第479話「魔神との戦い」
戦いは激化するのじゃ。
ワシらが飛び回り、影からの攻撃を避ける中、狼の神から忠告されるのじゃ。
「あと三人は恐らく繋がって襲ってくる。恋して堕ちた奴らだからだ」
ワシらは改めて気を引き締めるのじゃ。しばらく飛んでいると獅子の魔神が見えたのじゃ。構えているので明らかに待ち受けているのじゃ。
「魔神にも意思はあるのかのう?」
ワシが狼の神に尋ねると頷いて言うのじゃ。
「意思が残る場合がある。特に恋愛なんかだと強く意思が残ったりする。だがほとんど呪いみたいなもんだよ」
ワシは構えている獅子の魔神に向かって波の刃を飛ばすのじゃ。じゃが易々と躱されてしまうのじゃ。
そして後ろから鳥の魔神が飛び出してくるのじゃ。地面に潜っていたようじゃ。
更に猫の魔神がワシらを遠くから狙撃しているのじゃ。
「ちっ、あの猫が引っ張られた、それが原因だ」
狼の神が舌打ちするのじゃ、ワシは戦いながら猫の魔神を狙うのじゃ。
じゃが、すり抜けられてしまうのじゃ。
「いい判断だが、あいつは厄介だぞ。キャットウォクは知ってるか?」
「なるほどのう。どうすればいいんじゃ?」
(彼女のキャットウォークは十秒使えて、十秒のクールタイムがあるそうです)
エルラナからルナが情報を貰ったらしく声を届けてくれるのじゃ。
「なるべく近づいた方がよさそうじゃな、テンカ!」
「任せな! 行くよ!」
「私たちも! アオ!」
「頑張るわ!」
ワシらは犬の神と鳥の神を連れて、猫の魔神から処理しようとするのじゃ。
じゃが獅子の魔神と鳥の魔神が追いかけてくるのじゃ。じゃがその慌ては隙じゃ。ワシは器用に後ろに向けて波の刃を飛ばすのじゃ。
当たれば僥倖くらいの気持ちだったのじゃが、上手く当たったのじゃ。
それがトリガーじゃった。
「ああああああああぁぁぁ!」
猫の魔神が苦しみ出すのじゃ。どうやら想いの糸が切れたようじゃ。
めちゃくちゃに乱射してくるのじゃ。銃撃躱しながら近寄っていくとどうやら泣いているようじゃ。もう楽にさせてあげたいのじゃ。
「俺が隙を作る! 頼んだ!」
鳥の神が飛びながら一気に近づいて銃撃を引きつけるのじゃ。
ワシは波の刃を飛ばすのじゃ。じゃがキャットウォークじゃ。
十秒待って、再び飛ばそうとしたら走って逃げる猫の魔神じゃ。
「逃がさんぞい! くらえよのう!」
ワシは波の刃を飛ばして猫の魔神を倒すのじゃ。その時じゃった。
「ぐおおおおおおおおおぉぉぉ!」
鳥の魔神が鳥の神に突っ込んでくるのじゃ。
「くっ、援護をするのじゃ」
「おまえがああああああああぁぁぁ、あの時ぃぃぃぃぃぃ!」
鳥の魔神はなにか叫んでいるのじゃ。とにかく鳥の神を救わないといけないのじゃ。
「テンカ! 一気に行けるかのう?」
「よし! コン様、しっかり掴まって!」
テンカのおかげで接近して鳥の魔神を斬ることができたのじゃ。
こうして魔神退治は成功したのじゃった。
「やったのう!」
「やったね!」
ワシらはトーチまでの帰り道、影の魔物の攻撃を避けながら喜ぶんじゃが、皆表情は暗いのじゃ。何故じゃろう? 鳥の神は助かったのに顔が真っ青じゃ。
礼のひとつくらい言うてくれてもいいじゃろうにと思ってトーチの中に帰るのじゃ。
エルラナは深刻な顔をしているのじゃ。神達はエルラナを守るのじゃ。
鳥の神は震えているのじゃ。一体何があったんじゃろう?
「コン様、お願いがあります。その鳥の神、トリア様を殺してください」
「エルラナ? な、なんでじゃ? 彼は魔神に堕ちたのかのう?」
「堕ちかけています。私の目には魔が広がって見えてます」
何故じゃろうか? 魔神と接触するとそうなるんじゃろうか?
(詳しくはわかりませんが、トリア様はさっきの鳥の魔神と何かあったようです)
つまり罪の意識がそうさせているという事じゃな。
「魔神になる前にワシがこの神を斬ってしまうとワシも堕ちないかのう?」
「大丈夫です。もうほぼ堕ちかけてますから。お願いします」
「待ってくれ! 俺は大丈夫だ!」
ワシはせめて事情を話すことを言うのじゃ。すると、鳥の魔神と猫の魔神を巡って、恋の失敗があった事を言うトリア様じゃ。
「どのみちこのままだと魔に呑まれます。一緒ですよ? 死ぬのと。迷惑を残すだけです」
ワシも少し哀れに思っていると、ジーナがトリア様に近づき聞くのじゃ。
「これならどう?」
ジーナはありったけの光を渡すのじゃ。
「……確かにトリア様の魔はなくなったけど」
エルラナは苦い顔をしているのじゃ。
「後悔しませんか?」
「ちなみにジーナが堕ちることにはならんのじゃろうか?」
「……光を渡すだけでは堕ちませんよ」
エルラナの言葉にはなにかトゲがあったのじゃが、みんな無事だったのでよしとしようと思ったのじゃ。
とにかく一度街に戻ることにして、トーチで帰るのじゃ。
「ありがとうな、ジーナちゃん」
トリア様の距離が近いのじゃ。何か嫌な予感がするのじゃ。
「えへへー、役に立てて嬉しいな」
そう笑うジーナの頭を撫でるトリア様を見てワシは止めるのじゃ。
「流石にそこまで距離を詰めるのはなしじゃよ。頼むぞい?」
「な、なんだよ、いいじゃねぇか」
テンカとアオとルナも、ジーナの間に入り守るのじゃ。
「わ、悪かったよ……」
トボトボと歩いて帰る様子をジーナは気の毒に見ながら、ワシの手を繋ぐのじゃった。
トリア様…大丈夫かのう?
ここまで読んでくださりありがとうなのじゃ!続きを読んでくださるとありがたいのじゃ!




