじゃ。

 ワシは合図を待って、隠れるのじゃ。

(コン様! 今です!)

 そのルナの合図でワシは獣人たちの前に躍り出たのじゃった。

ワンちゃんを助けるのじゃ!


ここまで読んでくださりありがとうなのじゃ!続きを読んでくださるとありがたいのじゃ!

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