第507話「闇夜の冒険」
ワシは小さくなって繋がったジーナの元に行くのじゃ。
ワシはルナに言って、ワシが遠隔で助けられる事はないか聞いてみるのじゃ。
「私とコン様は、ジーナとゲールと繋がっていますからね。私を通じて可能かもしれません」
ワシがベッドに寝転んでワシの腹の上にルナが乗るのじゃ。
「行きますよ」
ルナの合図でワシの瞼は重く閉じられるのじゃ。
目を開けると森の中じゃった。隣にでかいジーナがいるのじゃ。
「ジーナ」
「え? コン様?」
どうやらワシは肩の上に小さく乗っているようじゃ。
「わぁ! 小さいコン様がいる!」
「僕とルナの力です。僕の方にはルナが乗ってますよ」
「不思議な人たちだな、君らは」
マメ様も驚いていたのじゃ。
こうしてワシらは森の中をマメ様と共に駆ける事になったのじゃ。
「ジーナ、何体くらい倒したんじゃ?」
「私は全然。マメ様すごいよ、見てて」
クンクンと匂いを嗅いでいるマメ様は的確にデッドシャドウを倒していくのじゃ。
「これで三十体くらいだよ」
「そんなに少ないのかのう……?」
影の暴走の時はもっといったはずじゃ。これでは残業してる分だけ無駄じゃ。
「今日は稼げてる方だ。いつも順位低い方だからこれくらいならまだマシな稼ぎになるさ」
「こんなに才能あるのに順位あがらないのは、私たちみたいに人を助けてるせいなんだよ」
ジーナが聞いた話によるとマメ様は、初心者を守っている立ち回りで動いているそうじゃ。
「コン様は光光の神が溢れているこの場所で、一体何が起きているか知ってるか?」
「いや、わからないのじゃ」
マメ様の話じゃと、ほとんどの光光の神は引っ張られて死んで街の灯りとなるそうじゃ。
そうしてまた連れてこられた光光の神様がレースに参加させられ、どんどん希死念慮を持ち、諦め自分から死へ向かうそうじゃ。
灯りになった神達の魂は元の世界に帰るんじゃろうが、あまりに使い潰しが過ぎるのじゃ。
これではこの外大陸の西にほど神達が必要なのじゃ。
「いかんのう。何とかせねばな」
あの狼の神を誑かしていた誰かも気になるのじゃ。
「とにかくこれでは割に合わない。もっとデッドシャドウを倒さないと」
ゲールの言う通りじゃった。せっかく夜に戦っているのに、ここまで影が少ないと困るのじゃ。
そもそも夜の方がデッドシャドウは多いはずじゃ。更に森の方が死角が多くデッドシャドウキャットがいると踏んだんじゃが……そうでもないのかもしれないのう。
「もしかすると森の外の方がデッドシャドウ多いのかもしれませんね」
「行ってみるか?」
ルナの疑問にマメ様は、聞くのじゃ。
「多分死ぬ気でないと負けるぞ」
「なんじゃ? 森の方が少ないのを知っていたのかのう?」
「勿論だ。昼は森の方が影が多いが、夜は森の外の方が影が多いんだ」
「では行ってみようなのじゃ」
ジーナとゲールとマメ様は森から出るのじゃ。途端に襲われるのじゃ。
すごい数のデッドシャドウじゃった。あまりに多く常に纏ってないと死ぬのじゃ。
「大丈夫かのう! マメ様!」
「あんた、ジーナさんのことは心配しないんだな……」
「心配いらないからのう」
「でも結構きついよ、これ」
「ふむ、では集まるのじゃ」
ワシはジーナとゲールとマメ様に集まるように言うのじゃ。
「三人いればできるわい。狐依パンチをぶつける要領で融合させるのじゃ」
ジーナとゲールは理解したようじゃ。マメ様は訳が分からないのじゃ。
「ここに手を合わせて力をぶつけて! マメ様」
言われるがままに手を重ねたマメ様は、光の爆発に驚くのじゃ。
「いきますよー!」
「いくよー!」
大きな光の爆発がデッドシャドウ達を殺していくのじゃ。
「どうじゃ? どれくらい倒せたかのう?」
「沢山倒せてる……凄いな」
「これを皆に伝授していけばいいね!」
ジーナが喜ぶ中、マメ様は首を横に振るのじゃ。
「大っぴらに言わない方がいい」
「なんじゃ? 独占したくなったのかのう?」
「違う! 支配者がいるんだ」
ワシは頷いたのじゃ。
「狼の神に指示して出来レースを作っている張本人じゃな?」
「気づいていたのか……」
「獣人ではないのう?」
「ああ、野神だ」
それはまた驚きじゃ。まさか野神に獣人達が支配されているとはのう。
「獣人達は気づいてないよ。だから俺は奴を倒す算段をつけようと思っていた」
「協力するぞい」
「ありがとう。そのためには首輪を外さないといけない」
「駄目じゃな」
「は? なんで!」
「そこに気づかないとお主もやられるぞい?」
ワシはジーナとゲールに森に行くように言ったのじゃ。
「もう影も必要ないんじゃろ? 森で潜もうなのじゃ」
険悪なムードのままワシらは森に潜むのじゃ。そうして朝を迎えて、薄暗い道を越えて街に戻るのじゃ。
「俺は奴を倒すために戦うぞ」
マメ様は走って街の中央に行くのじゃ。
「ワシらも起きようなのじゃ」
宿で合流したワシらはドッグルに換金してもらうのじゃ。ジーナとゲールが仲間として倒したデッドシャドウはワシの首輪に送られ、溜まっているのじゃ。
それらを換金した後、ドッグルに驚かれるのじゃった。
「あんた何者だ?」
その言葉の意味をわかっていたワシはニヤリと笑って言ったのじゃ。
「狐依コンじゃよ?」
ふふふと笑ったワシに思わず吹き出したドッグルは、大笑いするのじゃった。
ワシの正体(?)についてはまた後でじゃ。
ここまで読んでくださりありがとうなのじゃ!続きを読んでくださるとありがたいのじゃ!




